【恥ずかしい失敗談】11
さて、ワインレッドのフライングVを購入したキヤヘン。
最初の2年位はまぁそれをそのまま使ってたんですよ。
しかし、中学を卒業してちょっと長い春休みに入るわけです。
受験も終わって、春から進学する高校も決まって、のんびりゆったりした日々を過ごすわけですが、どうにもワインレッドが気になるんです。
77年のKISSの武道館コンサート。
ポール・スタンレーは、白いVにミラーピックガードで1PUでした。
雑誌のグラビアでは、黒いVにミラーピックガードで1PUです。
このどノーマルのVをなんとかポール・スタンレー仕様に出来ないものかと思案するわけです。
暇ってのは恐ろしいものです。
通常じゃ思いつかないことを、安易に思いつくんですよね。
しかも、それがベストチョイスの様に錯覚するわけです。
若気の至りも手伝ってます…。😅
【ポール・スタンレーへの道】
手持ちのワインレッドのVをポール・スタンレーにするには…。
1)ミラーピックガードにする。
2)1PUにする。
3)ボディーカラーを白、または黒にする。
この3項目を満足させればOKなのです。
1)【ミラーピックガード】
まず、ミラーピックガードを買いに行こうと、パーツが豊富なキクヤ楽器へ行ってみました。
ありました!
フライングV用のミラーピックガード!
しかし、2PU用です。
しかも、アリアプロ2用です。
Grecoに合うのだろうか…?
何より、値段が凄いことになってます。
9800円
高すぎます。
たかが、アクリルミラーの板が9800円
暴利にもほどがある…。
なんでこんな高いの?
因みに、初期のポール・スタンレーのVにのミラーピックガードは、塩ビだったんですよ。
なので、透明度が低く白く濁ってると言うか、乳白色の板に反射板を取り付けたみたいな雰囲気でしたが、お店にあるのはアクリルミラーで、ガラスの鏡のようにスッキリと反射してます。
ん~ちょっと違うけど、ミラーってコレしか無い見たいです。
一応店員さんに聞いてみると…
店員:「コレしか無いねぇ~。後は特注かな?1~2万はすると思うよ…。」
春休み中の中学生には1~2万のお金なんてありません。
入学祝いで、親戚などからちょいと包んで貰ってますが、基本的にそれは親が握っているので、オレには関係ないお金です。😅
これで、1)ミラーピックガードは遠のきました。
2)【1PUにする】
こっちは、一つ外せば良いので、簡単ですが、外した後の配線をどうしたら良いのか分かりません。
なので、とりあえずピックガードを外して、現状の配線を確認してみます。
なんとなく、どうなってるか分かったのですが、スイッチ周りを外して、ヴォリュームとトーンを1つづつにするわけです。
まぁ、これは何とかなりそうですが、1PU用のピックガードが無いと、ネック側に穴が空いたままになって、カッコ悪い…。
なので、コレも挫折するしかありません。
3)【塗装する】
コレなら缶スプレーで塗りゃ良いんだろ?的な感じで処理できそうです。
しかし、それが敗因でした。
塗装の技術なんかあるわけがない。🤣
でも、出来ると思いこむところが若気の至りと言うか、中二病の怖いところ。
もう春休みなのに、中二病と言う、痛い少年なわけです。
でも一応塗装の仕方を探ってみました。
まだインターネットもない時代。
ググる訳には行かないので、まず近所の塗料缶を売ってる金物屋さんへでかけて、店員さんに塗装の仕方を聞いてみました。
オレ:「あの~塗装したいんですが、どうやったら良いか分からないので教えてほしいんですが…」
店員:「何を塗装するの?」
オレ:「エレキギターです。」
店員:「缶スプレーでいいんじゃないかな?」(めちゃテキトー臭い)
そこでとりあえず、紙やすりと白いスプレー缶を5本ほど買いました。
早速自宅でもとのワインレッドの塗料を剥がす作業に入ります。
しかし、コレが失敗の原因でした。
もとの塗装を剥がして、生地をむき出しにすると、目止めから始めなきゃならないのですが、当時そんな知識はありませんでした。
とにかく「剥がして塗ればOK」と言う、めちゃくちゃ大雑把な工程しか頭にないのです。🤣
先ずは紙やすりでこすります。
しかし、当時の国産ギターはポリウレタンの硬い塗膜でガラスのようです。
幾らこすっても下地が出ません。
紙やすりはどんどん減ってゆきます。
また例の金物屋へ行って、塗装が剥がれないって話をすると、剥離剤を使えば簡単に剥がれると言う知識を得ます。
しかし、この断片的な知識がコレまた、災いを呼ぶわけです。
薦められるままに剥離剤を購入し使ってみる。
ジュワジュワと泡を立てながら、塗装が溶けてゆきます。
しかし、ひどい匂いです。
悪臭騒ぎです。
おふくろが飛んできました!
