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踊り | バリ舞踊④ 動き編「可愛い歩き方」

バリ舞踊の話をシリーズで書いてきて、特徴的な基本の動きだけでもう④回目。
ちょっぴり不思議で、地球の自然とともに生きていることを感じさせてくれる魅力が多いのかもね。


①、②、③
そして出会いの話もこちらに▼


さぁ、今回は歩き方。

バリ舞踊といえば、大きく開いた印象的な目や、きりっとしたメイク、ひらひらさせた指に、様々な化身も出てくる、、。キラキラした光の中で少しどこか怖いような印象もあるかもしれません。得体の知れない、といったような。

その中で。

歩き方が可愛いの。

一歩ごとに出した足の方へ腰を振り頭を傾ける。
楽曲に合わせて頭と腰を左右に振りながら歩きます。

女性たちがアルカイックスマイルを浮かべながらこの歩き方で連なって登場する時の華やかで可愛らしいこと。美しい神たちの行進のようにも見えたりもします。

この動きも、円や8の字と同じ。
振り子の動きであり、止まらないでずっとつながり続けるというバリ舞踊の基本のひとつなのです。


番組のコーナーの担当が決まったのと同時にバリ舞踊を始めて何年か経た頃。
動きからテーマを考えようと言っていただいたことがあり。この歩き方があまりにも可愛かったことと、それまでに入っていなかった動きだったので(そして基本のひとつでもあったし)提案して、そこからひとつバージョンが生まれたことがありました。


✴︎

その歩き方。
私ももちろん最初に教えてもらいました。

歩く時は、いつもは外側へ開いている足を閉じて膝を少し曲げ、頭の高さを変えないようにして歩きます。

足首を伸ばさずにフレックスに曲げたまま膝をあげて。歩き始めの片足をあげた時に逆側に頭と腰を倒しておき、一歩出すごとにゆるやか左右に自然に揺れるように。丹田でしっかりと身体を引き上げておいて、身体の軸は真っ直ぐにしたまま、振り子のイメージで歩く。

ちなみにこれは、基本的に女性の型の歩き方。
男性型は足を横に張ったまま、内側に踵を蹴り上げるようにして歩きます。頭も腰も横に振れることあはりません。
両足を揃えて歩くこともある。
その時には少しつま先立ちになり頭と腰は左右に振りながら柔らかく、時に速く。
この場合は男女どちらの型も共通。

歩く姿だけでもどこか不思議などこかの世界のもののように見えることもあります。

バリの踊りは人形のよう。
中では人間っぽい感情を燃やしながら、動きは普段の動きと大きく変わります。
でも、そこに不思議なリアルが見える。


振り子のように歩く
(写真=花を蒔く踊りを踊る私)

この歩き方もなんとも可愛らしいものですが、そこから見えるもの受けるものは様々。同じ動きでも受けるものは作品や感情によりどんなにでも変わるのが豊かで美しくて面白いなぁと思っています。


✴︎

陰陽のマークを見たことがある人は多いと思います。
☯️これですね。

陰陽のマーク
陰陽太極図などと呼ばれます



バリの考えに方もこれが深く入っている。

白は陽、黒は陰を表しています。

2つが真ん中で真っ直ぐに分けられていないのには訳があり、陽に傾いているものもあれば、陰に傾いているものもある。それら両方でこの世界は作られている、というもの。どちらもあってぱっきりと半分にどこからどこまで、というものではないのですね。心の中も然り。

・月と太陽
・植物と動物

というように自然界のものは引き合っている、という考えの象徴でもある。


そう。
だから私が担当させてもらったコーナーも、太陽と月だったり、蝶と雨だったり。どれも単なる思いつきではなくきちんと自然の循環のものがテーマになっていて。
後になっても改めて「あぁ美しい組み合わせばかりだったのだなぁ」と思ったのでした。


左右に揺れながら歩いている時、身体の真ん中にこの陰陽があって丸いバランスを自分の中に感じられるように思うことが多くありました。


陰と陽。
どちらが良くてどちらがいらないというものでない。
バランスの大事さを考えさせられます。

✴︎

自然の中からインスピレーションを受けて作られてきたバリの芸能。音楽も楽器も踊りも、人々の生活も。
それを知るごとに自分の中に流れているものの豊かさに気がつかされていくようでした。

それはバリ舞踊から離れても、何気ない毎日の中で感じられるものとしてずっと残っています。


たまに身体の振り子に合わせて歩いてみると、自分のゆったりとしたリズムを取り戻せます。


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バリ舞踊基本の歩き方(女性の型編)

  1. まっすぐ立ち、足を揃えて立ったらほんの握り拳ひとつ分くらい開いて胸を大きく張り腰を反らせて膝を軽く曲げる。足の指先は空へ向かってぎゅっとあげて。

  2. 右足を膝をあげるようにして持ち上げ、頭と腰を左足に載せるように傾ける。足首は曲げたまま。

  3. 右足を地面につけるのと同時に、左足をあげて頭と腰は右側に傾ける。

  4. 頭と腰が振り子になるイメージ。お腹(丹田)を中心に(そこの地点は動かない)頭から足までが右左に振り子で自然と動いていく。可愛い歩き方です。


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