「ぼくの頭の中のテスト」
ぼくは普通のロボット。
いたって普通のロボット。
けど、"ナニカ"おかしいねってみんなが言うんだ。
急に叫ぶからかな?
急に飛び跳ねるからかな?
不安を感じやすいからかな?
色んな感覚に敏感だったり鈍かったりするからかな?
うまく喋れないからかな?
ぼくの成長がみんなと比べて遅いからかな?
ぼくが見る世界はみんな違う。
同じロボットなんて誰もいない。
みんなそれぞれ得意な形をしてる。
強そうな手。
早そうな足。
何でも見えちゃいそうな目。
どんなものを聞くんだろう?って思う耳。
なんだかとっても優しく温もりを感じるあの子。
見た目もできることも、何一つ"同じ"はないんだ。
強い力でたくさんの人を助ける力持ち!
沢山の音を聴いてみんなのお役立ち!
ビューンっと早く、何でもお届け!
変なとこまで見ちゃうやつ…、「コラー!」
なんだかほっこりフワフワ温もりも。
なにも同じことはない。
それが普通なんじゃないかな?
ぼくにはわからないや…。
僕は変なやつ扱い。
普通じゃないってはじかれてる。
はみだしもののぼくだけど、寂しくはないよ?
パパもママも味方してくれる。
今日のぼくは頭の中のテスト。
変な英語を並べられて、いっぱい数字が出てくる。
数字が多いと喜ぶみたい。
ぼくにはなんのことかわかんないや。
ぼくは色んなところで"ポンコツ"呼ばわり。
「えっへん!ぼくはポンコツ!」
なんだかわかんないけどそれでいいんだよね?
ぼくにはできない事がいっぱいある。
困ったときには助けてもらうんだ!
ご飯を食べるのも、洋服を着るのも、お菓子を開けるのも…、助けてもらうんだ。
怖いんだよね…。
自分でやって失敗するのが…。
失敗しちゃうと頭から失敗が離れないんだもん…。
大きな大きな、黒い黒い不安におそわれちゃう。
ぼくだって戦うときは戦うんだぞ!
パパやママにいっぱい助けてもらうときもあるけど…。
「えっへん!」
ポンコツってなんだろ?
できないことがいっぱいあったらポンコツなのかな?
強い力でみんなを助けるあの人は、沢山の音を聴けないし、ビューンっと早く、何でもお届けすることもできない。
変なとこまで見ちゃうやつみたいに沢山を見ることもできない。
すっごい強くて、どんな音も聴けて、ビューンと早い、何でも見えちゃうやつなんてどこにもいない。
みんなそうだよ?
みんな"ポンコツ"なのかな…?
なんだかほっこりフワフワ温もりを持ったあの子も…、ポンコツなのかな?
あんなに暖かいぬくもりを感じれるなら、ポンコツも捨てたもんじゃない。
みんなぼくをポンコツ呼ばわり。
ぼくはこれからどんな場所へ行くんだろ?
今日はぼくの頭の中を数字にするみたい。
ママやパパはその数字を見て、泣いたり喜んだり。
ぼくはそこにいないのに。
ぼくにはわからないことだらけ。
数字が多いとそんなにいいことなのかな?
できないことってそんなに悪いことなのかな?
みんなに助けてもらうことってそんなに悪いことなのかな?
わかんないよ。
ぼくにはぼくの良いところがあると思う。
ぼくにはぼくの花が咲くと思う。
綺麗かどうかなんてわかんないよ?
でも、ぼくにもあると思うんだ。
うまく言えないけど…
数字が少なくたって
言葉を失くしてたって
できないことがいーっぱいあったって
ぼくはみんなと"同じに"なんて望んでない。
ぼくはぼく。
ぼくはぼくの花を。
ぼくはぼくの形を。
ぼくはぼくの道を。
みんなと一緒に、みんな違う形を認め合いたい。
「あっ、あっ!」
「はちゅちちょちちゃちゅち……」
えっへん!
ぼくはポンコツだ!
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これは知的障害をともなう発達障害のいさねくんの物語。
これから沢山の物語を作っていきます。
少しだけみんなとは違う道を歩くいさねくん。
そんな物語をみんなにも楽しんでほしいんです。
少しでも沢山の人の心が緩く、暖かくなれば幸いです。
敵は何か?ヒーローは誰か?
どんな時代を歩むのか?
形式ばったこの時代で、歪な道を歩んでいく。
正しい枠を壊してくれる。
僕らの常識は生まれ変わる。
またの物語でお会いできたら、その時はまた笑顔で。
それではまた。
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