[ KIW Workplace locations vol,02 ]全国初の仕掛け人!「KIW-Workbox山之口SA」を手がけたNEXCO西日本濵野さん Interview
2020年1月、宮崎自動車道にある「山之口サービスエリア(上り線)」にコワーキングスペース「KIW-Workbox山之口SA」が誕生しました! KIWと西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)、そして宮崎大学地域資源創成学部(谷田貝ゼミ)との三社が社会実験として始めたもので、全国の高速道路では初となる取り組みです。 今回はこの取り組みの立役者でもあるNEXCO西日本九州支社の濵野昌志さんにワークプレイス誕生の背景やこれからKIWと取り組んでみたいことについてオンラインでお話を伺いました!
Profile:
濵野 昌志
NEXCO⻄⽇本九州⽀社総務企画部地域連携担当部⻑
1970年⽣まれ、⼤分県佐伯市出⾝。1993年に⽇本道路公団に⼊社、2005年の分割民営化により現在はNEXCO西日本に所属。近年では九州⽀社の事業開発課⻑、総務課⻑、佐賀⾼速道路事務所⻑を務めたのち、現在は地域連携担当部⻑として、⾼速道路を起点としたまちづくりを⾏う。令和2年にはKIWと宮崎⼤学との共同社会実験で、⾼速道路のサービスエリアに無⼈のワークプレイスを設置するという、⽇本初の事業を実現させた。そのほか、地域政策デザインスクールのフェローや、⼩城市地⽅創生総合戦略有識者会議委員なども務める。
(写真は前職時、ドローン活用について語る濵野さん)
循環型のネットワークを生かした事業で新たな価値を
「高速道路のネットワークに着目した取り組みであること、かつ九州は循環性が高いという価値を的確に捉えたビジョンに共感できたことがKIWさんの事業に興味を持ったきっかけでした」。
NEXCO西日本九州支社の地域連携担当部長として、高速道路を起点としたまちづくりに挑戦している濵野さん。「多様化する社会課題を高速道路という社会インフラを通じて解決できるよう、新しい利用価値を創造をする」というミッションを掲げ活動していく中、KIWとの出会いがありました。
「九州の高速道路は1971年に熊本で開通し、49年の間で総延長1095kmとなり、点から線、線からネットワークへと九州の高速道路は概成してきました。高速道路を整備するという役割は果たしている中で、これからの新たな役割を模索していたところに、KIWさんの描く循環型ネットワークを使ったビジネスの話を聞き、“これだ!”と感じたのです」。
テクノロジーの進化により持ち運びできるデバイスが増えたことや社会変革によりリモートワーカーが多くなった昨今。サービスエリアでは車中でパソコンを開き、スマホを片手に仕事をしている人たちの姿を見ることも多くなったと話す濵野さん。今こそ循環型のネットワークに「働く」という価値を加えたビジネスが新たな高速道路の役割になるのではと考え、KIWと宮崎大学地域資源創成学部(谷田貝ゼミ)と三社共同の事業が始まりました。
全国初の取り組みは山之口から
「九州というローカル発案かつボトムアップな提案ということで、社内での決済を取るのに苦労した」と話す濵野さんですが、地域課題や社会変革を捉え、高速道路という社会インフラがそれらの解決の一助になれるということを伝え続けた結果、宮崎県にある山之口サービスエリアから全国初となる取り組みが始動したのです。
「KIW、宮崎大学地域資源創成学部(谷田貝ゼミ)と弊社の三社がそれぞれの強みを生かし連携する共同研究・社会実験としてスタートしたので、宮崎大学からのアクセスが良いこと、そして同時期に山之口サービスエリアが一般道から施設へのアクセスができるウエルカムゲートの設置をしたことから、一つのシンボリックな場としての期待もあり、山之口を選択しました」。
山之口サービスエリアのワークスペースは、建築家の隈研吾とスノーピークが手がけたトレーラーハウス「住箱-JYUBAKO-」を利用したもの。
「移動が可能なトレーラーは平時も含めて有事の際にとても機能すると考えていましたので、KIWさんから住箱の提案を受けた時には、高速道路との親和性も高く、理想のスペースだと感じましたね」。
全国初の取り組みであることに加え、トレーラーハウスの住箱を改修して生まれたスペースは多くのメディアにも取り上げられ、大きな話題を呼びました。
アフターコロナ時代の移動と働く。
社会実験がスタートしたのもつかの間、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、「KIW-Workbox山之口SA」は1日1組限定の完全予約制に切り替えて運営を続ける事態に。しかし一方で追い風も吹いています。
「新型コロナ禍において世の中的に働き方が変革し、リモートワークが加速しています。まさにKIWさんが目指す“働くをオフィスから解放する”ということですよね。今後地域で働く人が増加すると考えられますし、その際に都市圏と地方とを結ぶ中間地点や、働く場所が足りないような地域において、サービスエリアが気分転換の場所も兼ねたワークスペースであれば、これからの可能性は大いにあると感じています」。
リモート化が進行することによって変わっていく、働く時間や場所の概念。目の前には雄大な山々が見えたり、高速道路を走っている車が見えたり。普段見ることができない景色を見ながら、ゆっくりとした時間の中で集中して仕事ができるスペースは、これからの多様な働き方にマッチすると思うと話す濱野さん。“移動”と“働く”両輪でのビジネスがこれから重要になってくると考えています。
「サービスエリアは余暇を楽しんだあとのお土産を買って帰る場所であったり、旅先へ向かう途中で休憩をしたりという場所であったので、コロナ禍のように移動が制限され、余暇のあり方や地域での楽しみ方が従来と変わってくると、道路サービスも変わらなければいけないと思っています。そういう意味でも“移動”と“働く”というのは、これから考えていく重要なテーマだと思っています」。
ONE KYUSHUを共に。
最後に濵野さんに、KIWとこれからどういう未来を描いていきたいかについて伺いました。
「ワークプレイスの場所はKIWさんの構想にもあるように1箇所だけでなく九州各地に広げていく必要があると思っています。高速道路上にも増やしながら、それ以外にも九州の各地域と連携して広げていくところも一緒になって行いたいですね。そういう場所ができるとコミュニティが生まれますし、コミュニティを通じて“働く”の先の付加価値も生まれてくると思っていますので、共に取り組みながら、KIWさんが掲げる“旅する自由を九州で ONE KYUSHU”の実現をしていきたいですね」。
九州一円の循環型ネットワークを持つNEXCOさんと、旅するように働ける社会インフラの実現を目指すKIW。偶発性の出会いから生まれたイノベーションは、社会変革の追い風を受けながら、これからますます加速していきます。
編集後記
緊急事態宣言は解除されたものの、県境を越える移動は自粛。ということでオンラインで取材となった今回。「せめて映える空間で・・・」と、大分市中央町にあるブックカフェ「カモシカ書店」さんの場所をお借りしました!
店主・岩尾晋作さんがセレクトした古本や新刊が並ぶ店内はカフェスペースもあり、コーヒーやスイーツを楽しみながらゆっくり本を読むこともできるので、ついつい長居しちゃうお店なのです。Wi-Fi設備もあるので、仕事での利用も可能ですよー!
さて、今回取り上げた「KIW-Workbox山之口SA」内には、全国初の取り組みの実現にご協力をいただいた濵野さんと、宮崎大学地域資源創成学部の谷田貝教授の名前を刻印させていただいております!
多大なるお力添えをありがとうございました!
濵野さんには7月9日(木)宮崎県宮崎市にオープンの「KIW MIYAZAKI-TRUNK00-」オープニングイベントでもご登壇いただきます!
イベントの申し込みはこちらよりお願い致します。