脱!不毛!アラフィフ『再』婚活日記#293 終わった②

注:長いです

の続き

○金曜日
今晩、ケンジが来たら切る、来なかったら延期と決めた。
会わずに切ってもいいのだが、うちに置いてある荷物を返す必要があったから。ゴムも箱ごとあったし。
夕方、私の仕事が終わる頃に、
「(仕事)まだ終わらない。行くけど20時頃になると思うから、先にごはん食べておいて」
とLINEが来た。
私は、遅くなるなら翌朝も早いんだししんどいから無理して来なくていい、なんなら土曜日の夜に私が行ってもいい、と返信をしたら、
「明日の夜は飲み会がある」
「できれば行きたい(泣)」
と言う。
私は、
会って早く終わりにしたい

会わないで終わりにしたくない
という気持ち、両方があった。
だけど体調を気遣うふりをして、今日終わってしまうのを避けたかったのかもしれない。

この人は病んでいる。
すれ違いの生活から気持ちが離れて離婚したと言っていたが、たぶん違う。
子供の頃、母親からの愛情をもらえなかったため、女性を恨んでいる節がある、若い頃に女遊びが激しかったのは女性に対する『復讐』だったかもしれない、彼女たちには何の罪もなかったんだけど、と言っていた。
「自分でも何やってんだろ?と思っていたし、虚しかった。結婚する前には落ち着いた」と言っていたが、今その『復讐心』がなくなっているとは断言できない。
性に異常に執着するのもそのせいだろう。
私も同じだから解るが、子供の頃の愛情不足や心の傷は、大人になったからと言って『治らない』のだ。
きっと皆そうで、騙し騙し、自分に折り合いをつけながら生活しているのだと思う。
何か言うとすぐに過去の話と結びつける。
何度か「辛いことは思い出さなくていいよ」と言ったことがあるが、自分で自分を生き辛くさせてしまっているなと感じていた。
大人になって、50歳になって半世紀生きていてもまだなお、幼少期に囚われ続けているのだ。
本来なら精神医療の助けが必要なんだろうけど、それすら「無駄だ。他人に自分の何が解るのか」と思って生きてきたと言う。
どんな目に遭って育ってきたのか全貌は解らないけど、かわいそうな人だ。
自分を好きにならせて、必要とさせておいて、だけど自分は好きにはらないし、必要としない。
この人の優しさは見せかけであり、その裏面には激しい憎悪があるのかもしれないと思うと、私はものすごく怖くなった。
癒す・癒されるレベルの話ではない。
それも切ろうと思った理由の一つだ。
私にはどうしようもない。
私は私が幸せになりたいから。

結局、ケンジは来た。
うちは駅から徒歩だと結構あるのだが、「迎えに来てほしい」と言われた時は、感傷的な気持ちも去って、
てめーが来る言うたんやから、歩いて来いやボケ!
と思いながら、まんまと車出して迎えに行くあほ女。
晩ごはんはケンジがうちで作ってくれるというので、スーパーで買い物して帰った。
手際良く作ってくれた野菜炒めは美味しかったけど、キッチンがめちゃくちゃに汚れた。
でも人が作ってくれた料理を食べるのは久しぶりだったからうれしかった。
もう二度とないのだなと思うと切なくなったけど。
だけどやはりケンジの態度に、先週とは全く違う違和感を感じた。
先週までは外を歩く時も歩調を合わせてくれたし、手を繋いでくれたり、部屋に入るなり即イチャイチャしだしたのに、今日は私を放って先々歩くし、手も繋ごうとしないし、部屋に入っても私に全く触れようとしない。
『私』を『求めていない感』がすごい。
異変を感じたため、やる前に切り出そうかとも思ったが、ひとまずやめておいた。
結局、シャワーを浴びてベッドに入ってからようやく触れ合ったのだけど、あれだけ緻密な行為で私を喜ばせることが喜びとか言ってたやつが、すごく雑だった。
全然気持ち良くないし、前回と扱いの違いがわかってしまい、私も集中できない。
そして自分だけが一瞬で果てると(今回は勃った笑)、さっさと服を着て、いびきをかいて寝てしまった。

