【短編小説】ロマンスの日
目の前に掲げられた大きな花束。色とりどりのバラの花に、目がチカチカする。差し色の緑が目に優しいなぁなんてちょっと現実逃避。
あなたは何の花が好きですか?なんて聞かれたのはもう何年も何年も前の話。何度目かのデートで、ショッピングモールの中を回った時に花屋さんの前を通りかかって、私はふぅん綺麗だねって普通の感想しかなかったんだけど、ちょっといい?ってキミの方が足を止めた。
ここのお花はどれも生き生きしていて素敵だったのでって言いながら、ちょっと恥ずかしそうに店の中をくるりと