ムエルタ(死者)のネアリカ
【キャベツシリーズネアリカ12枚目】
『ムエルタ(死者)のネアリカ』
まず、ネアリカ(Nierika)とは。
簡単に説明すると、ネアリカはメキシコの先住民「ウイチョル族」の伝統的なアートである。蜜蝋を塗った板に、毛糸を並べて貼り付けていく。
ウイチョル族のシャーマンは、巡礼に出て、幻覚剤であるサボテンを取りに行く。断食をして空っぽのおなかに、幻覚サボテンを摂り入れる。(ものすごく不味いらしい)
それによって見えたビジョン(幻覚)を毛糸で表現していく。だからこれは、宗教儀式であり、精霊や神からのメッセージのようなものだ。
本来のネアリカはこういうもので、「この世とあの世をむすぶトンネル」とも言われているらしい。だからネアリカを作るときは、できるだけ計画せずに、うまく作ろうとか、やり直そうとか、そういう自分の自我を捨てて、作ると良い。
このシリーズは、アクリル毛糸とボンドで作っている。
ストールで顔を隠した上に、死者の日のメイクをして変装している。姿かたちは違っても、いつも見守っている。
愛犬が死んだ。16年間見えていた者が、見えなくなるなんて不思議だ。見えないだけで、ここにいるんだと思う。どこにいっても、ずっとそばにいる。
見守ってくれてありがとう。
だから、おまえの分まで生きるよ。
自主制作映画「きゃべつのものがたり」シリーズ最後のネアリカ。この元の写真は、初めてのネアリカ作品と同じもの。
(photo by miki teraoka)
これが初めてのネアリカ作品。
このときは、「絵なんか描けない!!!」と信じこみ、写真を拡大印刷して、ダンボールに貼りつけ、塗り絵のように、同じ色の毛糸を上から重ねて作った。
今回は、その写真をデッサンした。デッサンは初めてなので、A4の印刷用紙を8分割して、見本も同じ用にA4サイズに印刷する。
どこまで陰影を描けばゴールなのか分からない。今見ると、もうちょっとやったらよかったな、と思う。デッサンは、目の前の事象をありのままに受け止める。デッサンを続けることで、見えてくるものがありそうだ。
人の顔はネアリカでたくさん作ったので、メキシカンスカルメイクを付け足した。ディズニー「Remember me」の死者の日のお祭りで、死者に仮装していたあれだ。
毛糸は絵の具のように色が混ざらない。それを楽しむのがネアリカだ。だったら、混ぜてしまおう!毛糸を1ミリ幅くらいに、細かく切ると、フワフワの羊毛みたいになる。
近くで見ないと分からないのだけど、どれも2色以上を混ぜてある。個人的には、ワインレッドと紺色の組み合わせが好き。
細かく見えるけど、長い毛糸を敷き詰めて作るよりも、ぜんぜん簡単なんです。置いていくだけだから。つまようじで、トントンと整えながら。
「きゃべつのものがたり」シリーズの最後のネアリカ。12枚作り上げた。なんだか寂しい感じ(笑)平均で25時間くらいかけて作った。それも、ものすごい熱中した。
大人になってから、こんなに何かに熱中したのは初めてだ。絵は得意じゃなかったし、大人になってから絵を描いたのも、これが初めてだと思う。
やろうと思えば、なんだってできるんだな。
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