お父さんと私⑩ お父さんを看取る
旅館からの帰り道、映画を観て行く予定だったが、私は父のことが気がかりで、とても映画どころではなかった。
旅館を出たその足で、父に会いに行った。
実家には東京に住んでいる妹が来ていた。夕方には信州の方にいる弟も帰省するそうだ。
兄弟がいて少し心強い。母が、父が誰かといれるようにと、書斎に誰もいなくなると、「お父さんと一緒にいてあげてちょうだい」と言った。
書斎で寝ている父は、目は空いていたが、もう視点が定まっていないようだった。目には黄疸が出て黄色くなっていた。腕を何や