うわぁ、私今便所じゃん(棒


先週のあの夢のようなひと時ってなんだったんだろ。
あの時は「私ってもしかして愛されてるのかな?」と錯覚するくらい優しかった。
毎回こんなふうに扱ってくれるのなら、別にセフレでもいいかなと思っていた。
しかし今回、事後に私を愛おしそうに抱きしめることもキスすることもなく、眠る彼の隣で私はあー本当に終わったなーと一睡もできずにいた。
寝ているのをわざわざ起こすことはない。そんな話をした後に、一緒に寝ているのも嫌だ。
起きてから10分くらいで帰っていくけど、その間に手早く済ませよう。
「詳しくはLINEで」
でいいや。
たった1週間で、彼の中にどんな変化があったのかはわからない。
そもそもなんで好きでもない女と毎日朝から晩までLINEのやりとりをしたり、一緒に行動したり、タルトを買ってやったり、無理をおして家に来たりするんだろう。
誰でもいいから繋がっていたい人なのか。
家に来るのはやりたいからだとしても、やりたいだけなら無駄に優しくする必要もない。
セフレはセフレらしく、セックスだけ提供していればよかったのに。
こっちだってそんな男に優しさなんて求めていないのだから。

○土曜日
目覚ましが鳴る15分前に彼はトイレに起きて、私が「何時?」と訊くと答えたが、私が起きているのを解っていても、彼は私に触れようとはしなかった。
そして私を寝室に残したまま、リビングに行き身支度を始めた様子だったので、ゴムの箱を入れた紙袋を持って行き、彼が脱いだ部屋着を袋へ入れながら、

私「今日で最後にしよ」
ケ「なにが?」
私「会うの。だから荷物持って帰って」
一瞬ひるむケンジ。
ケ「なんで?何かした?」
いや、

何もしないからもう会わないんだよ。


私「この人、私のこと全然好きじゃないなって思ったから。
またLINEするね。もう送っていかないから」
ケ「わかった」

「何かした?」の時の動揺の仕方が、アプリで私をブロックした時に問い詰めた時の反応と全く同じだった。
彼は玄関で私を一瞥した後、手をふってフツーに帰っていった。
もう一生、二度と会えないと言うのに、また来週ね!みたいな感じで。

いつもならすぐに「ありがとうね♡」とLINEが来るのに、さすがに今日はなかった。
その間、私はLINEに、

最初の頃、「今度会った時に付き合うって言う」と言っていたにもかかわらず、以降何度会ってもその話にはならなかった。
併せてアプリも退会すると言っていたのにそれもなかった、なんなら今でも探してるよね?(私の微々たる復讐笑)
それは私に決め切るほどの魅力がなかったからだと思うけど。
ここ数日でテンションが下がってたことに気が付いていた。
ケンジは私のことが好きではないんだなと思ったし、今後も好きにならないと思う。
最初に言っていたように、私は身体だけの関係は望んでいないし、いいように利用もされたくない。
だからもう会うのやめようと言った。
ケンジとはうまくいくかもと思っていたから残念だけど。
今まで楽しかったよ。
ありがとう。

と入力し、送信した。
いつも既読からの返信が早いのに、さすがにつかない。
すでにブロックされているかもしないと思ったが、そろそろ到着しただろうなという頃に既読がついた。
私の想いは全て伝えた。
ちゃんと読んでもらえたようなので悔いはない。
返信はきっと来ない。
彼も私と同じで、去る者は追わないから。

今月の3日に初めて会って以降、毎日LINEのやりとりをして、計6回会った。

疲れた。


とにかく何も考えないで、自分のやるべきことに集中したいし、ゆっくり眠りたい。
解放されて良かったじゃん!
もう何にも煩わされることなく、楽になれるよ!
そう思っていたのに、米津くんの『Pale Blue』を聴いて号泣してしまった。

なんで泣くんだよ苦笑
寝不足だから情緒不安定なだけだと思いたいが、なんでこんなに苦しいんだろう。
私はやはり、セフレをするには向いていない笑
最初から今回みたいに雑に扱われていたら、おそらくその日で切っていたし、関係を続けることはなかったが、最初の思い出が良すぎたため、私の脳は勘違いをしてしまったのだろう。

愛なんてなかったけど、『愛おしい』と思った瞬間はたくさんあった。
前にもここで『自分の気持ちがどういうものかわからない』と書いたが、やっぱり

恋だったのかも。

いいなと思ったら応援しよう!