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観劇記録|『僕をみつけて』
東京に行く予定が出来たので、観劇の予定を入れよう!と思い、公演情報を探してみました。そのときは時期が早すぎたこともあって観劇したい作品が見つからなくて、もう少し待ってみることにしました。
その後、Twitterを見ていると、「かわいいコンビニ店員飯田さん」の公演情報が!これだ!と思い、すぐに予約しました。
かわいいコンビニ店員飯田さん 公演
— かわいいコンビニ店員飯田さん (@k_c_iidasan) December 19, 2024
『僕をみつけて』
2025年2月6日(木)〜2月16日(日)
下北沢OFF・OFFシアター
作・演出 池内風… pic.twitter.com/EZ5Hl6snuA
飯田さんのことは(…なんだか人っぽいですね)以前から知っていました。(『悼むば尊し』の頃に気になっておりました)
いつも東京に行く予定ができたら観劇予定も入れる、という感じなので、今回は本当にタイミングが良くてめちゃくちゃラッキーでした。
当日までどんどん予約で埋まっていき、当日も会場は当日券の方をなんとか入れられたというような印象で、早めに予約してよかったな~と思いました。また、会場内で客席管理をしておられたスタッフさんと空いている席のやりとりをさせていただいて嬉しかったです。(「お隣のお席空いている方~」というやつです)私も客席数の管理をする時は大変なので、少しでも協力出来て良かったです。
かわいいコンビニ店員飯田さん
『僕をみつけて』【チーム猜疑心】
作・演出 池内風
at 下北沢 OFF・OFFシアター
2025年2月15日(土)19:00開演
下手壁側、客席やや後方にて観劇
ダブルキャストというか、2チーム制で【復讐心】と【猜疑心】で上演されていました。チーム名寄りの演出になっていたのかな~?両方見られた方の感想などをチェックしてみたいところです。
ちょっと感想を書くまでに間が空いてしまったので、うろ覚えのところも結構あると思います。
爆速で予約して「人狼」って言葉を見て
はやまったと思った
私は人狼が苦手です。
人狼が流行りだした頃、人気?みたいな人狼集団さんが居てその動画か配信を見た時に、すごーくいやな感じがして、それから見なくなりました。
そのときは、演者さんがキャラクターとして存在して、そのキャラクターを踏襲しつつ人狼をやる、みたいなものでした。そのキャラクターから中身の演者さんが見えてしまい、私が思っていたような駆け引きやエンタメはここでは見られないんだなと思い、それから人狼系の動画は見なくなりました。
ただうるさく意見を主張するだけのようなゲーム、という認識でした。
だから、フライヤーの話などを読んで、人狼というキーワードがある作品を楽しめるのかなぁと思って、若干の猜疑心を持ち始めました。(タイトル回収)と同時に、きちんと演出され、役者さんたちはプロ、というところに信頼もあったので、きっと楽しめるだろうという心持でいました。
私が人狼を動画で見た時は黎明期だったので、そこからブラッシュアップされているだろう、という思いもありました。
開場してから、役者さんによる人狼ゲームを開演前にやる、ということを聞いていたので、とにかく頑張って会場と同時には入ろうと思いました。その前に別の用事があったので、結構ギリギリになってしまい、OFF・OFF名物階段列形成の後列に滑り込みました。あそこに並ぶの、結構好きなんです。
OFF・OFFの壁側が結構好きなので(頭上の突起には注意)、その辺りに着席。満席と聞いていたので、できるだけ端から詰めたいなと思っていたので、いい感じの席に座れました。列形成の後ろの方でしたが、20人以内には入れていたので、結果的には早い入場でした。
しばらくして役者さんたちによる人狼がスタート。めちゃくちゃわかりやすくやってくれてとても良かったです。テンポ感も丁度良くて、役者さんたちの雰囲気の良さでめっちゃいい座組というのが伝わってきました。ここですでに役者さんやこの後出てくるであろうキャラクターたちが好きになれる予感がしていました。稽古の最初の方にも人狼を結構やっておられたみたいなので、そういう積み重ねからこの空気感なんだろうなと思いました。
開演前の人狼のお陰で、ある程度人狼に対するハードルや緊張が減りました。その後の本編の空気感との違いも感じられて、自分の中できちんと作品に入る、というのが出来たなと思いました。
日常に人狼の構図がぴたりとハマること
大学生を中心としたバイト先で、バイトのメンバーたちが集まってゲーム大会をする。割と「あるよね」と思うけれど、まずこういった集まりをつくる人が居て、それに参加してもいいと思える関係性のバイト仲間というのがなかなかいないよなーと思ってしまいました。これだから陽の人たちは(ブツブツ。笑)
この中でどう人間模様が変わっていくのかなと思いつつも、前半は平和な日常、という場面が繰り広げられました。この微妙な関係性と距離感が、うわぁ、あるよなぁと思いました。グループに居ると愛されキャラだったりいじられキャラだったりする豊くんと、人柄で何となく多くの人からちょうどいい距離感を保たれる高杉さんみたいな人の構図って、きっとどのグループにもあるだろうなと思いました。豊くんの立ち位置でうまく立ち回っているパターンなのか、そうでないパターンなのか。それによってこのグループの崩れ方が変わるよな~と思っていたらこのあと崩壊していきました。
