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肩書とはなにか

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山本清文の読むラジオ 『肩書前室』

新居浜FMの山本清文です。私は自分がとても中途半端な人間と思っています。「肩書ってなんですか?」という質問の答えに窮します。役者というほど演劇もやっていないし、タレントっていうほどの実力もない、文化施設職員?ラジオパーソナリティ?っていうのもしっくりこない。「マルチに幅広く活躍」なんていう文章ほど、胡散臭いものはない。さて自分はなんだろう?そんなコンプレックスをずっと持っているのです。しかし、あかがねミュージアムの音楽イベントの日に気付いたのです。ちょっと「ホール」を想像してください。扉が二重になっている施設に出会ったことはないでしょう。途中入場のお客様が、音や光が漏れ出ないように、外の扉から入り、『前室』というところで扉が閉まるのを待ってから内側の扉を開けるのです。私はその日、前室でもう終わるであろうイベントを待っていました。お客様が大量に退室するので、扉を開けて安全に帰りやすくするの用意をしていました。しかし、アンコールが長くなったのか、まだ音楽がホールから聞こえます。同時に、カフェや施設で遊ぶ子どもたちの声が聞こえるのです。そう。前室だけは両方の音が聞こえるのです。私の中途半端さはまさにこの前室なんだと思いました。お客さまと舞台を繋げる仕事。それはホールだけに限らない、誰かと何かを繋ぐ橋渡し役なのかもしれないと。お店の魅力をテレビやラジオを通じて伝えるのも合点がいきます。同時に、開き直って、中途半端なままでやっていくのも悪くないのかもと思ったのです。だから私の肩書は『前室』です。ダメだ。説明が長々と必要な面倒なやつになってしまう。橋渡し士か。なんか建築関係みたいだ。どうしよう。ちょっと前室に籠って肩書を考え直そうかな、と。

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