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mousemouse2222
ないてわらって・裏側
大好きな祖母の米寿のお祝いにと、両親が鳩時計を制作してくれたのが、もう何年前でしょう。
毎時ごとに教えてくれる鳩時計は、がっちゃんがっちゃんと大きな音をたてて、でもポッポー・ポッポーと鳴く声はそのがっちゃんより小さくて。
私と60歳丁度の差だった祖母は、とてもオシャレな人でした。
自営業で店をしていたのもあってか、常にお化粧をして、髪だってシャンプーで紫に染まるやつを使っていて。
耳にイヤリングも欠かさずしていたのがとても印象的だったので、幼稚園の時にはがきサイズの紙に祖母の絵を描いた時、真っ赤な口紅とイヤリングを描いた事を覚えています。
覚えているというよりも、ずっとその小さな紙を大事そうに部屋の見えるところに飾っていてくれた祖母のおかげでいつも目にしていたというべきでしょうか。あの絵はどこに行ったのだろう。
私が高校時代に部活動で活躍し、地方新聞に載せてもらった時は、しっかり綺麗に保存して、机の上にクリアシートの下にどどんと見えるようにおいてくれていて、思春期の高校生にはあまりに恥ずかしかったのもいい思い出です。
そんな祖母が亡くなってもう三年か四年か。
お正月明けに亡くなった彼女は、もう突然やってくることはありません。
孫の名前を嬉しそうに呼び、笑顔でハキハキと話していた祖母の顔はいつだって思い出せます。
鳴かなくなってしまった鳩時計は、修理されてまた私に彼女の笑顔を思い出させてくれます。
あの素敵な笑顔と声を思い出して、たまに泣いてしまうけれど、それよりも笑顔になれる瞬間の方が多い。
大事な大事な時計です。
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