どのタイミングで人狼ゲームというものさしをこの仲間たちに突っ込むのかなと思って見ていました。それぞれの関係性、特に雪と周りの男性との関係性を主軸にして、一重、二重になっている人間関係が見えてきたところで、人狼ゲームがはじまりました。人狼ゲームの役割と現実のこのバイト仲間との立ち位置が浮かび上がってくるところは狂気にも感じました。うわぁへぇ~ヤバイぞこれは!という感じです。
人狼の雪、水原は現実でも狩る側で、どんな役職だったとしても標的になる豊くん。市民はどこまで行っても市民で、その場を明らかにしようと正論を飛ばす璃梨(りり)ちゃんは、人狼からも市民からも排除されてしまう。
誰かに感情移入する、というわけではなく、自分の要素が誰かの一部で、それが全員分に散りばめ、振り分けられているような感じがしました。きっと誰かに特別感情移入する人もいるだろうけど、私は水原であり、璃梨ちゃんであり、高杉さんであり、みたいな感じなんだろうと思います。
人狼を踏襲して、それが次第にリアルの人間模様になっていく様のところは、『赤ずきん』の狼のように、おばあさんの皮を次第に、または一気に脱ぐようにも感じられました。
何かの皮を被っていても縮図は変わらなくて、一度そこにはまってしまえば抜け出せない社会のようでもあるんじゃないかと思います。どのグループ、コミュニティに行っても、狩られる側はずっと狩られる側、というような。それに気が付いてしまう人は豊くんのように苦しくなってしまうだろうし、それでも自分の居場所をそこに求めてしまう人は、そのまま気が付かないか、気が付かないふりをしているのかも…とも思ってしまいました。
まだ「芽」でこれが「育つ」
バイト仲間の小さなコミュニティでもこの社会の縮図のようなものが起こる…ということにも恐ろしいと思うのですが、これはまだ「芽」に感じられている自分がいました。まだ20代前半でこれだけの関係性を構築することができる。じゃあ、これが社会に出て、より多くの人たちとコミュニティ、コミュニケーションを持つことになったら、この人たちは良くも悪くもどちらの方向にもどう育っていってしまうのか。それを思うと、彼らの小さなコミュニティ内はまだかわいいものに見えてしまいます。
学歴、容姿だけで、周りからの先入観や偏見を持たれることがと語った水原に、それで判断されて自分はいじられてという豊くん。まだこれは小さなことで、実はこのあとその単位が会社になり、恋人の有無になり、配偶者の有無になり、子供の有無になり…と規模が少しずつ大きくなっていくんだ、ということに気付いた時に、彼らはどうなってしまうのだろうと思わずにはいられませんでした。
あぁ、怖い。
だからまだ笑ってみていられたのかも、とも思いつつ……。
これが、会社を舞台にしたり、犯罪組織を舞台にしていたりしたら笑えなかったかもしれないなと思いました。まだ取り返しのつくこの段階の、ミニマムで内輪な世界だからこれくらいで済んでいる、というような。
笑うということに関しても、客席の笑い声が、息を交えた笑い声で客席に居るものとしては、「私たちはべ、別に笑いたくて笑ったんじゃないんです!!こうやって気持ちを吐き出さないとじ、自分が爆散してしまうから、形を保てなくなるから笑ってるんです!!」という気持ちでした。
笑えなかったという感想の方もいらっしゃって、そうだよな~そうだよな~という気持ちにもなりました。
私は豊くんや水原さんのようなことは思わないし、でも璃梨ちゃんが排除されちゃうところにはダメージが入ったりしたけれど、結局私にとってはこういうコミュニティで起こっている事ってもう通り過ぎてしまったことなんだなと感じました。年齢が上がるにつれ、通り過ぎてしまったと感じる作品が増えてきたのですが、今回もそうだなぁと思いました。あるいは、自分の中ではもう割り切ってしまっていて、それは自分の問題としてはある程度決着がついているもの、という部分もあると思いました。私はもう見つけてもらわなくてもいいし、そうも思っていない、ということなのかもしれません。
昨年、今年と観劇して、ちょっとわざとらしいけどギリギリリアルに起こっているであろう感じのお芝居(演出)というのが冒頭にある、というのを見ました。OFF・OFFの規模から、もう少し大きめのところもですが、この現実と虚構の感じのギリギリのラインができるのが当たり前なんだなと感じた。ちょっとわざとらしいかなっていうお芝居、難しいと思っていて、一歩間違えたら下手な印象にもなりそうだなと思っています。
それでも、こういうお互いに気を遣い合った結果、リアクションとかがオーバーになる時間って現実でもあって、そこから時間や関係でリアルな声のトーンで話せるようになっていくんじゃないかと思っています。
そこをシームレスに落とし込んでいける実力があるのが当たり前、というのが本当に凄いなと最近感じています。どうしてもリアルに、リアルに演ろうとなってしまうけれど、多少オーバーなリアルもあって、それを演じ分けできることでギャップとか緩急とかも生まれるだろうし、人間ってそういうことがあって、それを第三者が見ることで、疑いや妬みや嫉みみたいなものを生んでいくような気もしています。
