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レビュー#1 Calvin Kattar vs. Giga Chikadze

2022年のUFCは早速ファイトオブザイヤー級の大激戦から始まりました。

そんなケイターvsチカゼの一戦を事前プレビューの内容と合わせて振り返りたいと思います。

「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」ということで、負けた側には何かしらの間違いが、勝った側には不思議と言えど戦略があったはずです。

お目汚しでございますが、よかったらご覧ください。

試合結果:ケイター圧勝だが決して楽勝ではない勝利

5R判定、フルマークでケイターが判定で勝利しました。全てのジャッジがフルラウンドケイター支持。一人は50−44をつけるほどの圧倒的な差。
とはいえ決して楽な戦いではなく早いラウンドから消耗戦の様相を呈した戦いでした。

試合内容を振り返っていきます。

試合内容:まさか序盤からケイター優勢で進むとは

1R、先にカーフキックを当てていくチカゼ。ケイターはプレッシャーをかけ、スイッチしながら距離を詰めていきます。チカゼのボディへの蹴りは効いてないんでしょうか?構わずケイターは前に出ます。と、キックを空振りしバランスを崩すチカゼを一気にTD。ケイター有利のまま1R終了。

2R、ケイタープレッシャーをかけていきます。チカゼは強いパンチを放っていくも蹴りが少ない?TDされた影響があるんでしょうか?
ケイターはTD仕掛けるシーンもあります。寝かせなくとも有効な攻撃では?

3R、ケイター変わらずプレッシャー。チカゼの動きに合わせて肘も出し始めます。チカゼからすると鬱陶しくて仕方ないでしょうね。。。
この回もTDトライへ。寝かせなくとも意識せざる得ないでしょう。
ラウンド後半にはケイターのバック肘がヒットし出血!!ビックヒットが先にケイターに来ました!!

4R、ケイター引き続きプレッシャー。ジャブを突きながら前に出ます。スイッチも頻繁です。近い距離での肘が増えてきます。チカゼはガードが低いままジャブを頭振って避けますが肘を被弾します。赤く染まるチカゼ。顔の右側がケイターの前手の肘で切り裂かれています。
背の高いチカゼの頭を手で抑えられるほど距離が近くなっています。
ケイターはこの回もTDの動きを見せます。アッパーや跳び膝も見せせました。

5R、いよいよ後が無いチカゼが積極的に前に出ますがケイターに押し返されます。近距離での撃ち合いの展開となりますが流石にそれはケイターの土俵でしょう。
ケイターの打撃にもつれて倒れたチカゼをトップから打撃を加えたところでタイムアップ。

試合を総括すると『ケイターにとっても一番苦しいはずの前に出続ける作戦がチカゼには有効で、それを5Rやり切った』だと思います。
1RのTDはポイントではあり、その結果序盤からケイター有利で試合が進みましたが、それがなくともこの展開が見られたのではないでしょうか?

事前予測との対比:思っていたよりケイターは化け物

プレビューでは、アンダードッグのケイターが勝利するための戦略を事前予測していました。『後半勝負。3R取っての判定勝ち。もしくは後半Rに仕留める。』を戦略に上げ、ペースを取られないこと、撃ち合いの展開を作り近い距離で先に良い打撃を当てること、早い段階でTDを意識させること、をポイントに上げていました。
*戦前予測はこちらをご覧ください。
 https://note.com/kiuchisan/n/nb495535c11ab
予測が当たった点/違った点、お互いの選手の勝利要因/敗北要因を上げたいと思います。

○予測が当たった点
ケイターはTDを織り交ぜていった。
近い距離の戦いが有効だった。撃ち合いはケイターが上手だった。
ケイターはタフだった(予想以上に)ただし今回はあまり被弾せず。
○予測と異なった点
体格・リーチ差をほとんど感じさせなかった。
序盤からケイターのペースで試合が進んだ。
チカゼのスタミナは後半そこまで落ちなかった。

