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(内容言及あり)僕の令和6年司法試験(特に論文)

短答突破できましたので、ようやく、公表することができました。
例の短答の件で頭がいっぱいだったためか、正直、正確に思い出すことができません。
しかし、今年は答案構成をしっかりしたため、それに沿ってここに何を書いたかを大雑把にお示しすると思います。


憲法

枚数4.5枚。

最初見たとき、ほう、ペットの販売。と思いました。
去年みたいな生存権といった変な出題じゃないことにまずはほっと一安心。
営業をしたいのにできない、と。これは、職業選択の開始の自由が制約されているな、と。
なので、規制①は、職業選択の自由を制約していることが問題と捉えました。
あの薬事法の職業の意義を丁寧に書く。これは配点がでかいだろうと。
そして、事柄の性質によって審査密度ことなるよね、と。
今回は積極目的でも消極目的でもない。でも司法審査に馴染むものである。
審査対象は個々の条件。3つの条件それぞれをLRAで審査。
結論は違憲。

規制②は広告の自由を制約している点で、表現の自由の問題と捉えた。
反論は営業の自由として22条1項ではないか、とまず書く。今回は広告のデザインに対する制約。だから表現行為の規制として21条1項の問題である、と。
なおかつ、これは内容規制。反論は内容中立規制が考えられるが、犬猫の画像を使うとかこれは内容面の話であるから、内容中立規制とはいえない。
だから厳格審査基準。違憲。 枚数4.5枚

行政法

枚数4.2枚

まず都市計画の制度について説明の後に事案。なるほど、制度説明をしないとイメージがつかめないから、これの理解は重要なのだろう。
設問1(1)。処分性を法的効果を明らかにした上で検討せよ。
今回の法的効果は、権利変換がなされるか、権利変換の代わりに金銭の給付を申し出ることができる法的地位に立つこと。そしてこれは選べるという点で個別具体的なものだから、法的効果性がある。そして、公権力性も認められる。
設問1(2)は、裁量権の逸脱濫用。
裁量権の有無広狭を手を抜かず丁寧に論じて、とにかく事実を拾った。
Eによる働きかけがあったこと。
C地区の特性。これらが考慮不尽であると。
そして本件は軽微な変更にあたらないこと。
軽微な変更にあたらない以上、縦覧・意見書手続きを実施しないことも違法となること。
設問2は判例の判断枠組みがすでに誘導に書かれちゃってるのでこれで差はつけれないのよなぁと。
とりあえず原則論。行政行為の排他的管轄から、取消訴訟で求めている行政行為と別個の行政行為の違法を主張することはできない、
だけども、判例により、違法性の承継が認められる場合には当該違法を主張することも許される。

ここからが難しいよね、実体法的観点と、手続き法的観点から、反論も考えつつ主張しなければならない。
再現答案では、この部分は以下のように書いている。
「本件についてみるに、本件事業計画変更認可は、法86条1項に基づく本件権利処分という目的を達成するためにその前提として権利変換が必要であり、両行為は先行行為・後行行為の関係にあたる。そして両者は市街地再開発事業という目的を達成するために、合い結合して初めてその効果を発揮するものといえる。
また、権利変換処分については、意見書提出手続きは定められておらず、その不服を争うことはできない。
ここで、B地区組合からは、先行手続きとなる本件事業計画変更認可において、意見書提出が認められていたから、先行手続きの保障は十分されていたという反論が考えられる。
それにもかかわらず、Dはそれをしなかった以上、Dは本件訴訟で本件事業計画変更認可の違法性を主張することはできないとも思える。
もっとも、本件権利処分について不服を訴える手段がなかった以上、本件事業計画変更認可で不服を争うのが相当といえる。
以上より、実体的観点・手続き観点から先行行為の違法性が後行行為にも承継されるとして、Dが本件訴訟において本件事業計画変更認可の違法性を主張することは認められるべきである。」

時間がなくて、実体法的にどうかとか、手続き的にどうかとか検討する暇がなかった。沈んじゃっている可能性が高いですね。怖いです。

民法

枚数4.8枚

民法は設問1(1)でやらかした自覚がある。
まず、アの、請求1を拒むことができる主張として、占有正権原の抗弁-賃貸借-
賃貸借は債権なので原則契約当事者間でしか効力を有さない。
そこで605条以下で対抗要件を認めている。
本件は建物所有目的の賃貸借だから、借地借家法の適用があり、10条で対抗要件具備。
しかしながら賃貸人Bは所有権者じゃないから、他人物賃貸借。
602条2号で5年間は賃借権が認められる。
だからCは請求1を拒むことができる。
イについて、これ、同時履行か留置権かでめっちゃ迷った。
九弁連模試や、民事法文書作成で出た問題なのに、僕は同時履行を選んでしまった。同じミスを3回もしてしまっている。でも今回は相続が絡んでいるから、賃貸人たる地位をBからAが相続しているから、それで同時履行の関係に立つと考えてしまった。なお、明け渡し義務のほうが先履行だから同時履行の関係は否定した。

