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#78 Brandon Royval vs. Tatsuro Tairaのプレビュー ~ロイバル vs.平良。タイトルまであと一戦。無敗のまま頂点へ階段を駆け上がるか?~

対戦カード概略

 UFC Fight Night: Royval vs. Taira。フライ級メインイベントに我らが平良達郎が登場です。対するはランキング1位のブランドン・ロイバル。この選手の上には王者パントージャしかいません。同じ日本人としては当然勝利していざタイトルマッチ。ということを考えてしまいますが果たして。。。

ランキング:ロイバル#1、平良#5
オッズ  :ロイバル+165、平良−200
参照   :

Brandon Royvalについて

スペック

年齢:32
身長:175
リーチ:179
スタンス:サウスポー

戦績

16−7−0
勝利内訳
・KO:4
・一本:9
・判定:3
敗北内訳
・KO:1
・一本:1
・判定:5
直近戦績
Win - Moreno
Loss - Pantoja
Win - Nicolau
ファイター印象
>大きいサイズにガチャガチャした動き、下からもうるさい。タフ。良いヤツでナイスガイ。

SWOT分析

強み:スタミナ、運動量、サイズ、サウスポーのジャブ
弱み:テイクダウンディフェンス、打撃ディフェンス
機会:相手よりサイズで上回る、経験値と対戦相手の質に大きな差、カウンターギロチン、長いラウンドで有利
脅威:テイクダウンされる確率が高い、グラウンドではコントロールされる可能性が高い、無敗の若手が相手

コメント

 元LFAフライ級王者。柔術黒帯です。UFCには2020年から参戦し、6勝3敗の戦績を持ちます。UFCでの敗北はパントージャに2回、モレノとの1戦目とトップクラスだけ。パントージャとの二戦目は敗れはしたものの判定まで粘る激闘と進化を見せました。直近は一度敗北したモレノ相手にスプリットでの判定勝利。UFCでの6勝のうち4つのフィニッシュ勝利を挙げており、3つの一本勝ちを持っています。うち二つはギロチンチョーク。
 特徴的な強みの一つはスタンドでの手数の多さと思います。打撃精度は37%ではありますが、1分間あたり4.33の有効打と手数の多さが光ります。特にロングリーチとサウスポーを生かしたジャブが印象的。また長身を生かして膝を置くようにように放つところも印象的でニコラウを膝からのパンチで仕留めました。積極的にテイクダウンを仕掛ける訳ではなく、逆にテイクダウンされる印象がある一方でキャリア全体ではサブミッション勝利が最も多い選手となります。テイクダウンされてからリバーサル、立ちぎわにガブってカウンターのギロチンで仕留めたマットシェネル戦などが印象的でカウンターや瞬間の隙を捉えたサブミッションが得意な様子。さらに、下になっても非常にうるさく簡単に押さえ込まれるようなことはありません。最大の強みはここまで手数や運動量が多いにも関わらず5R戦えるタフさ。特にパントージャ→モレノとの直近2戦はそのタフさゆえ素晴らしい試合になったともいます。技術面も向上し今が心身ともに最盛期といった印象。
 弱みとしては被弾の多さとテイクダウンディフェンス。有効打の数と比例するかの如く被弾数も多く(1分間あたり3.42)、短いラウンドで勝利した試合以外、UFCでは一試合で複数回数テイクダウンをされています。とはいえ先述の通り下になってもうるさく、柔術黒帯の実力も相まってキャリアでの一本負けは現王者パントージャとの一戦目。リアチョークでの敗北のみ。
 下馬表では格下の若き平良が優勢。平良との前にUFCから打診されていた対戦相手はデビュー戦の朝倉海とちょっとランキング一位の割には割に合わない対戦相手を打診されているところもある様子。年齢は32歳とキャリアの頂点に差し掛かるところ。もしかしたらアンダードッグのオッズを覆すキャリア最高のパフォーマンスが飛び出してもおかしくないのかもしれません。

Tatsuro Tairaについて

スペック

年齢:24
身長:170
リーチ:178
スタンス:オーソドックス

戦績

16−0−0
勝利内訳
・KO:5
・一本:7
・判定:4
敗北内訳
・KO:0
・一本:0
・判定:0
直近戦績
Win - Perez
Win - Hernandez
Win - Chairez
ファイター印象
>アイムサンキューハッピー。インアウトバーガー。UFC史上最もカワイイ男子ファイター。

SWOT分析

強み:恵まれた体格、右ストレート、グラップリングスキル
弱み:若干ピンチを招きがちな試合展開、経験の低さ、若干のバランスの悪さ
機会:試合ごとの進化に期待、テイクダウン後の展開が圧倒的に有利、打撃戦でもリーチで有利
脅威:インファイトのラフな打撃戦、相手の経験値、長いラウンドで不明点が多い

