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#71 Marcin Tybura vs. Serghei Spivac II のプレビュー ~ティブラ vs. スピバック。中堅ランカー同士の再戦は少々注目度低めか…~

対戦カード概略

 UFC Fight Night: Tybura vs. Spivac 2のメインカード。ヘビー級ランカー同士の一戦です。マルティン・ティブラとセルゲイ・スピバックの再戦。前回の対戦は4年半前。ティブラがテイクダウンからの寝技で支配し判定勝利。ヘビー級の対戦ながらもApexのスモールケージでの対戦です。

ランキング:ティブラ#8、スピバック#9
オッズ  :ティブラ+140、スピバック−165
参照   :

Marcin Tyburaについて

スペック

年齢:38
身長:191
リーチ:198
直近体重:112
スタンス:オーソドックス

戦績

25-8-0
勝利内訳
・KO:8
・一本:8
・判定:8
敗北内訳
・KO:5
・一本:0
・判定:3
直近戦績
Win - Tuivasa
Loss - Aspinall
Win - Ivanov
ファイター印象
>ティブラさん。見た目に反して器用。髪型どうなってんねん。

SWOT分析

強み:寝技の支配力、蹴り技、組み付くタイミング
弱み:一撃の打撃にやや不安、高齢ファイター、スピード
機会:テイクダウンとトップキープ、相手の打撃パワーに耐えられそう、前回勝利
脅威:相手が若く前回の対戦からの伸びしろ、遠距離の打撃交換、後半ラウンドの失速が不明

コメント

 ポーランド出身の元M-1王者。柔術黒帯で寝技が強い印象ですが、打撃も上手く、全体的にまとまったテクニカルかつ器用なファイターです。キャリアで一本負けはありません。UFCには2016年から参戦し、戦績は12勝7敗。敗北のほとんどはUFCでのもので、最近ではアスピナル、ヴォルコフに負けています。同格のファイター以下にはなかなか負けない印象。THE・中堅ランカー。
 最大の強みはテイクダウン後のグラップリング。コントロール力がヘビー級では随一です。トップからはプレッシャーをかけながらのパウンド、相手に背中を向けさせそこからパウンド、チョークが必勝パターンかと。テイクダウンに入るタイミングもなかなかで、相手の打撃に合わせてバシッと組み付いて行きます。打撃はややラフではあるものの前足の蹴りを上手く使います。ボクシングはガードを固めつつ頭を振って近づくことを優先するようです。VSツイバサとは相手の強打をガードでしのぎつつ組付き、グラップリングで支配。としっかり勝ちきった例だと思います。一方でアスピナルのように圧倒的なスピード、ボルコフのような長く強力な打撃を持つ選手には厳しいのかもしれません。

Serghei Spivacについて

スペック

年齢:29
身長:190
リーチ:198
直近体重:116
スタンス:オーソドックス

戦績

16-4-0
勝利内訳
・KO:7
・一本:7
・判定:2
敗北内訳
・KO:3
・一本:0
・判定:1
直近戦績
Loss - Gane
Win - Lewis
Win - Sakai
ファイター印象
>珍しいモルドバ出身の選手。失礼ながらあんまり印象がない…

SWOT分析

強み:ジャブ、柔道的なテイクダウン、積極的な寝技
弱み:打撃が届かないと厳しい、一撃のパワーにややかける、スピード
機会:中〜長距離の打撃で突き放す展開、年齢差、今回はパワーで勝るかもしれない
脅威:グラウンドコントロール、始めての5R、テイクダウンできるか不明

コメント

 東欧の小国、モルドバ共和国出身のファイターです。モルドバについて詳しくは知りませんが、ロシアからの独立後、経済的に苦しい環境にある国のようです。現在開催されているパリオリンピックでは柔道で二つの銅メダルを獲得しているようです。もしかしたら伝統的に柔道が強い国なのかも。そんなスピバックも最大の強みは柔道的なテイクダウンと思われます。腰で投げるようなテイクダウンに加え、大外、大内刈りのような足技も見せます。打撃については左のジャブをついていくのに加え、右ミドルを突き刺していく様子が見られます。
 直近では元暫定王者ガーンに打撃で完敗も、その前はルイスさん、サカイ、ハーディーといったザ・ヘビー級の強打者相手にテイクダウンをしっかりきめてフィニッシュで勝ち切っています。ティブラとの一戦目では逆に相手のテイクダウンに苦しめられ終始グラウンドで劣勢、打撃は強打を振っていきますがそこに上手く組み付かれてしまう内容に終始してしまいました。
 今回の再戦、より若いスピバックは技術や肉体的な強さの上積みがどれだけあるのか?これが勝利に向けてのポイントになるのかもです。

試合内容について

勝者予測

 勝者予想はティブラさんです。後半ラウンドにグラウンドで極められるんじゃないでしょうか?ティブラさんは年齢的に下り坂、スピバックは成長があるはずですので前回から年齢的な要因でどれだけ変わっているかで勝敗が変わるかもです。

予測/考察

 一度対戦している二人。前回はスピバックの打撃に対してティブラが組付き、テイクダウン。寝かせてからはティブラが極められずとも、支配し続け、グラップリングの力に差があるように見えました。あれから4年半、ティブラが負けた相手はボルコフとアルピナナル。スピバックが負けた相手はアスピナルとガーン。いずれも明らかな格上には勝てないという天井が見えた二人に見えます。また、お互いスピードとストライキングに差がある相手に負けているように感じます。一方、勝利についてはこちらもお互いにテイクダウンを決めてグラウンドで仕留めるか支配するかの勝利を重ねているように思えます。特にスピバックはテイクダウン力がUpしているように見られます。この辺り技術的な成長も当然あるでしょうが、vsティブラ1の時の体重(106Kgあたり)からずいぶん増量しているようで、肉体的な強さもUpしているのかもしれません。ティブラは当然4年以上の時が過ぎ、今や38歳。いくらヘビー級が長寿とはいえそれでもかなり高齢になっています。
 そんな二人の対戦ですが、どちらがテイクダウンを決めて、どちらが支配できるかがポイントになると考えます。基本的には寝かせてしまえばティブラの方がグラップリング力に勝り、支配でき、かつ、後半になれば仕留めるチャンスが出てくるのではないかというのが私の見立てです。年齢を重ねているとはいえ、直近ではツイバサ相手に強打をしっかり凌ぎTDから仕留める強さを見せています。対するスピバックとしては結局のところ組が通じるか否かで勝敗が分かれる展開になろうかと。長いジャブも武器の一つではありますが、圧倒的とはいえず、それだけではティブラの前進を止められないと考えます。成長した組みの力があればテイクダウンをすることはできるかもしれませんが、黒帯のティブラから一本取るのはなかなか難しいかと。また判定力という面でもティブラに軍配が上がり、かつ5Rということを考えてティブラ有利と考えています。

終わりに

 正直この試合の結果何かが劇的に変わるかというとそうでもなく、注目度が低い対戦カードと言わざる得ないかと思います。その他組まれているーカードもなかなかこれといったものはないですが、日本人としては風間選手の復帰戦がありますのでしっかり見届けたいところです。厳しい戦いになりそうではありますが頑張って欲しいです。

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