金城拓真「世界で働く」を読んで①
アフリカで起業され、現在アフリカ9カ国で50社以上の企業を経営されている金城拓真氏の「世界で働く」(日本実業出版)を読んだ。1981年生まれというから現在、35歳。若くしてビジネスに関する成功の肝を体得された人だと思った。アフリカでビジネスをするのに大切なことを列挙されているのだが、いちいち腑に落ちる点が多く、その度に赤線を引いて、ノートに書き写した。金城氏の指摘しているビジネスのポイントは、欧米、日本、あるいはグローバル市場で成功してきた起業家の方の考え方は随分と違っていて、それでも、「なるほど」と膝を打つフレーズがそこかしこにあって、簡単に言えばたいへん感激したので皆さんにシェアしたいと思いました。
僕が一番共感できた金城さんの主張は、人と人とつながってゆくことでのビジネスを生むこの価値について説いている点だ。その人間関係構築の方法が観念的でなく、合理的発想でもなく、打算的な発想からそう問いているのではない点だ。どのビジネス書でも人間関係の大切さはもちろん語るけれども、それはどういう事を指しているのか判然としない主張はとても多い。けれども彼の主張はいたって具体的だ。
「僕はアフリカに様々な会社を所有しています。傍から見ればすごいビジネスのように見えるかもしれません。でも、実際には人を介して人に出会い、その人たちとのつながりの中でビジネスを立ち上げているのです。自分一人の力では決してありません。日本的な、かなりウェットな感じでビジネスを進めているのです。一緒に食事をし、家に招待され、招待し、家族を紹介され、そのベースの上にビジネスがアル感じです。言ってしまえば昭和のビジネスのような感じです。」(金城拓真「世界で働く」22ページ)
僕はこの五年、フランス、アメリカ、イギリスのスタートアップ企業と協業して、様々な苦難を経て、ようやくビジネスを拡大する糸口を見つけ、歩き出しているに過ぎないけれども、彼のこの上記の考えが身にしみる。様々な国のビジネスマンと協業の可能性を検証するために会ってきたが、今、自分のビジネスの核になっているパートナーは、金城さんのいう、まさに昭和のビジネスのようなスタイルで深い人間関係を築いてきた人ばかりだ。彼等のシンガポールのオフィスに訪問すれば、家に呼ばれ、家族と飯を食べ、彼等が家族と東京に来れば、僕の家に呼んで家族と共に食事をする。僕の妻や息子は英語ができないけれども、できないなりに一生懸命、自分なりの方法でコミュニケーションをして夕食をすごす。そういう事を通じて、仕事の最中でも、時々家族の近況を報告しあいながら、仕事の話を進めてゆく。長い人間関係を構築してビジネスをしてゆきたいという思う人はどこの国にでもいるのだ。お互いが成長しあうことを目標として、不必要な駆け引きもせずに日々ビジネスができる環境が出来上がると前向きに仕事を進めてゆくことができるのだ。この事がわかってから仕事に対する発想が、一サラリーマンの発想から個人として仕事を育ててゆくことの喜びを感じるようになったと思う。昭和のビジネスなら、中高年の僕こそ得意な流儀だ。まだまだ頑張れると思った。
金城さんのこの本には、外国人とビジネスを進めて行く上での実用的なコツが沢山もりこまれているのでこれから何回かに分けて、自分の体験も織り交ぜながら引用させていただきながら感想を書いてゆこうと思います。
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