「グリコキャラメルのデザイン」創業者江崎理一のデザイン思考
通天閣内にあったグリコの展示が興味深かったので、デザインの視点を通してレポートにします。
時代を経ても愛されるグリコ
グリコという名前はグリコーゲンから来ており、創業者の江崎利一が病弱の弟に、カキの煮汁に含まれるグリコーゲンを飲ませたことによって、体調回復した経験によるものでした。
江崎利一は、グリコーゲンを子供たちが気軽に摂取することで、病気の予防になればと考えグリコーゲン入りのキャラメルを考えることとなったのです。
そんな優しい気持ちから、グリコは創業を開始し、キャラメルの販売を行いました。グリコは、デザインという考えがまだなかった大正時代にもかかわらず、デザイン思考的な発想で製品開発を行ってきます。
真心を込めたハート形のキャラメル
グリコのキャラメルはハート形ですが、これは真心を表しているそうです。当時、キャラメルをハート形にする技術は考えられておらず、お菓子の専門家に「こんな形には作れない」と言われていました。しかし、江崎利一は試行錯誤の末にハート形にするためのローラーを開発し、今あるグリコのキャラメルを実現させました。
無理だと言われたことをなんとか実現させるという根気と思いが、このハート形のデザイン(意匠)には詰まっているのです。
そこまでデザイン性と商品に込めた「真心」という思いを大事にしていたのは、当時としては凄いことだと思います。
また、この丸みを帯びたハート形は、子供がキャラメルを口に入れた時に舌触りが良いという機能面も考えられています。
スポーツから生まれたゴールインマーク
グリコと言えば、両手を上げてゴールインする人のポーズを思い出すと思います。この、いわゆるゴールインマークは江崎利一が、神社でかけっこをしている子供を見かけた時、その子供が両手を大きく上げてゴールインする様子から生まれました。
江崎利一は、スポーツは健康の近道であり、子供の遊びはスポーツにつながる。その象徴がゴールインだ!と言い、両手を大きく上げてゴールインするポーズをグリコのマークにしました。
子供の健康の為にスタートしたキャラメル、成分と形状、シンボルとなるゴールインマークまで一貫して「子供への思い」を反映させた、江崎利一の考え方・デザイン性に驚かされます。
このゴールインマークは、時代に応じこれまでに7回もの調整が加えられ、より洗練されたデザインに改良が重ねられています。
キャラメルのおまけ玩具
グリコ販売を通して子供の生活を観察していた江崎利一は、子供にとって食べると遊ぶは二大天職である!という考えにたどり着きます。そこから、体の健康を育むキャラメルと、心の健康を育むおもちゃを提供するようになります。
初めはキャラメルに、絵カードを封入していましたが、その後幼稚園の先生の意見を元におもちゃを付けることにしました。
ここまで、子供への思いという一貫した考えが、柔軟な発想と意見を取り入れることにつながったのだと思います。
現代ですら古いコトに縛られ、新しいコトを恐れ、何もできない頭の固い人がいるのにも関わらず、大正時代の江崎利一は頭の柔らかい人だったと思います。
江崎利一のような一貫した思いを持ち、そのためには何が必要か?を柔軟に考えて発想できる。現代に生きる僕たちも、参考にできることが多いのではないですしょうか?
🥷忍者の思考と精神を身につけるべく、日々修行を行ってますので見届けてもらえると幸いです。あとお仕事のご依頼もお待ちしております🙇♂️。サポートは兵糧(ひょうろう)に使わせていただきます。 WEB:https://shinobi-design-project.com/home