「パスワードが間違っています」シナリオ③

【テーマ】
世那さん 『パスワードが間違っています』

【シナリオ】
○サキの部屋
　　バン！！っと机を強く叩く音が聞こえる。
サキ「ダメだ……わかんない……」
　　PCのミクシィのログイン画面が開かれている。
　　『パスワードが間違っています』の言葉が表示される。
　　サキ（23）、スマホを取り出し親友のあゆみに連絡する。
　　『どうしよ！早く私の黒歴史消したいのに！』
　　とあゆみから『なんか紙とかに書いてないの？サキは高校の時からまめだったじゃん』
サキ「紙……あ！」
　　サキ、クローゼットに行って探し物を始める。
サキ「当時使っていたガラケーにならあるかもしれない……」
　　が見つからない。
サキ「……一応実家から持ってきたんだけど……」
　　と、サキはクローゼットに贈り物のようなネクタイの箱をみつける。
サキ「なにこれ……」
　　箱をあけると高級そうなネクタイが入っている。
　　メッセージカードで「航さんに似合うと思って……」と書かれていた。
サキ「女から……」
　　と家の玄関が開く音が聞こえる。
航（声）「ただいまー」
サキ「！！」
　　サキ、急いでクローゼットをもとに戻して玄関に行く。
サキ「（笑顔をつくって）おかえりなさい！」
　　航（28）が笑顔を先に向けている。
航「今日も早く帰ってきちゃった！」
サキ「……」
　　
○サキの会社（翌日）
　　食堂でランチをしている人たち。
　　サキ、コーヒーを飲んで電話している。
　　電話の相手はあゆみ（23）。※適宜サキと顔を交互にカットバック。
あゆみ「……なるほどね……浮気疑惑ね」
サキ「……まだわかんないんだけど」
あゆみ「けど航さんも流石に結婚間近な時にそんなことしないでしょ？」
サキ「……うん」
あゆみ「サキがマリッジブルーで不安になっているだけだって！（笑って）」
サキ「……そう……だよね……気にしないようにする！」
あゆみ「うん！前向きなのがサキらしくていいよ！」
サキ「ありがとう！あと昨日のアドバイスもありがとね！多分実家のガラケーにパスワードあるともうからそれで探してみようと思う！」
あゆみ「そっかそれはよかった」
サキ「じゃあねー！」
　　サキ、スマホを切る。

○サキの家・寝室
　　電話を切るあゆみ、振り返る。
　　と、そこにいたのは航。ベッドの中で裸でいる。
あゆみ「……聞こえてた思うけど……」
　　あゆみ、服を脱いで下着になり始める。
航「ビビったわ……上手く言ってくれてありがと（笑って）」
あゆみ「ちゃんとばれないように気を付けてよ…し・ん・こ・ん・さ・ん（冗談ぽく）」
航「あゆみがネクタイくれるのが危ないんだよー」
あゆみ「そんなこと言うんだったら次は買ってあげな――」
　　あゆみ、手を航に引っ張られベッドに押し倒される。
　　覆いかぶさる航。
航「いいから早く……」
　　航、あゆみにキスをする。
　　あゆみ、航を受け入れていく。

○サキの家・リビング（夜）
　　サキ、食器の洗い物をしている。
　　と机に置いてある航のスマホが鳴る。
サキ「……浮気……違うよね……」
　　洗い物を続けるサキ。
　　再びスマホの通知音が鳴る。
サキ「……」
　　扉の外からシャワー音が鳴るのを確認する。
　　サキ、洗い物をやめてスマホをとる。
　　パスワード画面が表示され。
サキ「誕生日っと……こっちのパスワードは簡単なのに……」
　　と、会社の上司から『今日お前のおかげで助かった！』『明日のプレゼンも頑張ろうな！』とのメッセージ内容だった。
サキ「……よかった……私の勘違いか……」
　　サキ、他のメッセージの送り主や内容も見る。
　　が特に怪しいメッセージはない。
サキ「（溜息をつく）……私って嫌な女……婚約者こんな風に疑って……」
　　とシャワーの音が止まって。
航（声）「サキ―！タオル忘れちゃった！持ってきてくれない？」
サキ「はーい！」

○同・脱衣所
　　タオルを持っていく。
　　脱衣所にはスーツもおいてある。
サキ「あ……スーツ……お部屋に持っていきますね！」
　　航、お風呂場の中で動く。
航（声）「ありがと！」

○同・寝室
　　スーツをかけるサキ。
　　と、ベッドのわきで反射するものをみつける。
サキ「？」
　　光るものを手に取るとピアス。
サキ「私の……じゃない……」
　　ピアスをまじまじとみるサキ。
サキ「待ってこれって……」
　　サキ、スマホのカメラロールを探し始める。

○同・リビング
　　航、頭を拭きながら部屋に入ってくる。
航「（小声で）上手く騙されたかなー」
　　航、『あゆみ』の名前を入れて非表示設定からメッセージを復活させる。

○同・寝室
　　サキのスマホにはあゆみの写真が表示されており、耳にはサキが持っているピアスをしている。
サキ「あゆみ……なんで……」
　　サキ、ピアスを握りしめる。
サキ「調べなきゃ……結婚する前に……あゆみが……航さんが何を隠しているか……」

○あゆみの自宅（夜）
　　　あゆみ、お風呂上りで化粧水を塗るなど顔のケアをしている。
あゆみ「そろそろみつけたかなー♪」

×　　　　　×　　　　　×
　　フラッシュ。サキの寝室。
　　ベッドの中で裸のあゆみと航。
航「俺先にシャワー浴びてくるね！」
あゆみ「うん」
　　航、部屋を出て。
　　あゆみ、自分のピアスを外してこっそり見つけやすいベッドのわきに置く。
×　　　　　×　　　　　×

　　あゆみ、机にある自分のスマホをみる。
　　と、ミクシィのサキのページが開かれており、高校時代のあゆみとサキの写真をみている。
あゆみ「……ねえサキ……私はあなたのこと許さないから」
　　あゆみ、不敵な笑みを浮かべる。

（つづく）