学マス同人誌「いつか、桜の木の下で。」感想
いつか、桜の木の下で。/Ohana*(りおさん、https://x.com/rio_stitch21)
BOOTH
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2687433
メロブ
https://rio-stitch21.booth.pm/items/6436105
読了。
学マスの花海姉妹の姉妹愛、人によっては今風だと「姉妹百合」なんて呼ぶ人もいるでしょうか。
そんな姉妹愛だったり姉妹間でのクソデカ感情のシリアス寄りの同人誌です。
咲季視点、佑芽視点で構成されていて咲季視点部分はC104の再録とのことですが私はC104不参加だったので今回初めて読みました。
本編でも語られる、咲季はどんなことにチャレンジしていてもいずれ自分に佑芽が追い付いてしまう、自分の能力を追い抜いてしまうこと、佑芽は最強の姉になかなか追いつけないこと、そういうことを自身なりに再解釈されています。
自分としては佑芽視点の「追いつけない」を「置いていかれる恐怖」「姉と比較される恐怖・悲しさ」を交えて描いたのが特に秀逸だなと。
自分も兄弟がいますが今でこそ大分コンプライアンス? 的にそういう文化は減りつつありますが、兄弟が往々にして比較されるのはありますからね。
それが双子ならなおさらのこと。
そこに佑芽ちゃんのイメージ・シンボルでもある「おにぎり」を入れたのは構成としても上手だなと。
「1品でも主役」「転がる」→「転がり続ければ速度が上がるから、勢いがあれば坂でも上れる」みたいなのは表現としても秀逸と感じました。
自分じゃなかなかこういう言葉選びができなさそう。
連想ゲームじゃないですがそういう佑芽ちゃんとしてのアイデンティティを考えているのが素敵です。
咲季パートも初めて読みましたがこちらにはことてまさき、いわゆるRe;IRISでの出演です。
ことねがいい感じに助け船を出しています。
ことねらしくていいな、って思います。
最終的には咲季と佑芽がぶつかって(心理的にも物理的にも)解決するのもいかにも花海姉妹の姉の方だと感じます。
ハイライトが青になってしまった、とのことですがフルカラーの表紙のイラストも美しいです。
本文でもありますが身長差、いいですね……。
一冊本文も通して絵も、りおさんの優しい絵柄で、シリアスも可愛い場面もギャグで崩れた表情も素敵に描かれています。
また学マスの中の時間が進み、物語が動いたら少し解釈が自他ともに変わるかもしれませんが、「同人誌」という、そのときそのとき時点でのファン側からの解釈を描いた一冊として綺麗にまとまっています。
素敵な1冊をありがとうございました。