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サービスを閉じるという時の話【ジャストアイディア】
[これは何?]
株式会社キャスターの執行役員ワタリとbosyuのプロダクトマネージャーのkoyoでお送りしているpodcast「ジャストアイディア」の「サービス(bosyu)を閉じるときの話」の回のダイジェスト。書き起こし時に加筆修正しているため、podcastとはかなり違うのはご愛嬌。
podcastはこちら!
bosyu、閉じちゃうんだね
ワタリ: もともとは別の話題をしようとしていたものも、今日(収録日は3/16)はbosyuの終了を発表した日ということもあり、今日はサービスを閉じる時の話を急遽しようかなと。
koyo:Twitterもトレンド入りしちゃってbosyuが今日は話題だね。本当はもうちょっと別の話題でトレンド入りしたかったんだけども(笑)
ワタリ:今日閉じるって実は知らなかったんだよね。もちろん役員会とかで事前に聞いてはいたんだけど、日付は知らなくて。胸中としてはどんな感じなの?
koyo:2020/9頃に書いたnoteにも書いたんだけど、bosyuの成長はコロナ禍によって止まっていたんだよね。ミクロな数字はちゃんと伸びていたんだけど、本当に追いたい数字は伸びてなくて。
ワタリ:どんな数字を追っていたの?
koyo:わかりやすく、募集数かな。回遊率だったりの手前の数字は全部伸びてたんだけど、この部分がどうしても伸びなくて。数字を色々みて理由を追ってたんだけど、2-3週間くらい何も分からなかったかな。
その中でbosyuさん(bosyuのTwitterの中の人)と雑談しているときに、「みんな、人と会いたがってるよね」みたいな話が出て。で、bosyuされている内容をその観点で見てみたら、「ランチ募集」みたいなものは殆ど出ていなくて。
そのときに、「コロナの影響をめっちゃ受けてたんだな」と理解して。これが去年の7-8月くらい。
このときに考えたのは、「どうしようもないから閉じちゃう」という話と、「ステイして特化させよう」みたいなことで、結果的にはbosyu Jobsという形で特化させることを選んだんだよね。
なので、閉じる閉じないだけでいえば、わりと前からその事は考えていたって感じ。
ただそれがこのタイミングになったのは、色んな事情はあるけれど、bosyu Jobsリリース後の学びが一定溜まってきたタイミングというのは大きいかな。
ワタリ:なるほどなあ。言える範囲でいいけど、bosyu Jobsという採用領域に特化した理由ってあるの?
koyo:事業として成立させるためには勿論マネタイズが必要で、もともとやっていたbosyuの領域だとやっぱりしんどいなと。
ワタリ:特化させるって意味だと、採用以外にもあるよね。たとえば、自分の場合はbosyuとビザスクを併用してユーザーインタビューしてたんだけど、そんな感じの領域選択もあるよなと。
koyo:bosyuはもともと「広く張る」っていう戦略をとってたんだよね。もちろん、定石でいうと特化させるほうがよくて。例えば私たちの馴染み深い「Web制作」ってジャンルだったり、プロフェッショナルに対しての「質問の場」だったり。
ただ、これってbosyuがやりたかった世界観ではないんだよね。どういうことがやりたかったかでいうと、普通の人が「ちょっとお金が無いな」って思ったときに、稼げる状況を作りたかったんだよね。
ワタリ:それ、すごく最初から言ってるよね。
koyo:そうそう。で、これを実現しようとすると「広く張る」しかないんだよね。もちろん一定の経験があれば特化した状況でも稼げると思うんだけど、例えば学生さんが「ちょっとお金を稼ごう」としたときに出来ることって短期バイトくらいだし、これが女の子だったらキャバクラとかになっちゃうわけで。それって本当に良いんだっけ、みたいな課題感がベースにあるんだよね。
ワタリ:なるほどねえ。
koyo:だから攻め方が難しかったんだよね。でも、そこで特化させちゃうと、サービスをやる意味がないなって。
ワタリ:個人的にはこの話がここで出てくるのは胸熱で、bosyuの担当役員の石倉さんもずっとこの話をしてるよね。学生時代にお金がなかった時の話とか。専門家ではない人がお金を稼ぐための手段を提供するとなったときには、特化させるってのは確かに違うよね。
koyo:そうそう。特化させたほうが良いってのは当然のことながらわかってたんだけども。
とはいえ、普通のことがお金になるってのも見てきたわけで。たとえば、「眼鏡を選びます」みたいなことが、お金が貰える仕事になっていたりで。そんな感じのちょっとしたことが売れるという仮説をもとに、サービスをやってたんだよね。
