
キリスト者議員によるUNRWA関連質疑
「国会の質疑は、こつこつと積み上げて(調べて)いくしかない」・・国会議員の国会での発言というのは、地味で、地道な営みであることを教えてくださったのは、金子道仁参議院議員(維新)でした。昨年5月末に、イスラエルの国会における、エルサレム朝餐祈祷会に参加する旅で同行させていただて以来、何かとお付き合いをさせていただいています。
これまで、イスラエルや政治のことについて、議員会館などに訪問させていただきましたが、今回、たった一つの案件についての質疑の裏で、本当に地道な作業をしておられたのを垣間見ました。
委員会の質疑でUNRWA問題
二回の質疑の中で、UNRWAの問題を取り上げ、上川外務大臣に直接、質問しています。
3月21日の外交防衛委員会にて:
以下の点について質問していました。
職員のテロ襲撃参加が2度と起こらないよう、日本政府が独自の確認を
今後はUNRWAに限らずパレスチナへの多様な支援を検討すべき。
3月25日の予算委員会にて:
実際にUNRWAで使われている教科書の現物を取り上げて、具体的に、テロリズムが称賛されながら基礎学習をする内容になっている点を挙げました。
どちらも、上川外相の答弁は、通り一辺倒のように聞こえ、残念でなりませんでした。その上、次の日に、読売新聞から、拠出金再開を検討しているという記事が上がり、その失望感は深まりました。
拠出再開に際して、強い要請をする日本政府
ところが、28日に上川外相は、来日したUNRWAラザリーニ事務局長と会談、その内容が、これまでの姿勢とは違う、かなり具体的な要請を行っています。驚くのは、金子議員が質問し、また要請した具体的な内容に沿うものでした。特に、教科書の問題への対処を、ラザリーニ氏が取り組むとしています。
日本政府が、UNRWAに関するこれらの問題を公けに指摘したことはよかった。 ラザリーニ氏もそれらへの対応を具体的に答えている。
— ユダヤ人と日本 / Jews and Japan (@JewsandJapan) March 28, 2024
先日金子みちひと参議院議員が、予算委員会で上川外相に質問した殉教を教える教科書問題への対処を、ラザリーニ氏が約束したことも画期的。
メディアも伝えてほしい。 https://t.co/8IPKGy1BID
上川外相が、ラザリーニ氏に会談する時の、以下の写真のお顔は、笑顔は一切なく、事務局長を凝視するものしかなく、強い要請をしている内容に即した表情になっています。
3月28日、#上川外務大臣 は、フィリップ・ラザリーニ国連パレスチナ難民救済事業機関(#UNRWA)事務局長と会談を行いました。
— 外務省 (@MofaJapan_jp) March 28, 2024
概要はこちら👉https://t.co/CkzH5ej2bN#パレスチナ pic.twitter.com/mX6BcJ2ltc
ユダヤ人の人権監視団体であるSWC(サイモン・ウィーゼンタール・センター)は、これまで、日本政府に対して、UNRWAへの拠出について批判的な発言をしてきましたが、今回は、以下のように高い評価をしています。
SWC commends Japan for not renewing funding for @UNRWA as its involvement and support for Hamas is now established and their curriculum for Palestinian children abets in the brainwashing generations to deny Israel’s very legitimacy and holds up Palestinian terrorists as heroes to…
— Simon Wiesenthal Center (@simonwiesenthal) March 28, 2024
SWCは、日本が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金提供を更新しないことを称賛する。UNRWAはハマスへの関与と支援を確立しており、パレスチナの子どもたちのためのカリキュラムは、イスラエルの正当性そのものを否定し、パレスチナのテロリストを見習うべき英雄として持ち上げる洗脳世代を助長している。パレスチナ人の社会的・教育的ニーズは、テロリスト集団とつながりがなく、審査された団体によって対処されるべきである。
これまで、約束しても実践しないできたUNRWA
しかし懸念はもちろん、大きく残っています。これまで、ラザリーニ氏は、同様の内容について、イスラエルと諸団体から、再三、要請されてきたのにもかかわらず、一行に改善をさせた実績がないからです。
イスラエル政府が2011年と2012年に、UNRWAに提供した公式文書を入手した。そこには、UNRWAが当時の時点で雇っていたと判明していたハマスのメンバー10人以上の名前や個人情報が記載されている。 ところが、UNRWAは当時、この書簡に無視を決め込んで、何ら対処をしなかった。
イスラエル外務省も、日本の外務省とUNRWAが依拠している、第三者の中間報告に対して、厳しい評価をしています。
UNRWA独立評価グループ (議長:カトリーヌ・コロナ氏) による中間報告に対するイスラエル外務省の声明:
— イスラエル大使館 🎗️Israel in Japan (@IsraelinJapan) March 31, 2024
独立評価グループの中間報告は、資金拠出再開を可能にするためにUNRWAの不正を隠蔽しようとする試みです。… https://t.co/soOklgWO0M
ですから、日本国が多額の拠出国として力を発揮できるのか?が、勝負所だと思います。会談の要旨の最後に「両者は、日本の拠出再開のために必要な取組について、最終的な調整を行っていくことで一致しました。」とあります。拠出再開のための「必要な」取組と、明確に述べています。取り組まなければ再開されないという、必要条件のままでいるのか?それとも、そのような見通しがあるから、再開を前倒しでするという失態を演じてしまうのか?ここが、問われることになります。
地の塩、世の光
手ごたえを感じた動きではありますが、全体から見れば、あまりにも小さいとも感じます。しかしそれでも、正義に向かって最初の一歩を踏み出せました。思えば、キリストは弟子たちに、「小さなことに忠実でありなさい」と教えています。
金子氏は、国会議員でありながら、現役の牧師でもあります。キリスト者として与えられた良心に基づき、世が腐敗するのを遅らせる防腐剤としての塩の働きを、強く意識していることでしょう。キリスト者は、彼のためにぜひ祈りつづけて、応援していただけたらと願います。
後記:最終的な調整が不透明なまま、日本は拠出金の再開しました。
上川外務大臣臨時会見記録
(令和6年4月2日(火曜日)9時55分 於:参議院2階本会議場正面玄関側)
非常に残念です。先に上川外相が、ラザリーニ事務局長に語ったことについて、SWCが高い評価をしていたけれども、今は失望しているとXポストで書いています。
Disappointing that Japan didn’t wait for results of an investigation of @UNRWA before restarting its funding.
— Simon Wiesenthal Center (@simonwiesenthal) April 4, 2024
UNRWA has a long history of incitement against and demonization of Israel. https://t.co/09Z2pjiKUm
日本が資金援助を再開する前に、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の調査結果を待たなかったことに失望している。 UNRWAにはイスラエルに対する扇動と悪魔化の長い歴史がある。
金子議員には、根気よく、これからも、国会の場で、我が国の支援がテロ活動に大きな影響を与えているかもしれない疑いについて、積極的に質問していただけることを期待します。