○ケイターの良かったところ/勝利要因
ケイターの方がパンチの攻防では上回っていたと思います。5Rマッチという長丁場もケイターにとって有利に働きました。
近い距離の攻防を徹底したことも良い方向に働きました。
何よりTDを意識させたのは非常に有効な手段だったと思います。
そして先に大きい一撃を当てたことで大きく勝利を引き寄せました。
○チカゼの悪かったところ/敗北要因
1R早々にTDを取られてしまったこと。以降TDを意識せざる得ない展開となった。
近い距離の打撃戦、パンチ中心の攻防になってしまったこと。
ケイターの攻撃を頭を動かして対処し続けたこと。特に頭を下げる展開が多くなったことで肘を多く被弾したのは厳しかったのではないかと思います。

戦前予測が正しいかはなんともいえませんが、TDを意識させ近距離での撃ち合いに持ち込んだことは大きなポイントだったともいます。早々にTDしたこともポイントではありますが、全くチカゼのゲームにさせませんでした。自分が得意な局面を強制し続けたように思います。
ケイターの肘に呼応するようにチカゼまで肘を出し始めたところなど、チカゼは相手のペースに飲み込まれてしまったことを象徴するように感じました。
バリエーションが少ないことをケイターの弱みに上げていましたが、スタンドのパンチ(肘含む)だけでもバリエーションに富んだ攻撃でしたね。。。シンプルかつ強力。

一方のチカゼは序盤の攻撃は破壊力があっただけにTDを取られたシーンが悔やまれます。いくら距離を詰められようとももっと蹴りを出せていれば…結果的に同じ展開がやってきていた可能性が大きいですが、もっと序盤Rのポイントを取れていたのではないでしょうか。

感想と総括:UFCのメインイベントはやはり別格

年始からとんでもないものを見てしまった。。。というのがまずは一番の感想です。ケイター勝利を喜んでいいのかチカゼ敗北を悲しんでいいのかさっぱりわかりません。UFCのメインイベントは毎度激戦必死です。
ホロウェイにボコボコにされたケイターが一年後相性の悪そうな相手を同じようにボコボコにするとは。。。負けたことでファイトスタイルを修正するというよりも、得意なファイトスタイルを強制するという、"進化"というより"深化"を感じました。
一方、破れたチカゼは"深化"したケイターに飲み込まれてしまったように感じました。いいところを出せずに完敗をしてしまいました。ただ、相手の戦いを強制される中でも強力な打撃の怖さ、タフさ、何より戦う意志の強さで5R闘い抜いたのだと感じます。圧倒的な攻撃力を持っていることには間違いないので次はぜひその火力を存分に発揮できる戦略で挑んでもらいたいところです。

勝利したケイターはタイトルマッチに破れたオルテガ、またはホロウェイに破れたロドリゲスでしょうか?もしくはヴォルカノフスキーvsチャンソンの勝者=タイトルマッチの可能性もなきにしもあらずですが順番的にはホロウェイがやはり先のような気がします。
TDを苦にしないオルテガ、足がうるさいロドリゲス、いずれを相手にしても得意な展開で押し切るのか、別の戦略を持ってくるのか楽しみなところです。次もまたケイターの戦いを予測する機会があればと思います。

終わりに:次回は2022年初のPPV

次回はUFC270。予測するのはもちろん70億人分の1を決める戦い、UFCヘビー級タイトルマッチ。ではなく、無敗のライジングスター Ilia Topuriaの一戦を予測したいともいます。
エフロエフとの無敗プロスペクト対決を楽しみにしていましたが、相手が変更となってしまいました。
変更後の相手はこちらも若手、Charles Jourdainとのことです。
おそらくTopuriaが大きくフェイバリットになることが予想されますがどのような戦いをするんでしょうか。
試合までに予測をしたいとおもいます。

ここまで読んでいただけたのであれば大変嬉しく思います。
次回の予測も読んでいただければ。。。

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