答案構成では留置権検討してるのにバツにしてしまってるンゴ


供託、去年も書いたな。あれは大間違いの筋だったけど。
供託は、債権者が確知できないことについて重大な過失があれば認められないんだったな(494条2項)。
だからCの供託も無効、ということも説明。
設問1(2)
請求2の根拠は、不当利得に基づく返還請求権。
法律上の原因について、丙室は使用できなかったのに、その分の賃料は支払う必要はなかった(611条1項)。だから認められる。
請求3の根拠は、必要費償還請求。(608条1項)
ただ本件は急迫事情はなかったとなれば607条の2を満たさないことになる。また通知義務にも違反している(615条)。
だけども使用収益する権利がある以上、相当範囲の必要費の償還は受けるべき。だから20万円については本来はAが負担すべきといえ、認められる。

設問3
IのFに対する請求の根拠は所有権に基づく妨害排除請求権。
Fの占有は明らかだからIに所有権があるかが問題。
契約③④でIに移転しているはずの所有権だが、契約③が取り消されているのではないか。契約③について、95条1項2号の要件をちゃんとあげて、あてはめ。
もっとも善意無過失の第三者には対抗不可(95条4項)。
Iは善意無過失。
そうなるとIがGに対して所有権を対抗できそう。
でもIって所有権登記ないんだよね。177条との関係で問題になりそう。
だけど、ここでGを不法占有者と認定し、対抗できるとした。
そして最後に423条1項の債権者代位に基づく構成についても述べて、請求4を認容。

さすがに去年よりは書けてる、よね。

商法

枚数4.5枚。

設問1(1)
監査役の業務範囲は適法性と妥当性の監査である(381条1項)
として他にもいろいろ条文引っ張った上で、385条1項はあくまで取締役に対する差し止め請求。
これを類推できないか。
この点、株主による株主総会招集は裁判所の許可があるから、裁判所が審査して許可出している以上、それは対象外ではないかと考えた。
したがって結論は「手段はなし」。
設問1(2)
利益供与の類推適用かな、と捉えた。
利益供与の規定は、株主総会をやる会社が株主への利益供与を念頭に置いている一方、株主である会社が他の株主に影響を与えることを念頭に置いているのか。
まぁ、条文が「何人たりとも」って言ってることや、株主総会の公正さを揺るがすのはだめだよね、ということで、類推適用可。蛇の目ミシンの判旨を引用してあてはめ。
そして、商品券の取得・送付に要した費用は乙社が負担したという事実は、2項の解釈の方で使用。
設問2
まんま、辰巳模試のとおりじゃん。ただ、時間なかった。
まず、株式併合の無効の訴えは明文規定がない。
そこで、株主総会不存在確認の訴え。
平等原則違反が問題となるも、株式併合は会社法が認めた例外なので、不存在とはいえない。
なので、株主総会決議取消の訴え。
1号について、ブルドックソースの判断枠組みを引用。
主に特段の事情のところで理由の説明の部分などを検討。
ほんとは株主すべてが賛成したことを3号の中で検討したかったが、時間切れで省略。

民訴

これも4.5枚。
設問1
任意的訴訟担当の意義
まずそもそもこれは当事者適格の問題であり、訴訟物の観点から訴訟追行にあたってその者が判決の名宛人としてふさわしいかによって判断される。
そして、適切な訴訟追行が期待できることが115条1項2号によって訴訟担当者に既判力が拡張される根拠となっている。
そのような者がいる限り、当事者に代わって訴訟追行を認めても、当事者の利益を害さず、合理的意思にもかなうことにもなる。
→明文なき任意的訴訟担当は認められるべき。
その要件として、我が国の民訴が弁護士代理を強制していない一方、
弁護士代理の原則は存在するし(54条1項)、信託法10条は訴訟信託を禁止している。
→上記趣旨に反せず、合理的必要性があり、必要な授権があった場合認められる。
けど本件は趣旨に反する点で認められない。(これはのちの文でX1がX2とX3を説得してるところから、趣旨の部分で引っかかったのかなぁと考えた)
設問2
裁判上の自白の意義として、審判排除効・証明不要効・不可撤回効を説明。
要件も正確に3つあげる。(不利益は立証責任の方)
本件は先行自白として、相手方の主張と一致するの要件の部分で切って、裁判上の自白が成立しないとした。
設問3
既判力の問題。
根拠は、手続き保障。解除権の行使は、内在する瑕疵にあたらず、また期待可能性もなかったことという要件のもと、あてはめ。
本件ではずっと信頼関係の破壊で争っており、これは用法遵守と異なる。
→遮断効は生じない。
・・・俺反対の見解何書いたっけ。なんかは書いた覚えはあるけど構成用紙になく思い出せない。

