帰ると石田みなみさんが待っている生活
別に同棲しているわけでも妄想に取り憑かれたわけでもない。正気だ(と信じている)。私の仕事は忙しい時期と忙しくない時期があって、最近は仕事が忙しい。そんな忙しい日々の癒しがSTU48石田みなみさんのshowroomとなっている。残業してへとへとで帰宅するとちょうど石田みなみさんがshowroomを配信している時間に重なり、見ながらというよりも聞きながら夜ご飯を食べる。歯切れのいい発音で喋る石田みなみさんの話は普通に面白くて、ラジオを聞いているような気分になる。たまに不躾なコメントがあったりするとたしなめたりするあたり、NGT48の中村歩加さんと似ている。
彼女のshowroomは偶然見始めたわけではなくて、陸上公演で石田みなみさんに興味を持ったのがきっかけで見るようになった。さすがに違うと思うけど、私が見た陸上公演にいつもいたような気がする。小さな身体での表現は躍動感が人一倍大きく伝わってきて、しかし印象には残るのだけど目立ちすぎないというか、いい感じにグループのバランスを取っているような石田みなみさんは、何か大きなきっかけがあって好きになったというよりも、見ていたらいつの間にか好きになっていたというタイプのメンバーだった。W杯期間中なのでサッカー選手に例えると私の大好きなカンテっぽい。また、アンコールでラガーシャツを袖まくりしている石田みなみさんは部活に青春を賭けている女子みたいで、私の中ではバレー部のセッターのイメージだ。
陸上公演で気になって、6月に行われたAKB48の握手会で推し増しを使って初めて握手した。せとうちめぐりで握手したかもしれないので、本当に初めてかはわからないけれど、初めて石田みなみさんに会いたいという気持ちで握手した。初握手では陸上公演の感想を伝えた。公演のときの石田みなみさんのいちばん好きなシーンは、『暗闇』の間奏で堤防に一列になってひとりずつジャンプするシーンだ。列の一番手としてジャンプする石田みなみさんは、跳躍といい表情といい、思いきりの良さがとても清々しくて、見ていて晴れ晴れとした気持ちにさせてくれるので大好きだ。初めましてと挨拶した後に、『暗闇』の間奏のジャンプが大好きだと伝えると、誰よりも遠くに跳ぼうと頑張ってるんでと返してくれて、その爽やかな受け答えにますます好きになってしまった。
パフォーマンス以外で記憶に残っているのが、第2クール兵庫公演で並んで挨拶するときのことで、一列に並ばなければいけないところを後ろに一歩下がっていた隣の大谷満理奈さんの背中を押して、皆と同じラインで立たせようとしていた石田みなみさんだ。そんな石田みなみさんを見ながら、昔好きだったアイドルグループのエピソードを思い出して、こういう厳しくもメンバーを支える人は好きになってしまうよなと思った。
公演以外でも、showroomを見ていると石田みなみさんは周りのメンバーをよく見ていることがわかって感心する。いつだったか、STU48のメンバーはみんな頑張っているけど、その努力が伝わりやすいメンバーと伝わりづらいメンバーがいて、いろいろ誤解が生まれてしまうのが悲しい的なことを言っていて、そういうことを冷静に言える石田みなみさんは素晴らしいなと思う。アイドルがこちらの想像以上の努力をしていることは十分わかっているつもりでも、それでもちょっとしたすれ違いで両者の信頼関係はほつれていってしまう。絆が完全にほどけていってしまわぬよう紡ぎ手としての石田みなみさんはかけがえのない存在だ。
石田みなみさんはshowroomでよく「見えない努力と見える結果」と言う。なんだか意識の高い若手ビジネスマンのようで、最初は苦笑してしまったけど、今ではその確固とした信念があるからここまで来れたのだなと考えるようになった。努力していることを敢えてアピールする必要はないという石田みなみさんの考えはその通りだと私は思う。ステージで輝いている人を見れば皆頑張っていることはわかるし、彼女達の言葉にしない努力に対して、そこに思いを巡らして尊敬の念を深めることが、安易な言葉を交わすより強い関係になるという幻想を私は抱いている。石田みなみさんの信念には、そうだよそうなんだよという共感する部分しかない。
努力は敢えて語らないが、石田みなみさんは常々自分の考えを言葉にすることに真摯で、その正直さが人を惹きつけるのだと思う。『暗闇』の個別握手会でもらえた名刺に書かれたメッセージはどれも丁寧に書かれていて、私は後で知ったのだがとても良かった。個別握手会の全日程が終わった後に流れてきた石田みなみさん推しのツイートで、彼女のメッセージの濃さを初めて知ったので、もっと早く知っていれば個別握手会に並んでいたなと少し悔やんだ。6月のAKB48握手会で展示されていた履歴書も、笑いの要素を含めつつ振り返りと現状認識が出来ているあたり、本当に賢いんだろうなと感じる。履歴書には小説を書き始めたという中学生の頃の記述があって、ということは本を読むのが好きなのか、今も読んでいるのかが彼女について今最も知りたいこととなっている(アニメが好きなのは最近のshowroomで知った)。自分が知らないだけかもしれないけれど、STU48には文学少女的なポジションのメンバーがいないのが自分的に物足りない。実はいたりするのかな。
ほんの少しばかりの期間のshowroomを見ただけですべてを知れるわけではないけれど、石田みなみさんは賢いだけでなく覚悟もあってすごいなと思う。いや、それを言ったら覚悟の足りない人などいないか。今どきアイドルになろうとする人で、しかもAKBに入ろうとしている人が、その先に楽しいことだけでなく辛いことも待っているだろうことを知らないはずはない。周りからだって散々言われるはずだ。しかし何度もオーディションに落ちながらも念願叶ってアイドルとなった石田みなみさんだからこその強い覚悟が、今の彼女を真っ直ぐに立たせ、前を見つめる瞳の強さを引き出しているのだと思う(STU48にはそういうオーディション常連が多いが、拾われたのではなく選ばれたのだと信じている)。
総選挙直後のshowroomで、アイドルが悲しむ姿を見たくない人達の総選挙に批判的なコメントに対して、石田みなみさんはそれはもうAKBに所属している者の宿命みたいなものだからと言い、いろいろ大変なことがあることは理解した上でSTU48になることに決めたので、そこに属する限り挑戦するといった趣旨の言葉を発していて、それはもう本当にかっこよかった。私は総選挙が嫌いだけど、だからといって石田みなみさんの考えを否定することは出来ない。自分の決断を信じて、今いる場所で出来る限り精一杯生きようとする姿はとても美しい。人の美しさは覚悟と心映えにあるという私の大好きな小説の一節そのままの意味で石田みなみさんは美しいと思う。
長々と書いたが、そんな感じで石田みなみさんのことが気になっている。好きなのかというと好きだけど、DDの好きほど信用ならないものはないと自虐するぐらいの好きであって、まだまだ遠くからあの子は綺麗だなあと眺めているような距離感だ。それでも最近メールを購読し始めた。STU48セカンドシングルの個別握手会の握手券も初めて買った。彼女はただ単に握手会に来て来てとアピールして来てもらうよりも、握手会に来たくなるようなパフォーマンスなり活動をして、その結果として会いたいと思わせるようなアイドルになりたいと言っていて、その真っ当な考え方に感動すらしてしまう。私ももちろん自らの会いたいという気持ちに従って会いに行く。次に会えるときを楽しみにしています。