コメント

 元修斗世界王者。アマチュアから数えると25連勝。プロ戦戦績で70%近いフィニッシュ率を誇る日本MMA界の至宝ともいうべき存在です。才能・実力・現時点のポジション含め、史上最強のMADE IN JAPAN 堀口が叶えられなかった世界最強の称号を得られる権利に最も近い日本人です。
 まず特筆すべきは軽量級の日本人離れした恵まれた体格にあると思います。身長170cmはともかくリーチ177cmというのはUFCフライ級でもトップクラスの大きさ、モレノ、ウランベコフ、今はUFC離脱のモカエフ、そして今回対戦するロイバルと同格の最大サイズです。肩幅が非常に広く、それゆえ圧倒的なテイクダウン力を感じるわけではないにも関わらず組の安定感、寝かせてからの安定感があるように思われます。テイクダウン精度は47%とそこそこながらも、一試合に2.35回のテイクダウン試行回数を誇り、UFCでの試合のほとんどで4分以上のグランドコントロールしています。さらには、毎回サブミッションのアタックを仕掛けてく上にサブミッションフィニッシュが多いという実績。相手にとってはしつこくテイクダウンを狙われ、かつ一度寝かされるとキープを許す上に一本を確実に狙ってくる相手ということで非常に厄介で気を抜けない試合になることが想像されます。そんなグラップラーの印象が非常に強い平良ですが、隠れた武器としてのボクシングがあるように感じます。特に右ストレートの威力が抜群でそのチーチも相まって相手をホーミングするミサイルのようなパンチに見えます。UFC参戦前のVTJの試合、二戦前のヘルナンデス戦など強烈な印象を残すパンチはスタンドで平良が油断ならない対戦相手であることを相手に思い出させることになります。直近のペレス戦ではガードを固め前に出る身長の低い相手に対し、下からのアッパーを狙ったり、近距離では首相撲でいなす戦いを見せるなど進化も見られます。
 無敗かつまだ若く試合ごとに進化するため弱みがどこにあるのかわかりませんが、気になる点の一つにはスタンドでのバランスの悪さが感じられます。たまに自らの蹴り技でバランスを崩すシーンや相手の打撃で体勢を崩すところが見られ、まだフィジカルが成長中であることもあるかもしれませんが一流の相手に対してはそのような一瞬の隙が命取りになるのかもしれません。さらに、得意のはずの寝技においても相手にカウンターを仕掛けられるシーンがまま見られ、これも攻めの意識や一本へのこだわりが強いが故に相手に隙を見せるところもあるのかもしれません。
 恐ろしいことにUFCでのキャリを重ねるにつれて想像を上回る勝ち方をしているように思われます。直近のペレス戦はやや事故的なフィニッシュではあったものの、全体を通して見ると私にとっては圧倒的な勝利に見え、次の試合でもより進化したところを見せてくれるのではないかと期待が膨らむ一方です。それは同じ日本人に対して期待が膨らむ幻想なのか、それともそんな幻想すら打ち破る輝きを見せてくれるのか。。。

試合内容について

勝者予測

 勝者予想はオッズほど楽観視はできないと思うものの、進化と期待も込めて平良。早いラウンドでのフィニッシュです。テイクダウン〜バック〜チョークというのがベストフィニッシュだと思いますが、毎回想像を超える平良には右ストレートでのKO勝ちを最も期待します。

予測/考察

 平良にとって勝利への最大のポイントは如何にテイダウンをとり、そして如何に早いラウンドで極めるか?であると考えます。そしてロイバルにとって最も重要なポイントは寝かされても如何に極められず立ち上がり、または、平良の体力を削る動きをし、長いラウンドで戦い勝利するか?でるあると考えます。ロイバルのテイクダウンディフェンスが40%であることを考えると平良の過去の対戦相手と比較した場合に寝かせることはそこまで難しいことではないように感じます。一方でロイバルの一本負けはキャリアで一度のみ、下からウルサイことや柔術黒帯の実績も相まって早々簡単に極めることはできないのではないかと感じてしまいます。それこそサクッとロイバルを決めてしまうようなことがあればパントージャ以上に平良の寝技には決定力があるという評価になるのかもです。よって、平良としては寝かせても攻め急がず、上から固め自分の体力が削られないよう相手を削る。そんなこれまでとはやや異なる対トップランカー仕様のグランドが求められるのではないかと感じます。スタンドではロイバルが有利に思われますが、遠い距離設定で相手を見る平良とジャブとフェイントのボリュームで主導権を取ろうとするロイバルの相性というのはそんなに悪くないのかなぁと感じたりします。気を付けなければいけないのは若干うまくいかない展開で焦って強引な攻めをしてしまうことなのではないかと思います。打撃戦も組みの展開も寝技も、これまでの対戦相手とは格が違うはず。実力は競っていたとしても精神的な焦りやこれまでうまくいっていたことが通じないシーンへの対処というのが勝利へのポイントになるように思います。その辺りは信頼できるセコンド陣と共にしっかりと対策と準備を進めていることに期待しつつ、そして何より、圧倒的な進化と成長で期待値を上回る驚きとハッピーを提供して欲しいところです。

終わりに

 おそらくこの試合の結果が朝倉海のデビュー戦に影響を与えるのではないかと思います。個人的にはチャンスは大きければ大きいほどいいと思いますので周囲の雑音やしがらみなど無視で参戦即タイトルマッチを見たいのですが、、、数年前では考えられなかった日本人王者誕生の可能性が高まる今。ある意味日本格闘技史上最も幸せな時間を過ごしているのかもしれません。この勢いのままUFCが日本への再上陸を果たして欲しいところ。そういう点からもUFCで戦うファイターの皆さんには最高の試合を見せて欲しいと願うばかりです。

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