【恥ずかしい失敗談】3
私は中学時代、グレコのギターを買った時に付いてくる「成毛滋のグレコ・ロックギターメソッド(初級編)」のカセットテープを一生懸命聞いてた。
当時、最新のテクニックを伝えるテキストの類はこれしか無かったと言っても過言じゃない。
初心者向けの雑誌等は確かに存在してたが、其の殆どは「朝日のあたる家」とかの譜面が載ってるだけで、具体的にどういうふうに弾けばいいのかさっぱり解らなかった。w
それに比べ、故 成毛滋氏の「成毛滋のグレコ・ロックギターメソッド(初級編)」は、イントロでいきなりフライドエッグのデモ演奏!
で、すぐさま「ニューロックの音の出し方!」キタコレ!w
「ま、ニューロックの時は、大抵アンプのボリュームを10にして…」
と語り始める…。
私は「なるほど“アンプ”のボリュームを10にするのか…だからあんなに良い音で歪むんだ!!!」
と信じて疑わなかった…。
一応、小型の練習用アンプも買ってあるので自宅でもアンプを使って音を出せるのだが、ボリューム10どころか、3でも苦情が来るので、アンプを使って大きな音を鳴らしたことはない。
当然、グレコのVとJENのワウだけで、10Wのギターアンプのボリューム2とか3とかじゃ、ペランペランのチョンワチョンワな音しかしない。
当時のアンプは殆どがシングルボリュームで、今みたいにクランチチャンネルとか、ディストーションスイッチなんか付いてない。
FUZZを買いそびれた私は、そりゃもうペラペラの音で練習してたよね。
でも、友達と一緒にでかい音で鳴らしたい!って事で、練習スタジオを借りることにした。
昼間の時間なので貸しスタジオも空いてる。
まだバンドなど組んでいなかったので、友達とギター2人でいざスタジオへ。
私は、初スタジオでもうウキウキ!
しかも、プロ(つまりハコの人)が使うようなスタジオなので、機材も充実してる。
初めて見る大型アンプに狂喜乱舞!
今となってはデカイってだけで何処のアンプか覚えてないが、スタック型の大型アンプだった。
恐らく、マーシャルなら1959、Fenderならセパレートのデラックスリバーブとか其のへんだと思う。
ギターをつないで、おもむろにアンプのスイッチをONにして、スタジオのオッサン(今思うとあんチャンだったと思うんだが、中坊の私にはオッサンに見えたw)に…
「真空管アンプは電源入れてから暫くしないと音がでないからね〜。故障じゃないからね〜。」
と更なる予備知識まで頂いていた。
そして「グレコ・ロックギターメソッド」で得た知識!
もう「自分は完璧だ!」と思い込んでた。
成毛滋:「ま、ニューロックの時は、大抵アンプのボリュームを10にして…」
成毛滋:「であと、トレブルもベースも全部10にしちゃう…」
私:「そうか全部10か…(心の声)」
成毛滋:「であとは、ギターのピックアップをこう、色々使い分けると音が変わってくるわけです…」
成毛滋:「例えば、”全部10”にしてベースピックアップを使いますとこんな音になります…」
カセットテープではここでいい感じのクランチサウンドが聞こえてくる場面だ。
私は、躊躇なく目の前の摘みを一気に全部10にした!
アンプからは「ブゥ〜〜ン」と鈍い電気の音がしてる、ケーブルがズレる度にパチパチ音まで拾ってる…爆音の期待は一気に高まった!!!!www
私は、おもむろにギターのボリュームを上げた…
アンプ:「ピガ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」私:「!?!?!?!(大汗)」
アンプ:「ギョギ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」私:「!?!?!?!(涙)」
アンプ:「パヒ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」 オッサン:「(ドアを蹴り飛ばしつつ…)何やっとんじゃー!!!!アンプ、ブチ壊す気かーーー!このクッソガキーーーー!!!!」
私:「いや、あの、その…」
スタジオのオッサンが血相を変えて怒鳴りながらスタジオに飛び込んできて、アンプのスイッチを切った…。
静寂を取り戻しつつ、私は軽くパニックで放心状態…
オッサン:「オマエ、何考えとんの?」
道民とは思えない微妙な言い回しで喋りながら、アンプの摘みをしげしげと見る…
オッサン:「オマエそんなモン全部10にしとったら、アンプ、ブチ壊れるに決まっとろうが…」
私:「す、すみません…(涙目)」
オッサン:「なんでこんな…誰に教わったん?」
私は、グレコ・ロックギターメソッドの話をした…。
オッサン:「そんなん出回るからおかしなガキが増えるんじゃ…ブツブツ…」
と言いながら、受付に戻っていった…。
とにかく、アンプのボリュームは10にしちゃイケないことを知った…。
それ以来「成毛滋のグレコ・ロックギターメソッド」は私のバイブルでは無くなったのだった…。www
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