#64 Jared Cannonier vs. Nassourdine Imavov のプレビュー ~キャノニア vs. イマボフ。キラ・ゴリラとロシアンスナイパーの一戦は打撃戦か?それともTDがキーになるのか?~
対戦カード概略
UFC Fight Night: Cannonier vs. Imavovのメインイベント。ミドル級ランカー同士の一戦です。ヘビー級から下げて適正階級のミドル級で確かな実力を見せるジャレッド・キャノニアとスマートながらも熱い戦いを見せる若きナッソーディン・イマボフ。なんとなく地味目な二人の対戦ですがなかなかに興味深い対戦です。
ランキング:キャノニア#4、イマボフ#7
オッズ :キャノニア+105、イマボフ−125
参照 :
Jared Cannonierについて
スペック
年齢:40
身長:180
リーチ:197
スタンス:スイッチ
戦績
17-6-0
勝利内訳
・KO:9
・一本:3
・判定:5
敗北内訳
・KO:2
・一本:0
・判定:4
直近戦績
Win - Vettori 判定
Win - Strickland 判定
Loss - Adesanya 判定
ファイター印象
>元ヘビー級。ザルのTDDがミドルで大幅強化。階級落として大正解。
SWOT分析
強み:プレッシャー、強力なロー、肉体の強さ
弱み:やや単調な戦い、グラップリング、テイクダウンディフェンス
機会:近い距離のパンチ交換、長いラウンドで相手が疲れる可能性が高い、対戦経験の質で上回る
脅威:相手のスピード、グラップリングとテイクダウン、年齢差
コメント
元ヘビー級のキャノニアさん。昔はぽっちゃり体型にザルTDD。寝かされると足が効かない典型的なランク外ヘビー級ファイターでしたが、そこから2階級下げ、今ではマッシブな肉体にクイックな打撃。グラップリングと組みの展開は変わらず弱点ではあるものの、同階級では肉体の強さを遺憾なく発揮しているように思います。まさに階級変更がはまったケース。
40歳となりいつ落ちてきてもおかしくないキャリアとはなりましたが、現在ランキング4位。当時の王者アデサニヤの王座挑戦は失敗に終わったものの、その後はのちの王者ストリックランド、ランカーのベットーリに連勝。特に前戦のベットーリ戦は、強烈なプレッシャーとスイッチを織り交ぜたパンチフェイント。近い距離でもヴェットーリに劣らない組み力の強さに抜群のタイミングでTDもとるという、ここにきてキャリア最高のパフォーマンスを見せたように思います。
スタイルは当然のようにストライカー。確かなパンチの技術と強烈なローキックを持っています。(ブラジルでアンデウソンさんの足をローで破壊して大ブーイング喰らったのはいい思い出。。。)プレッシャーとフェイントで強打を当てるチャンスを作り出すタイプに思います。一方で弱点はグラップリング。立って組んでいる分はいいのですがテイクダウンされると途端に厳しくなります。とはいえしっかしとディフェンスに徹することでフィニッシュはさせず耐え切ることはできます。対グラップラーで印象的なのはvsブランソン。組とテイクダウンで厳しい戦いになったものの、クリンチから打撃一発で戦況を逆転しKOしてしてしまいました。割と肉体的強さを背景にした逆転にも見えましたので年齢を重ねた今、若いイマボフ相手にどのような戦いと結果になるのか?興味が湧きます。
Nassourdine Imavovについて
スペック
年齢:28
身長:191
リーチ:191
スタンス:オーソドックス
戦績
13-4-0, 1 NC
勝利内訳
・KO:5
・一本:4
・判定:4
敗北内訳
・KO:0
・一本:1
・判定:3
直近戦績
Win - Dolidze
No Contest - Curtis
Loss - Strickland
ファイター印象
>***Vの名前だがフランス人。ミドル級のガーン。ストライカー寄りのコンプリートファイター。
SWOT分析
強み:スピードと運動能力、遠目の距離からパンチ、クリンチ打撃
弱み:スタミナ、カウンターリスク、ローキックへの対処
機会:若さ、フルサイズのオクダゴン、テイクダウン
脅威:相手のパンチ力と打撃能力、組みの展開でフィジカル負けする可能性、長いラウンド
コメント
ロシア生まれのフランス人。ダゲスタンルーツだがストライカーよりの選手です。まだ20代ですがUFCのトップテンランカーに名を連ねる将来の王者候補とみて良い選手に思います。
