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アイドルマスター同人誌「あの日見た星の光について」感想
あの日見た星の光について/Eight thousand House(ハッセンさん、https://x.com/hassen8888)
https://hassen-hachi.booth.pm/items/6392676
読了。
羽田から長崎への飛行機の中で読み始め、帰宅後に読み終わりました。
Pixivでも公開されているお話もあります。
https://www.pixiv.net/users/1936282
氏の同人誌は以前も読ませていただきましたがやはり読みやすさ、軽快さは間違いなく作品の「武器」だと思います。
UNICUSを中心に、各キャラクターの台詞選びなんかもとても解像度が高いと感じます。
キャラクターとキャラクターのやり取りも非常に描写が上手いです。
作品としては短編集、あるいは掌編集。
ひとつひとつの作品がコンパクトにまとまり、とても読みやすい。
小説同人誌が苦手な人にもおすすめの作りです。
だらだら長く描写が続くこともなく、テンポよくお話が進みます。
この辺の構成もいいですね。
コンセプトはアイドルマスターのリアルライブを下敷きにしていること。
これは私も過去作で何度かやった試みです。
その上で、短編・掌編の強みが活きていると感じます。
特にUNICUSの3人と東京ドームをテーマにして、最後に藤田ことねへと続く流れが美しい。
ただ、気になった点もあります。
以前の本でもありましたが若干誤字が多い。
これは私も小説書きであり、人のことを言えないことではあるのですがね。
数字が全角、半角の統一をされていない。
一番致命的なのは輝子ちゃんのお話で「2本のペンライトを」が「日本」になっていたところ。
X JAPANとはいえそちらの日本ではない……。
シリアスな見せ場だけにここの誤字が惜しかった。
まぁ私もエキスポの新刊で誤字があったので言うなよって話にはなるのですが。
これはお互い気を付けたいですね。
とはいえ、クオリティの高い同人誌であることに間違いはない。
アイマスのリアルライブをお話に落とし込み、テーマ性を持たせることも成功しています。
ライブ毎、ユニット毎に描かれているやり取りやテーマもとても共感できるものです。
特に個人的には「辻野あかりは楽しいを伝えたい」がライブCG_OOTDのテーマ性とUNICUSの面々のキャラクター性とのマッチがすごい。
ライブのテーマ抜きではやはり「星輝子は炎に包まれる」が彼女のアイデンティティと辿り着いた場所も相まってグッときました。
そしてそんなシンデレラの面々が学マス、藤田ことねへと繋がっていくのが熱い。
Campus mode! の歌詞もある通り、「偉大な歴史」から「バトン」を受け渡して彼女たちもまたステージに立つのだと思うと感慨深い。
個々に書いた作品を一冊に再構成する上手さだと思います。
間違いなく素晴らしい「アイドルマスター」の同人誌だと感じました。
ぜひこれはみんなの手に渡っているといいな、と思います。
プロデューサーだからこそグッとくる一冊ではないでしょうか。
とても面白かったです。