見出し画像

りんみお小説「ハートに火をつけて」感想

ハートに火をつけて/雨工房(アリカさん、https://x.com/ARiKA_miosuki)
読了。
 
 エキスポから1週間経ちましたが仕事納めしたので落ち着いて読ませていただきました。
面白かったし、とても熱い一冊でした。
未央が主人公でCP表現じゃないけど、りんみおっぽいな……いや、決めつけは良くない……と思い、作者さんのPixivを観に行ったら普通にりんみお好きの方でしたw
CP表現を使ったけどそういうゆるいCPタグあるいは百合表現でくくるのが失礼なくらいひたむきで真摯な未央から凛への憧れを描いています。
恋愛的なそれではなく、もっと「アイドル」という存在の根幹にかかわる感じの。
そして最後に、小説を読み終える頃、この小説の種明かしのようなものがされます。
それもまた見事で、素敵な読後感に繋がっています。

 未央と凛以外のアイドル達の配し方もいいですね。
未央と凛をクローズアップさせるためにニュージェネレーションズを結成させない。
これは作者として書きたいものをブレさせないためにも、分かりやすくするためにも、そして二次創作としてもアリだと思います。
ニュージェネとしての三人の関係性はもちろん尊いものだけど、未央と凛の話を書きたい、その前提ではこうすることは全く問題ないわけで。
また、そのためというわけではないですがサンセットノスタルジーとして久美子さんや美羽が出てくるのも素敵でした。
サンノスとしての三人も私は好きなので俺得でもあった。
……だけでなく、未央が悩んだ時、そこに久美子さんと美羽がいる意味がまた活きてくるんですよね。
アイドルとしても、誰かの目標としても、未央や凛の存在の意味がまた強くなる。
まさしくアイドルマスターの「アイドル」の部分もしっかり描いていると感じました。

 人によっても違うかもしれませんが、少し気になる点もありました。
まず、作風かもしれませんが一人称と三人称の混在のような地の文が私には少し読みづらかったです。
ただ、作風であればそのままでいいと思います。
未央たちの心情もちゃんと伝わりましたし、情景描写もきちんと思い浮かぶ文章でした。

 あとこれは自分も小説書きなので一人で校正をしている限り仕方ないのはめちゃ分かるのですがいくつか誤字を見つけました。
30ページ、「凛さん比べて未央さんも持ち曲~」、おそらく「と」が抜けています。
32ページ、持ち歌「二曲」、59ページ「ニ人」がカタカナの「ニ」になっています。
同じ32ページ、59ページ内の「二人」の「二」の部分と比べていただくとわかるかと思います。
自分もやったことあるミスなのでよくわかります。
 あとは34ページ「4月」の「4」が半角のため字が横に寝てしまっています。
他がほぼ漢数字にしているのでここだけうっかりだったのかもしれません。
43ページ、「聞かせなれない」ではなく「聞かせられない」だと思います。
76ページ、「自分だテレビに出る可能性など」、おそらく自分「が」ではないでしょか。

 いろいろと書きましたが総じてクオリティの高い「アイドル」を描いた小説であり、未央と凛の関係性も尊く、面白く、物語の構造としてもよくできている一冊だと感じました。
普段はそこまで百合っぽい小説は手に取らないのでりんみおと思っていたら敬遠して手にしなかった一冊かもしれません。
ですが読んでみたらそれ以前に「憧れ」という感情と「アイドル」という存在について素敵に描き切っている小説としても出来が良かったです。
もちろん、「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二次創作としても、「りんみお」CPとしても。
ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!