CO2回収ビジネスとは何か
CO2回収ビジネスに関わる具体的な企業や技術提供者は、世界中で急速に増加しています。以下は、CO2回収技術の開発や実装に関わる代表的な企業とその事業内容です。
### 1. **カーボンキャプチャー技術を提供する企業**
#### **ネクストエラ・エナジー(NextEra Energy)**
アメリカの大手再生可能エネルギー企業で、カーボンキャプチャー技術にも注力しています。特に、ガス火力発電所からのCO2排出を捕える技術の開発を行っており、CO2キャプチャーと貯留(CCS)技術の商業化を進めています。
#### **カーボン・クリーン(Carbon Clean)**
カーボン・クリーンは、CO2回収技術を提供する企業で、特に化学吸収法を基盤とした技術を開発しています。鉄鋼やセメント業界などの重工業向けに効率的なCO2回収ソリューションを提供しており、これまでに数十件のプロジェクトを展開しています。
#### **オクシジェン(Oxy Low Carbon Ventures)**
アメリカの石油・ガス企業オクシデンタル石油の子会社で、CO2の回収・貯蔵技術を商業化しています。特に「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」技術を利用したCO2回収に取り組んでおり、捕えたCO2を地下に注入する技術も進めています。
### 2. **CO2貯留と利用に特化した企業**
#### **クラリファイ(Climeworks)**
スイスに本社を構えるClimeworksは、直接空気からCO2を回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」技術のリーダー企業です。彼らの技術は、CO2を大気中から直接取り出し、地下に貯蔵するか、商業的に利用可能な形(例えば、温室のCO2補充や再利用可能な炭素素材の製造)にするものです。Climeworksは、2021年にアイスランドに世界初の大規模DACプラントを稼働させました。
#### **ダウ(Dow)**
化学メーカーのダウは、CO2を化学的に再利用する技術を開発しています。ダウはCO2を原料として、プラスチックや化学製品を製造する技術の商業化を進めています。例えば、CO2を原料にしてポリウレタンを製造するプロセスが進められています。
#### **グリーン・クレジット(Carbon Clean Solutions)**
Carbon Cleanは、特に産業排出源(セメント工場、製鉄所など)からのCO2回収に特化した企業です。同社は、CO2回収技術を利用して、回収したCO2を化学製品や燃料として再利用するプロジェクトを展開しています。
### 3. **カーボンクレジット市場の企業**
#### **シー・カーボン(C-Carbon)**
シー・カーボンは、CO2回収によって得られるカーボンクレジット(炭素削減証書)を取引するプラットフォームを提供している企業です。このビジネスモデルは、CO2削減が証明されることで企業にクレジットを発行し、それを他の企業や政府機関に販売するものです。シー・カーボンは、特にカーボン・キャプチャーと炭素市場の間を結ぶ役割を果たしています。
#### **エコジェン(EcoEngineers)**
エコジェンは、CO2削減プロジェクトを検証し、カーボンクレジットとして取引できるようにするためのサービスを提供している企業です。彼らは、CO2回収や再利用のプロジェクトが市場で認証されるためのサポートを行っています。
### 4. **政府や大手企業との提携**
#### **シェル(Shell)**
シェルは、CO2回収・貯留技術の商業化においても重要なプレイヤーです。シェルは、CO2貯留(CCS)の商業プロジェクトに関与しており、特に北海にある「Quest」プロジェクトでは、大規模なCO2貯蔵を実現しています。また、シェルは、クリーン技術の研究開発にも積極的に投資しています。
#### **BP(British Petroleum)**
BPもCO2回収技術に投資しており、特に炭素削減技術を活用したプロジェクトを世界中で実施しています。BPは、カーボンニュートラルに向けて、CO2回収と貯留技術の商業化に力を入れています。
### 5. **地域・政府との連携**
CO2回収ビジネスは、地域の政府や国際的な機関と連携し、規制を遵守しながら進行しています。例えば、**欧州連合(EU)**は、温暖化ガス排出削減を目的とした「欧州グリーンディール」を推進しており、CO2回収・貯留(CCS)技術の商業化と普及に向けた助成金やインセンティブを提供しています。また、**アメリカ政府**は、CO2回収・貯留技術の導入に向けて税制優遇措置や補助金制度を活用しています。
### 結論
CO2回収ビジネスは、気候変動対策の重要な技術として急速に発展しており、さまざまな企業がこの分野で活躍しています。技術的には、直接空気からのCO2回収(DAC)や、産業排出源からの回収(CCS)に特化した企業が多く、商業化とスケールアップが進んでいます。また、CO2の貯留や再利用に特化した企業が、新たな市場を開拓しています。