虚構があるからリアルが本当に見えていい意味で気持ち悪い、と思うのかも。
こういうのを演出さんがつくっていって、役者さんが形にできるって本当に凄いことだなと思っています。まだプロダクションノートを読んでいないのですが、読んで勉強させてもらいたいなと思っています。(普通に裏側を知れるのが楽しみな面もあります)
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#かわいいコンビニ店員飯田さん
— のとえみ (@noto_emi) February 15, 2025
『 #僕をみつけて 』
15日(土)19:00【猜疑心】
この作品を観てこの感想は最低なのですが、水原・山中さんがドストレートストライクで顔が好き過ぎてずっと見ていたかったです。
登場人物全員が身の回りにいる人にどことなく似ているのがいい意味で気持ち悪かったです。
あとこちらが観劇後の感想。この作品を見たあとにこの感想は本当に最低だと思いましたが、それもまた人生。
舞台の照明がとても素敵で、特に
・高杉さんのお部屋に入った雪と水原のシーンの明かり
・最後の最後、ちほさんと水原のシーンの、水原さんに当たる明かり
が最高でした。この明かり、目に焼き付いています。
混雑した場内もスタッフさんが丁寧にさばいておられて、凄いなぁと見守っておりました。OFF・OFFは片側からしか入っていけないから本当に大変だと思う…お手洗いも1つですしね。
前の予定がもうすこし早く終わるかと思っていたのですが、全然ギリギリだったので、久しぶりの下北沢でご飯とかカフェが全くできなかった…次こそは…!
めっちゃ身近で見たことある人感がすごかった
性格だけではなく容姿もこれまでに見たことあるとか、似ている人がいたとか、そういうリアル感が凄かったです。特に思ったところ。
豊くん(家入健都さん)
顔が大学の演劇サークルの後輩に似ている。主役をやるタイプの役者だったのですが、あざとくなっていき、先輩の良くないところだけを真似していると言われていた。うまく折り合いをつけているように見えたし、いじられキャラもおいしいと思っていた印象だったけれど、豊くんみたいな内側があったり、そこを越えていった、ということがあったのかなぁ。
里奈ちゃん(古川さらさん)
後輩に似ている。見た目ではなくて、なんかそのうまく立ち回れない感じというか、伝え方みたいなところの感じが似ている気がする。
水原さん(山中啓伍さん)
すいません、顔が好き過ぎました。
居て欲しい人に限って身近にはいない…….
雪ちゃん(木村玲衣さん)
昔居た劇団の先輩に似ている。その人はコメディな立ち回りを良くされていたのですが、過去は実はこんな感じでその結果がその当時の先輩だったとしたら恐ろしいなと思いました。
高杉さん(杉浦一輝さん)
地元の演劇関係者さんに似ている。高杉さんよりは頭がいいのでどちらかと
いうと人狼側かもしれない。
ちほさん(真織さん)
会社の先輩に似ている。もっとほんわりした人なのですが、裏で何をやっていても納得してしまいそう。
瀬良さん(妹尾竜弥さん)
自ユニットの主宰に似ている。似ているのもあるけど、この作品を地元でやるならこの役だろ、と思ってしまったくらい。手をあわせてひねっていたやつ、実際に、やっていてもおかしくない(というか、やっていた可能性すらある)
加藤さん(森田亘さん)
会社の後輩に似ている。似てる。自分と付き合ったらダメとかワンチャン言いそう。でも結婚しているので童貞ではないです。
清水(谷川大吾さん)
元演劇を教えていた子に似ている。感じが似ているし、しれっと確かに関係があったとか当たり前の感じで言いそう。憎めなさすぎる。
湖々蕗ちゃん(輝蕗さん)
大学の演劇サークルの先輩に似ている。たまにこの先輩に似た役者さんを見かけるので、本当にどういうことだ!といつも思っている。突然好きになったり確かにしてそう(というか、していた可能性もあるし、その子とつきあってんの?!みたいな記憶もあったような気がする)
璃梨ちゃん(成瀬志帆さん)
正論を言っちゃうのは私なんですが、空気読まない感とかも似たようなものかもしれない…..。でもそれ以上に多分大学の時の友だちに似ている気がする。めっちゃメンタル強かったわ、その友だち。
この、身近に似ている人の集合体というコミュニティが怖いなと思ったし、多分私だけなく、お客さんの中にも「○○さんに似ているなぁ」と思いながら観ていた人はいたんじゃないかなと思います。
そういう誰にでも既視感をあたえるようなコミュニティをつくるのが本当に凄いなと思ったし、それを形にできる役者さん方の地力が素晴らしすぎました…。
めちゃくちゃ自分に刺さった、という感じはないのですが、じわじわといつの間にか自分が取り込まれているような、そんな気分にもなりました。
まだプロダクションノートを読んでいないので、とっても楽しみにこの後も凄そうと思います。楽しみ。
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