母:「アンタなにやってんの!?」
オレ:「塗装剥がしてる!」
母:「アンタそれギターじゃないの!?そんなコトしてどうするの!?」
オレ:「うっせーな!塗装すンだよ!」
とにかく、後戻りはできませんので、おふくろの文句も跳ね除けて、剥離剤を塗布して塗料が溶けたら拭き取ると言う作業を延々と繰り返すわけです。
粗方塗装は剥がれましたが、剥がれきらなかった塗料と剥離剤のシミが残って、ギターはめちゃくちゃ汚い状態でボロボロです。
「本当に、あのポール・スタンレーのような白いフライングVになるのだろうか?」不安はどんどん大きくなってゆきます。
金物屋の店員…ここで気付いたんですが、店員は「金物屋」なんですよ。
「塗装屋」じゃなかったんですよ。
コレが、2つ目の敗因だと思われます。🤣
で、金物屋の店員曰く「下地が出たら、きれいにヤスリを掛けて置かないと、ちゃんときれいに塗装できないよ?」だそうです。
なので、ここでまた、紙やすりを購入。
一体、何枚の紙やすりを購入したら良いのでしょうか…。😫
兎に角、言われるままに、240番のヤスリから、400、600、800と進み、800番で手触りがサラサラになったら、スプレーで塗装すると教わっています。
800番が終わって、表面はサラサラです!
なめらかな手触り!
成功の予感がします!…が、それは気のせいでした。
おもむろに、白い缶スプレーで塗装開始!
庭の物干し竿にぶら下げた状態で缶スプレーで塗装!
塗料が乗ります…が、ギターに吸い込まれていきます…。
塗っても塗っても吸い込まれていき、木目が見える白…になってます。
しかも、表面はガサガサ…。😅
オレ:「ぇ?ぉぃ…なんか話が違うぞ…(心の声」
そうなんです。
本来は、木の導管を埋める、目止めという作業をしなきゃならないんです
ここで、とりあえず本来の塗装の手順を説明しましょう。
1)木地は、400~600番位のヤスリで整え、目止めをします。(砥の粉とか、フィーラーを塗るわけです)
2)更に800番でヤスリ表面を整えます。
※木地着色する場合はここで、木地着色しますが、今回は白塗りつぶしなのでしません。
3)シーラーを塗り、800~1000番位で表面を整えます。
4)塗装します。※薄く数回に分けて塗り、1000~1200番で表面を整えます。
5)トップコート(クリア)を塗装します。※薄く数回に分けて塗ります。
6)完全に乾燥したら、1000番~2000番位で表面を整え、コンパウンドで磨いて、バフがけして仕上げます。
まぁ、ざっくりですが本来こんな工程なのです。
それを、
1)剥がす。
2)ヤスリで整える。
3)塗装する。
程度の工程でやろうとしてるわけです。🤣
絶対うまく行くわけない!🤣🤣🤣
まぁ、とにかく、目止めもしてないし、シーラーも塗ってないので、缶スプレーの塗料は、ギターにどんどん染み込んで行くわけです。
塗っては乾かし、塗っては乾かしを、5~6回繰り返したでしょうか…。
塗料が吸い込まれなくなりました。🤣
大量に吹き付けた塗料が導管を塞いだんですね。
おかげで、吸い込まなくなったんですが、表面は木目模様でボロボロです。
ヤスリを掛けてみると、木目に沿って塗料が落ちて、白と茶色の細かい縞模様になるわけです…。😫
縞模様はかっこ悪いので、また塗装します。
縞模様が見えなくなるまで何回も吹き付けます。
縞模様は見えなくなったんですが、表面は凸凹です。
なんか、疲れてきました…。😫
結局、ありったけの小遣いを全部白い缶スプレーに変えました。
全部で50本ほど買ったでしょうか…。
でも、全く綺麗になりません。😭
小遣いが無くなって諦めました。
諦めて、部品を取り付けました。
2PUのままです。
ピックガードも白いので、なんとも間抜けな感じに見えます。
これは、やっぱミラーピックガードが必要だと改めて思うわけですが、塗装は完全に失敗でした…。😭
ポール・スタンレーへの道…まだまだ遠いのです…。😭
つづく
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