刑法

枚数6.0枚
設問1
まず、甲の傷害罪を認定。
その後、強盗罪が問題となるも、新たな暴行脅迫が必要とすべきところ本件ではないので、強盗は否定。窃盗。
乙について、承継的共犯が問題となるも、中間説を取りつつ、否定。
乙の暗証番号を聞き出す行為を、2項強盗と構成。
暗証番号を聞き出せば現金を引き出すことができる法的地位に就くことができ、これが財産上不法の利益を得ることにあたる、と。
でも不能犯が問題となりそう。
だけども、たまたま被害者がカードを見間違えたのが原因であり、見間違えなければ正しい暗証番号を答えられたっぽそうなので、不能犯を否定。
設問2
(1)正当防衛のあてはめは差がつくポイントあるんだろうか。
(2)正当防衛は行為者それぞれを基準に判断すべき。そうである以上違法性の相対化もあり得るマルティネス。
あとは思い出せる自信がないので省略。残り時間のわりに注文の多い・・。

刑訴

枚数5.2枚。
例年、設問1が捜査パート、設問2が裁判パートなのに、今年は逆なのね。
裁判パートを途中答案にさせたくなかったんだろうか。書くこと多いし。
設問1
見た瞬間、違法収集証拠の問題だなと。不同意じゃなくて異議ありなら伝聞は出てくる余地はないはず。
違法収集証拠のあの論証を長々書いてると時間切れになりそうだが、
明文規定がないけど刑訴法1条と憲法35条から人権擁護と司法の潔廉性保持と将来の違法捜査抑止から違法収集証拠は排除されるべきだ、その要件は令状主義を没却するような重大な違法でありかつ排除が相当な場合である。と。
さて、今回の警察官何やってくれちゃってるのかしら。
まず職務質問。これは警職法2条1項を挙げて、当てはめ。
なるほど、所持品検査をしているのね。それなら米子銀行事件の判断枠組みも書かなきゃだ。
・・本件では同意もしてないし、なんなら、捜索に至ってますねこれ。
そして、捜査報告書②ではその過程を省いてるってことは捜査官の意図としても令状主義の没却があるね。だから司法審査を経ても希釈されない。
そうなるとその令状で差し押さえた結晶は違法収集証拠。将来の違法捜査抑止の観点からも排除されるべし。
そうなると鑑定書も、派生証拠として証拠能力を有さないのではないか。
判断枠組みは、違法な先行行為によって得られた第1次証拠(結晶)と問題となる派生証拠(鑑定書)との間の因果性の程度を中心に、当該証拠の重要性や事件の重大性なども総合考慮して決する。
鑑定書は結晶が覚せい剤であることを証明するものであるから、その証拠価値は重大であり、先行行為との因果性も大きいよねと。
というわけで、証拠能力を否定しました。
この設問、いろいろ書かされて本当に大変だった。

設問2
いつもの捜査パートですね。
まず、強制処分にあたるか。
重要な権利利益説で論証。
捜査①は、喫茶店の店長も同意してるし、他の乗客から見られるのと同態様。だから重要な権利利益を侵害するとまではいえない。
任意処分のほうは、京都府学連事件の判旨の判断枠組みを使用。
男を特定すべき必要性についてあてはめ。そして相当性について、たしかに第三者が映りこむような形ではあるが、店内の席からだし20秒と一瞬だよねと。よって適法。
捜査②は明らかにアウトくさい。
まず重要な権利利益を侵害するかについて、このやり方は私的領域への侵入と同じであり、侵害するのでアウト。
仮に侵害するとはいえないとしても、3か月間毎日24時間も撮影し続けるのはやりすぎで、任意捜査としても許容できない。
以上から捜査②は違法。

とにかく途中答案を回避できてほっとした。

さぁ、今年の論文はどう評価されるのでしょうか。

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