過去の意思決定を翻し、bosyuの報酬金額を自由に設定できるようにした理由💰
こんにちは。bosyuのプロダクトマネージャーです。
本日、bosyuに設定できる報酬の範囲を拡大する機能のリリースを行いました。これまでは報酬金額をあえて制限する形をとっていたのですが、それを大きく変える形の意思決定を行いました。
過去の意思決定についてはこちらのnoteに書いているのですが、今回のnoteでは、なぜその意思決定を翻す意思決定をしたのかという話を書いていきたいと思います。
(上記のnoteから抜粋)
酬金額の設定についてはいくつかのパターンを考えたものの、最終的には「少数の選択肢から選ばせる」といった形をとりました。金額を自由に入力できない不自由さは承知の上で、選択肢を減らすことでの心理的負荷の低減や、値下げ合戦になり辛いプロダクトの空気感を優先させました。
「報酬の範囲を制限していること」についてのユーザーからの反応は悪いわけではなかった
今回の意思決定は、よくある意思決定のようにユーザーさんからの反応が悪かったので報酬を自由に設定させるようにした、、、というわけではなかったりします。
もちろん、当初から予想していたように「報酬を自由に設定したい」といった要望は勿論いただいていました。
とはいえこの要望はかなり少数で、全体的には「報酬が自由に設定できないこと」に関しての目に見える不満は少ないといった状況でした。
「報酬設定についての迷い」という課題に対するアプローチは、報酬の範囲の制限ではなないのでは?
私たちの想定としては、「報酬設定はとても難しい行為である」という前提のもと、報酬の範囲を制限することで「報酬設定についての迷い」を一定消し去ることができると考えていたのですが、リリース後のユーザーヒアリングなどを通して見えてきた事実は少し違いました。
人は対価を自ら決めることができない
一つ目は、人が自らの行為の対価を決めることの難易度はとてつもなく高く、報酬を自ら決められる人は殆どいないといったシンプルな事実でした。
例えば自分を例に出すと、フリーランスとして丸4年ほど生計を立てていますが、にもかかわらず自分の値付けがうまくできていません。得意分野であれば何となくの金額感はあるものの、それを外れた場合はまったくもって自信のある値付けができません。
これを紐解いていくと、この二つの理由に集約されます。
・人は自らを適切に評価することができない
・世の中一般の相場というものは誰にもわからない
周囲にいる歴戦のフリーランスの誰に聞いても同じような答えでした。値付けはよくわからないのでノリでやっているという人や、言い値でやっているという人が大半であり、誰一人として論理的に突っ込みどころのない理由をもって値付けを行なえていませんでした。
ここから導き出せるのは、値付けというものはそもそもとても難しいものであり(マーケティングで一番難しいのも値付けです)、一般人がどうこうしたところで出来るものではないという事実だと考えています。
値段が適切かどうかは外から見ても何もわからない
二つ目に見えてきた事実は、その募集の値付けが適切かどうかを外の人が知る手段はないという話です。
例えば、私がデザイナーさんに5万円でロゴの発注をしたとして、それを相手のデザイナーさんも受け入れてくれたとします。
このロゴの発注には、コンセプト決め、横長のロゴだけでなくスクエアのパターンなども含み、さらには複数回の修正依頼が含まれていたとしても、それを外から知る術はありません。
としたときに、「ロゴを5万円で作ってください!」といった募集の値付けが適切かどうかは本人同士でしかわかりません。
これはつまり、過去に出された他の誰かの募集を参考にしながら値付けをすることに、実は大きな意味はないといったことを示しています。
値段は相対的に決まる
もう一つ見えてきた事実は、値段はあくまでも両者の関係によって相対的に決まるという事実でした。
ほぼ同スキルの人材にまったく同じ依頼をしたとしても、国や地方が変われば報酬は変わってしまいます。
としたときにいえることはシンプルで、そもそも適切な値付けというものが世の中に存在しないという事実なのではないでしょうか。
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これら3つの事実を考えるならば、そもそもとして「世の中一般として適切な値付けを行うことが難しい」と考えていたこと自体の前提が間違っており、「すべての人にとって適切な値付けはそもそもできない(not 難しい)」という前提のもと、値段に関しては可能な限り柔軟に設定できるようにする反面、ユーザー間での安全性を確保していく方が、bosyuとしては正しいのではないかと考えるようになりました。
それらを踏まえると、報酬の設定範囲を制限するよりはむしろ柔軟であることを推奨し、適切なタイミングで報酬を変更できるようにしたりするアプローチの方がbosyuらしいと現時点では考えています。(やり取りの中で報酬の金額を変更する機能は既にリリースされています)
まとめ
いろいろなことを考えて行なった機能の設計も、実際にリリースてみるとこちらの意図がうまく伝わっていなかったり、自分たちの想像通りにいかないことは常です。そこにうまく向き合って、ユーザーさんにとってより良い形を追求していければ良いなと思っています。
また、本文には書かなかったのですが、値段の上限金額を制限していたことによって「報酬の低い仕事だけが掲載される場所」に感じてしまう、、、といったご意見も頂いたりしていました。この辺りは「値下げ合戦を防ぎたい」と思っていた私たちとしてはわりと盲点で、たしかに最低価格はそのジャンルごとにまちまちで、9000円が最低価格だととても安いと感じてしまうジャンルもあるよなあと思った次第です。(このご意見も今回の意思決定には大きく関わっています)
すべてのジャンルに開かれた場でありたいと思っているが故にバランスをとっていくのはとても難しいのですが、良い感じの塩梅をこれからも探っていければと思っています。
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P.S. 毎日ぐぬぬしながらプロダクトをどうしようかなーと思っているアカウントがこちらです。プロダクトが好きな人、ゆるく絡んでもらえると嬉しいです!