故郷のインドに戻るシンガポール在住の友人について
先週、シンガポールに20年以上暮らす、インド人の友人からWhats Appで「インドに戻る」との短いメッセージがあったので連絡して、1時間ほどよもやま話をしました。
彼女は、インドの広告代理店で順調に出世して、APAC担当の役員になってシンガポールに移り住んで大活躍していました。そして、ふと、ありきたりな人生になりつつあるのを危惧して、2015年ごろでしょうか、マーテクのスタートアップに飛び込んでいきました。この時に、僕は彼女と知り合い、二人三脚で仕事をし、日本ビジネスの拡大を目指して、毎日とことん話し合いながら頑張りました。冷静に考えれば、彼女とのビジネスで、うまくいったことよりうまくいかなかったことや失敗したことが圧倒的に多いのですが、それでも、一緒に働いた思い出はぴっかぴかに輝いていて、何の後悔もありません。それは、彼女のパーソナリティが大いに影響しています。本当にどこまでも明るくて、ポジティブで、絶対諦めない。前に進む人です。そういう彼女に強く影響されました。その後、彼女は何社か仕事を変えた後、事業会社のマーケティングの責任者として安定したポジションにいたので、故郷に戻るというメッセージはとても意外でした。
理由は、大きく三つでした。
一つはシンガポールの物価がどんどん高くなっていて、これからも上がり、暮らしていくのは容易じゃないだろうということ。歳を聞いたことはありませんが、僕より歳上のはずなので、60歳を超えています。都市国家の物価高に不安を感じたのでしょう。
二つめは、自分の国、インドが顕著に成長していて、この波に乗って、もう一回くらい新しいビジネスにチャレンジしたい、と思ったこと。これが一番の理由だと彼女は言ってました。どこまでも前向きです。
三つ目は、今の歳から、老後の人生設計をして、暮らしやすい都市へ移住しておかないと億劫になるから。
ということでした。話はそれだけです。
でも、僕が今回、このような何気ない友人との話を書こうと思ったかというと、僕の周りの同世代の日本人で、僕を含めて、こんなふうに第二の人生を考えて、ダイナミックに世界を移動していく人はほぼいないだろう、ということを伝えたたかったのです。
でも、どんな生まれや育ちをしようと、選択肢を思い切り狭めて、これから残された人生を諦めてしまうのはあまりにもったいないと思います。
自分のやりたいことが見つかったら思い切った行動を取れるのが定年後です。海外への移住も選択肢に入れておくべきなんです。それを開かずの間のように封じ込めるのではなく。僕は彼女の決断に勇気づけられました。