へび・感想文
幼い頃、階段のまどから外をみていたら、
家の前の電柱に蛇が上っていくのが見えた。
にょろにょろにょろにょろ。
蛇の動く擬態語は、秀逸だ。
にょろにょろにょろにょろ。
蛇が電柱のてっぺんに到達した。
そのとき。
蛇がいきなり湾曲し、
電柱の頭の部分に躍りかかった。
鎌首をもたげ、ヘ音記号のようになった蛇の体。
そしてそこから鳥が、数羽ぱっと飛び立った。
そのまま、終った。
何の感想もなかったが、一つの現象として、強烈な印象として残っている。
本当に衝撃的なことは、感想は生まれない。
なので、わたしは感想文といった類いのものは大嫌いだ。
ましてや、読書感想文など。
玉垣を 通ひ路とせり 青大将