性別や年齢って、いつまで企業の選考で使われるんだろう?
[これはなに]
カンタン転職サービスbosyu Jobsのプロダクトマネージャーが考える、日本の採用活動における「性別」「年齢」という負についての話。
新卒での就職活動や、転職活動時に行われる書類選考や面接。そこでは、実質的に「性別」や「年齢」での制限が行われているのは紛れもない事実です。このnoteでは、日本の採用活動における「性別」「年齢」という負について記します。
1 | 採用活動における「性別」や「年齢」の制限は原則禁止
日本の法律として、募集・採用時に「性別」や「年齢」に制限を設けることは原則禁止されています。
海外においてはそれがより一般的であり、履歴書(に該当する書類等)などで性別や生年月日、顔写真、出身等の記載を求められないことが通常です。
(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)
第九条 事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
「労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)」より引用
(性別を理由とする差別の禁止)
第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」より引用
これは、採用活動において可能な限り予断を排除し、仕事の能力だけで採用する・しないを判断していくべきだといった考え方からです。
にもかかわらず、日本の採用活動においては「性別」「年齢」「居住地」どころか「顔写真」が判断材料になっていることは紛れもない事実です。
その主要因が、日本の多くの求人媒体や履歴書という文化です。
[補足] 性別欄のない履歴書が徐々に発売されるようになってきているものの、未だに多くの履歴書では性別欄が設けられています。
2 | 求人媒体では、当たり前のように「性別」や「年齢」が使われているという現状
私自身、過去に数度の転職活動をしていたことや、転職系のサービスに携わっていることもあり、メジャーどころからマイナーなものまで、たくさんの求人媒体 に触れてきました。
そのほぼ全てにおいて、性別や生年月日の入力が必須であり、そのことに対して麻痺していた私は、それが当たり前だとすら感じていました。
主要求人媒体における性別・生年月日の登録状況
(2020/11/19時点 筆者調査)
このような求人媒体を利用した採用活動において、性別や年齢などの予断を排除した形での採用活動が出来るかどうかは、甚だ疑問です。
この現状ってどうなんでしょう?
3 | 採用現場においては、当然のように年齢や性別での絞り込みが行われているという実情
求職者サイドからすれば、年齢や性別の登録に違和感があったとしてもそれらの求人媒体を「使うしか無い」現状があります。
他方、採用する側の企業から見た場合はどのような状況なのでしょうか。
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私自身、所属する会社などで採用活動に関わることも多く、採用する側の立場としても様々な求人媒体を利用してきました。
求人媒体によっては、応募があった際に「年齢」だけでフィルタリングして自動でお見送りする機能が備わっていたり、「性別」や「居住地」を検索条件として指定した上でスカウト対象の求職者の検索を行うことが出来たりと、実態として多くのケースで「性別」「年齢」等の利用を前提とした求人媒体の運用が行われていました。
これって本当にあるべき姿なのでしょうか?
また、今回bosyu Jobsを作っていく中でたくさんの企業の採用担当の方にインタビューをさせていただいたのですが、「候補者の年齢は絶対見たい」といった話や、「スカウトするときにまずは年齢で絞り込む」といった話、「応募を受けた際は年齢によってフィルタリングしている」といった話を当然のように話されていて、これが日本の普通の採用現場なのだと改めて思い知らされました。
4 | 日本の採用活動は変わるのか?
法律が原則禁止とする「性別」や「年齢」を当たり前のように使う採用活動は、今後変わる見込みはあるのでしょうか?
また、産休育休などのブランクに対しての不利な扱い、どの年齢になっても存在する学歴フィルターなど、採用における悪しき風習はなくならないのでしょうか?
これらの原因の一端は、多くの求人媒体が「企業側」を向いて運営されていることに起因すると考えています。
例えば、「学歴フィルターがないと選考が大変」だとか「年齢で絞り込んで自動でお見送りしないとやっていけない」だとか、そんな「企業からの声」に向き合い続けた結果が、いまの求人媒体の現状なのだと思っています。
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また、これらの背景にあるのは、求人媒体における「紹介料」というビジネスモデル、そして採用活動における母集団形成という呪いの弊害だとも考えています。
紹介料をベースとしたビジネスモデルの場合、売上を伸ばすためには「求職者の沢山を送り込んで確率論で内定を増やす」という戦略が非常に有効です。
そこで生み出されたのが「あなたと近い人は内定までN件の応募をしています。気になった企業には迷わず応募しましょう」という、求人媒体によくある応募を促すメッセージです。
自ら応募を増やし、そしてそれを処理させるために「性別」「年齢」「学歴」などでのフィルターを利用させるという負の循環を生んでいます。
他方で、日本の採用活動に追いては母集団形成という呪いが存在しています。自社にマッチする人材を採用するためには、採用候補者の「数」を重視すべきだと行った考え方です。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
ひとりの募集に対してひとりの応募があり、その人を採用することができれば、それが一番良い採用活動ではないでしょうか。
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このような状況を変えていくのが、新しい求人媒体としてのひとつの役割だと考えています。そして、そのための仕掛けを粛々と準備しています。
リリースしたばかりで粗いところも多いですが、みなさんの職業選択が少しでも良いものになればと思って、心を込めて作りました。
もちろん、性別や年齢の登録どころか、「ニックネーム」の登録だけで大丈夫な求人媒体になりました。
使っていただけると、そしてご意見をいただけると大変嬉しく思います。
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P.S. エンジニア勢が爆速で開発しすぎて、タスク管理のためのTrelloが重くなりすぎて困っているアカウントがこちらです。Trelloの良いテクニック、誰か教えて下さい。