だから、特化させたりとか、マネタイズのための手段を選ぶ、みたいなことはあんまり考えてなかったんだよね。
真似はすぐに出来るけど、世界観は作り込めない
ワタリ:Tweetもしてたけど、bosyu自体の真似は簡単にできるけど、世界観は作り込めないよね。
koyo:作るだけだったら一週間とかの世界なんだけど、そういうものではないんだよね。例えばだけど、全件目視でチェックしてるんだよね。
技術的なことだけでいえば数日あれば基本部分はクローン出来ちゃいますが、本質はそこじゃないのが難しさですよねー。
— きゅーい🍿🍿 (@library_fit) March 16, 2021
ワタリ:パトロール隊ね(笑)。自分もパトロールで何回か怒られたことあるし。
koyo:そんなことを実はちゃんとやってたりとか、変な募集が出辛いカテゴリ分けにしてるとか。
ワタリ:いかがわしい出会いとかで傷つく人がいると最悪だしね。
koyo:そうそう。そういうのを防ぐために禁止ワードの仕組みだったり、お金にならない細かい部分の開発を実は結構入れてるんだよね。
ベースでいうと一瞬で作れるけど、そんな気配りみたいな作り込みが開発的には面倒だし、もちろん人手もかかるし。ある程度の規模を維持しながら治安を良くしていくのってわりと大変なんだよね。
その意味だとメルカリとか本当にすごいよね。
ワタリ:わかるわかる。ところで、bosyuを見てきたりとか、今までの付き合いの中で思うけど、koyoは治安悪いの好きじゃないよね。
koyo:そうだね。稼ぐだけだったら治安悪いほうが絶対稼げるんだけどね(笑)
ワタリ:まあねえ。キャスター社としてやる事業だからというのもあると思うんだけど、治安を良くするための意思決定みたいなものはあったの?
koyo:ユーザーさんには特に公開してないんだけど、実はコンセプトがあるんだよね。これは2019/8くらいにメンバー全員で決めたんだけど、ざっくりだと「自分の子供に気兼ねなく薦められるもの」って感じで。なので、ここから外れるものは全部切るっていうジャッジをしてたんだよね。
ワタリ:なるほどなあ。自分もいちユーザーとしてそこはすごく感じる部分かな。
仕事にならなかったよね、今日。
koyo:bosyuに関わるメンバーは皆仕事になってなかったよね、今日。サービスを閉じるときに「ふーん」みたいなコメントじゃなくて、「残念だった」とか「一番好きなサービスだった」とか言ってくれるのは、単純にありがたいなと思ったかなあ。
ワタリ:bosyuに関わっていたわけじゃないけど、反応見てると自分まで嬉しくなったよね。
koyo:知ってる人も知らない人もツイートしてくれてて、ちょっとよかったよね。K原さんとか笑。
そんな人達に何らかの良い影響を与えられたことは嬉しかったけど、力不足だったなあ。
仕事の目的って成果物だけじゃないよね
koyo:誰かに仕事を頼むときって、実は成果物がゴールじゃなかったりするんだよね。
ワタリ:わかるよ。
koyo:仕事というもので人と人がつながって、お金というものでその関係が強化されて。
ワタリ:気付いたら友だちになってる的な。
koyo:そうそう。友だちになってるが実はゴールなんだよね。仕事がしたいんじゃなくて、友だちになりたいんだよね。最後はリアルであって飲みたいみたいなのが根底にあって。だから、リアルで会いたいみたいな欲求が抑制されてしまっている状況では、結構しんどかったんだよね。
ワタリ:bosyuに限らずだけど、コロナでつらい思いをしているサービスっていっぱいあるとは思うよね。
koyo:だねえ。
ワタリ:そんな状況でもバットを振り続ける機会が作れると良いよねえ。bosyuチームは次の打席をまだ作れてるから、そこは良いよね。
koyo:一定の基盤がある会社で新規事業としてやらせてもらってるから、そこはありがたいよね。これがもし自分が調達してやってたりしたら、再起できないよね。
ワタリ:だねえ。
閉じる前に考えてきたこと
koyo:中の人からすると、もちろん覚悟はしていて。閉じるタイミングでもメンバー全員で話してるんだよね。
ただまあ、これまでの議論で大体の方向性は決まってたので、閉じることについて直接話したのは小一時間くらいなんだけど。その中でメンバーの一人が「良い案が浮かんでたらこの半年の間にやってるから」みたいなことを言ってて、真理だなあって思ったかな。自分もこの半年くらいで打てる手がほぼ浮かばなくて。
ワタリ:bosyuチームみんな優秀じゃん。でも、その人達が半年くらい考えても出てきてないわけだしね。
koyo:もちろん、数字伸ばすだけならさっき言った感じでやり方はあるんだけど、ちょっと違うよねえと。
ユーザーの方に向けて
ワタリ:ユーザーの人になにか伝えておきたいことある?
