札幌生まれ→埼玉へ移住 Myソウルフード(1)ピロシキ
18歳で札幌から埼玉に移り住んだ際、食べ物文化の違いに難儀した。特に、ラーメン(とりわけ味噌ラーメン)、ジンギスカンのたれ、ピロシキだ。
第1回目はピロシキ。
知らない方のために解説しておくと、玉ねぎ・人参などの野菜を細かく刻み、挽肉と炒めて味付けしたフィリングを包んだ揚げパン。https://delishkitchen.tv/articles/1902
1970年代、札幌では、レギュラーどころかスタメンでクリーンアップを務めるような存在で、同じくクリーンアップを張っていたカレーパンと同様にどこのベーカリーでも売っていた。
それが、1981年埼玉に来てみたら、ない、どこにもない、ピロシキが売ってない。某ロシア料理店とその系列店では見かけたが、春雨が入っているなど、札幌で食べていたのとは味も食感も違った。これの方が「本家」なのかもしれないが・・・。
札幌に帰った時のうち、何度かだけ食す(お盆と正月にしか会えない息子のために父母が歓待してくれるので、お寿司やらジンギスカンやらのごちそうの方が圧倒的に多かった)年月が20年近く続いた。
が、2005年頃、住まい隣にあるショッピングモール内のスーパー「Y」のベーカリーコーナーに突如としてピロシキが登場した。あこがれのピロシキ君との邂逅。これで食べたいときにいつでも食べられる安堵感。
と思ったのも束の間。3週間後にあえなく2軍落ち、店頭から姿を消して再浮上することはなかった。
2010年代に、横浜発祥のベーカリー「P」でピロシキがラインナップしたので、チーズバタールを始め好きなベーカリーだったこともあり、リアル店舗でもオンラインショップでも購入していた。が、2019年頃だったか、やはり売らなくなった。
売れないんだろうな、関東では。
考えてみれば、道産子や札幌っ子なら「あぁ、ピロシキね」と味が容易に想像がつくものの、そうでない人にとっては、カレーパンやクリームパン、あるいは肉まんとは違って、「中に何が入っているかわからない」パンだもの。これを買う人はある意味チャレンジャーだ。で、チャレンジャーはアーリーアダプター(https://www.macromill.com/service/words/early-adopters/)より少数だから売り上げ増には貢献しない。
地元民にとっては「日本全国どこでも買えてあたりまえ」な存在の食べ物でも1歩外に出てみると「あたりまえではない」事実は、当人たちが気付いていないだけで、もっと頻繁に起きているのかもしれない。