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【本】町亞星『受援力』:助けを求めることも社会的な行為
みなさん、おはようございます!
「ヤングケアラー」ってご存知ですか?大人と同じような責任を引き受け、家事や、家族の世話を担わなければならない状態にある、18歳未満の子供達のことです。
今回紹介する『受援力』は、今から30年以上前にヤングケアラーの当事者となったフリーアナウンサーの町亞星さんが、自身の経験をもとに、同じような境遇にいる人達に向けて書かれた本です。
この本では、ご自身がヤングケアラーとして経験したことや、そこから得た気づき、そしてどのようにして困難を乗り越えてきたのかが綴られています。そして、ケースごとにどこに助けを求めれば良いか、相談先も掲載されています。ヤングケアラー当事者だけでなく、身の回りに困っている人がいて支援したいと考えている人にとっても、きっと役に立つ一冊になるでしょう。
出来ないことではなく 出来ることを数える
著者は、過去の経験を振り返りながら、ヤングケアラーが抱える問題や、その背景にある社会的な課題を浮き彫りにしていきます。当時はまだヤングケアラーという言葉すらなく、誰かに相談したくても、相談できる場所も、人もいなかったという現実が、文章を通してひしひしと伝わってきます。しかし著者は、絶望的な状況の中で「出来ないことではなく出来ることを数える」という発想の転換をすることで、前向きに生きる道を見出していきます。
想像力と共感力の重要性
特に印象的だったのは、著者が様々な人との出会いを通して、想像力や共感力を身につけていく過程です。車椅子の母親との生活の中で、障害を持つ人への差別や偏見を目の当たりにし、自分自身も当事者意識を持つようになります。また、他のヤングケアラーや、同じような境遇にいる人達との交流を通して、互いに支え合い、助け合っていくことの大切さを学んでいきます。
受援力とは?
この本を読んで、まず感じたのは「ヤングケアラーの問題は決して他人事ではない」ということです。誰もが病気や障害を抱える可能性があり、いつ自分がケアする側、またはケアされる側になるかわかりません。
また、「受援力」という言葉を通して、人に頼ることの大切さを教えてくれます。困った時は無理せず誰かに助けを求めること、それは決して恥ずかしいことではなく、むしろ生きていく上で必要な力なのだと教えてくれます。
「ありがとう」と「助けて」:受援力でつながる社会
『受援力』は、ヤングケアラー当事者だけでなく、全ての人にとって大切なメッセージが込められています。困難に直面した時、温かい光を灯してくれるような一冊です。ぜひ手に取って、読んでみてください。