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海外スタートアップと仕事をする僕が考えるリモートワークについて

先日、この記事に目が止まりました。

元GoogleのCEOのエリック・シュミット氏が「GoogleがAI競争で遅れをとっているのはリモートワーク施策のせいだ」と発言した、というニュースです。今、この発言をしている動画が非公開になっているそうです。きっと相当ネガティブな反響があったのだと思います。

リモートワークという働き方は、今や普通になって、それをベースに日常生活全体を組み立てている人も多いと思います。僕もその一人です。週2、3回は出社し、あとは自宅で仕事をし、協業先やクライアントのオフィスで打ち合わせをしています。毎日の激混みの電車に乗る通勤のストレスがなくなり、寿命が数年伸びた気がします。だからリモートワークは僕も大賛成です。

それでも、リモートワークにネガティブな面があると思ってます。
ビデオ会議だけで得られる相手の情報は、本当に限られています。対人コミュニケーションにおいては、非言語コミュニケーションによって得られる情報が膨大にあると思います。難しい解説をしなくても、例えば、ビデオ会議で人と知り合い、それ以降、ずっとオンライン上のみで交流していて、しばらく経ってリアルで会ってみたら、自分が思うより、背が高かったり、雰囲気が違っていたり、仕事の合間の小さなジョークが好きな人だったりして、自分が想像していたその人の印象と大きく違っていた、という経験がしばしば起こります。そんな時、思います。やはり直接会うことが本当に重要なんだと。

僕は、現在、ロンドンに住んでいるイギリス人起業家の日本ビジネス支援を日々おこなっています。彼とは、7、8年前に知り合い、その頃は、まだ彼はスタートアップに勤務する社員でした。よく東京に来てたので、会い、共同作業をして、昼飯、夕飯を食べてました。その後、「起業して、日本市場にも進出したいので、手伝ってくれ。」と言われ、協議の末、僕が勤務する会社のビジネスとして請け負い、僕が担当することになりました。そういう背景があるからこそ、今、オンライン上で一緒にストレスなく仕事ができていると感じます。
 彼の体格や、話す時の雰囲気、言い回しの癖など、昔、対面で会った時の記憶があるからこそ、オンラインでも濃密なコミュニケーションができるのだと思います。逆に、彼も同様に、僕の英語の癖とか、ボディランゲージの癖を会った時に記憶していて、それをベースに付き合っているのだと思います。対面した時に得た相手に関する情報資産をベースにしたオンラインによる協業は成立しうると思います。

シンプルな仕事や、短期で終わる仕事、プロジェクトベースの仕事であれば、最初からオンラインで知り合い、いつまでも会うことなく、協業をするのは十分可能でしょう。僕もクラウドソーシングによって、そのような仕事をした経験が多々あります。でも、ビジネスを長い時間をかけて大きく成長させていく、というようなものであれば、チームになるための濃い人間関係が必要になってきて、対面によるコミュニケーションは極めて重要だと思います。

と、僕個人の考えをここまで書いてきましたが、この考えが正しいか、どうか迷ってしまいます。リモートワークから社会人をスタートした若い人たちが、将来、僕には想像できない方法や技術で、対人で会っているのと遜色ないレベルで人と濃厚なコミュニケーションをはかり、大きなビジネスを創造していくかもしれません。冒頭のエリック・シュミット氏は、僕と同じような迷いがあったので、動画を削除してしまったのかもしれませんね。


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