koyo:実はbosyuのPMとしては3人目なんだよね。最初は坪田さんで、キャスターに譲渡されてから別の方がPMをしていて。自分が引き継いだ当時と今のbosyuってぜんぜん違うんだよね。たとえば、当時のbosyuはメッセージ機能がなかったりとか。
ワタリ:確かに(笑)DMが承認されなくて連絡とれないとか(笑)
koyo:そんな状況の中で、事業譲渡されたものをきちんとリブランディングして、そこで一定の成果が出てたのは良かったかなと思う。他方で、そこを伸ばせられなかったのは単純に力不足だなあと。
制約が多かったのは事実だけど、その中でのやり方はあったと思うし、力不足かなあ。とはいえ特に良いやり方はなかったんだけど。ロジカルじゃないやり方だったらいくつかあるものの。
ワタリ:なるほどなあ。ビジネス的な感じじゃなない話だと、bosyuがなければ出会えていなかった組織とかいっぱいあるよね。ウチの事業部のメンバーとか、bosyu経由の人沢山いるし。
koyo:たしかにそうだよね(笑)今日Twitter見ててその辺はすごく驚いたなあ。
ワタリ:2019年の高田馬場にあるジンギスカン屋さんとの出会いとか、bosyuがなかったら絶対になかったなあ。
koyo:まあなんていうか、そこなんだよね。コロナ禍だったら、絶対にその出会いは無いわけじゃん。
ワタリ:たしかになあ。コロナがなかったとしたら、もしかしたら別の美味しい焼肉屋さんとも出会っていたかも知れないよね。
koyo:だねえ。
bosyuとして解決できなかった課題
koyo:別観点の課題ではあるんだけど、「人は募集を出せない」っていう課題をずっと解決できなかったんだよね。
ワタリ:たしかにわかるわ。
koyo:採用の募集がいっぱいあるのは、採用っていうわかりやすいキッカケと参考になる募集が多いからなんだけど、「自分のできることを募集しよう」みたいな感じになったときに、自分が出せることって殆どないんだよね。
ワタリ:なるほど。自分ができることの価値を自認してないからね。
koyo:そうなんだよね。勿論ここへのアプローチは行っていたんだけど、募集という売り物を増やすことは難しくて。
ワタリ:なるほどなあ。ここの解決策はbosyuのテーマを絞るでしかないよね。で、どこに絞るかでいえば、ランチとかではなくて採用ってのはすごくわかる。
koyo:だね。もしくはさっきから言ってるWeb制作。ライティングとかもかな。ただ、それをやるんだったら、既存の他のプレイヤーさんに任せれば良くって。
あとがき
そんなこんなで、bosyuを閉じることを公表した日に、ワタリとワイワイしたpodcastがこちらです。
サービスを閉じるということ自体は珍しくはないものの、一定期間しっかり関わった思い入れがあるサービスなわけで、色々な気持ちがあった一日でした。
外から見る感じと中から見る景色はやっぱり違っていて、「推しは推せるときに推しておけ」という言葉に尽きるのかなと思ったりしました。
もう少しテクニカルな話なんかはまた別の機会でお伝えできればと思います。それではまた。
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P.S. 言える話しか言わないというの、難しいね。引き続き打席には立ち続けていくので、良ければフォローしたりpodcastも聞いてください!
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