スタイル的にはストライカー。遠目の距離からステップを交えての打撃、フェイントを交えてのカウンターが印象的。自らテイクダウンも狙え寝技もできるコンプリートファイターです。同じフランスのシリル・ガーンから蹴りを無くした感じ。ちょっと堀口っぽいスタイルのように個人的には感じています。
最大の強みはミドル級でも大きいサイズとそのサイズにも関わらずスピードがある点。運動量も豊富です。TDからグラップリングという戦い方もでき4つの一本勝ちを持ちます。
スピードとスタンドでの捌きがうまい一方でプレッシャーでコントロール効かなくなるとやや苦戦する様子。また、組みの展開も相手のフィジカルが勝る場合にやや疑問があります。TDDはそこまでで寝かされるとやや浸けられる傾向がありますがキャノニアさん相手にはそこは心配ないでしょう。スタミナ面は出力次第というところがあるものの後半疲れが見られます。この際ガードが下がり、かつ、運動量&スピードが下がった際に被弾が心配です。
前戦のvsドリゼでは序盤にフィニッシュ寸前まで圧倒するもしのがれ判定となりました。今回の戦い、序盤に出力→後半に失速となるとかなり不安になる相手どのように戦い、勝利を目指すのか?興味があります。
試合内容について
勝者予測
正直、勝者も判定になるか否かもとても悩む試合です。個人的にはイマボフがギリ判定勝利。と思いますが、逆に5R判定まで行くならキャノニアさんチャンスが出てきそうな気がしますし、お互いフィニッシュがあるかというとそれはないような、、、という考えです。
予測/考察
この試合はストライカー同士の5Rマッチとして見ることができると考えます。お互いに相手にプレッシャーをかけるストライカーですが、フェイントとジャブで前に出てローを蹴るのがキャノニアさん。ステップを駆使してパンチで距離を詰めるorカウンターを狙うのがイマボフという構図。序盤はキャノニアさんが詰める→イマボフがステップで距離を外しパンチを当てるタイミングを見計らう→以下繰り返し。つまりスタンドの塩試合が展開されるのでは?と予想しています。5Rの対戦。イマボフとしては当然相手の強打を警戒するでしょうし、広いフルサイズケージであれば後ろに下がる分には十分スペースがあると思います。キャノニアさんとしてはやることは今更変わらないのでいつも通り詰める。という考えです。
そんな展開を打開するのはやはり組みの展開だと思います。イマボフがテイクダウンの選択肢があるとはいえ、一発で寝かせトップキープとはそうそうならないのではないかと思います。よってどこかのタイミングでケージ際での組みが発生。その展開でどちらが有利に戦えるかがポイントになるのではないかと思います。キャノニアさんはフィジカルを生かした組み、イマボフは組みの離れぎわの打撃とテイクダウンも狙える技術。どちらが有利にことを運ぶのか見ものです。個人的には身長が高くより選択肢が多くてテクニカルなイマボフが組みの展開で上回り、結果スタンドでも有利に戦いを運ぶことを考えています。とはいえフィニッシュはできず、かつ後半は疲れてちょっとヒヤヒヤしながら最終的には判定で勝利できるような気がしています。
一方で序盤にどちらかの強打が当たるシーンがあれば、一撃では終わらず、この試合はどっちに転ぶかわからないアツい打撃戦になりそうな気もします。キャノニアさんにとっては二度目のタイトル挑戦にはもう負けは許されず、イマボフが王座挑戦を目指すにはミドル級上位は、アデサニヤ、ウィテカー、チマエフ、ストリックランド、、、と詰まりすぎているため印象的な勝利が必要かもしれません。そんなお互いの立ち位置がこの試合の内容に変化を与えるかもです。
終わりに
本興業は”KFC”の名のついたアリーナで実施されるそうです。近年の感じであればこのカードラインナップでだとApex大会になりそうなところですが、徐々に有人観客メインにシフトしていく為なんでしょうか?そんなちょっと地味目の本興業、注目選手としてはロサスJrが登場します。キャノニアさんと比べると20以上の年齢差と同じ競技、しかもコンタクトスポーツにも関わらずこんなにも年齢差があり、かつトップレベルというのはとても興味深いように感じます。ロサスJrには若者の勢い、キャノニアさんにはベテランの意地みたいなものを見せて欲しいですね。