『保護者からの質問に自信を持って答える!吃音Q&A 吃音のエビデンスを知りたい方へ』を読んでみた
『保護者からの質問に自信を持って答える!吃音Q&A 吃音のエビデンスを知りたい方へ』は、『吃音の世界』著者で吃音ドクターとして九州大学病院で吃音研究をしている菊池良和先生、同じ病院で働く言語聴覚士の福井恵子さんおよび長谷川愛さんの共同著作で書かれました。
現役の医師が研究したエビデンスに基づき、吃音にまつわる疑問を読みやすい対話形式でまとめた本です。
研究結果や医学的エビデンスというと難解でなにが書いてあるかわからない~となりがちですが、
保護者からの質問に菊池先生がひとつずつ答えていくという形式をとっており、読みやすいです。
読み応えのある本なので、個人的に覚えておきたい一部の項目のみとなりますが、紹介します。
学校の先生にお願いしよう
吃音の子を持つ親なら誰もが悩むであろう、学校で我が子の吃音が出た際の対応。
『保護者からの質問に自信を持って答える!吃音Q&A 吃音のエビデンスを知りたい方へ』では、学校の先生向けに書かれたページがあり、そのままコピーして先生に渡してもらってもよいです。と書かれています。
学校生活で吃音が出て子どもが困ったときに、保護者として知っておいたほうがよい知識でもあるので、先生と共有したい(知識)だと思えば、担任の先生に渡しておくのもいいでしょう。
クラスに吃音の児童・生徒がいた場合、教師はどのように配慮すればいいのでしょうか。
次のことに配慮して子どもと接してください
教師はゆっくりとした速度で話す
吃音児の発表を待つ(さえぎらない)
発表の順番を考慮する(1番目ではなくなるべく早く当ててあげる)
クラスメイトに吃音を伝える
約40%発話速度を低下させると、吃音頻度が平均48.4%減ったというデータがある、
また、先生に話してもらうことでいじめやからかいがなくなる、とありました。
いじめやからかいがゼロ!ではなくても、減らす効果はあるのかなと思います
リッカムプログラム
現在、吃音研究において効果があると言われている幼児向けの吃音治療法です。
リッカムとはオーストラリアのシドニーにある地区の名前で、リッカムプログラムは行動療法のひとつです。
2000年までは、幼児の吃音は本人に意識させると悪化するので、意識させないようにしようというものでした。この考えを覆したのが、リッカムプログラムです。
吃音のない発語があったらほめる(上手に話したね)、自己評価の促し(今のスラスラだった?)、知らせる(スラスラ話せたね)
明らかな吃音があったら知らせる(ちょっとでこぼこしたね)、自己評価の促し(もう一度言ってみてごらん)など
明らかな吃音の反応は慎重に行わないと逆効果。
注意点は下記のとおりです。
※5~6歳の子どもに有効
※吃音のない発語の反応を5倍しないと効果はない
※体質(遺伝)による吃音は効果があったというデータはない
※保護者が毎日10分間付き添う時間が必要で、最初の頃は週に1回通院する必要がある
研修を受けた言語聴覚士の指導の下、行いましょう
社会不安障害の治療にインターネットを使ったものがあるか
シドニーの海外サイトにはなりますが、iGlebeという、吃音に伴う社交不安障害を治療できる無料サイトがあります。
シドニー工科大学がオーストラリア国立保健医療研究評議会からの資金提供を受けて、オーストラリア吃音研究センターで開発された認知行動療法プログラムです。
吃音治療を臨床心理士や言語聴覚士の助けを借りずに、自分で行うことができます。
全ページ英語ですが、いまはブラウザが自動的に日本語訳してくれるので便利ですね。
私自身は取り組んではいません。
まとめ
『保護者からの質問に自信を持って答える!吃音Q&A 吃音のエビデンスを知りたい方へ』は、
吃音にまつわる疑問を、おもに子を持つ保護者視点の質問に、現役の吃音研究をしている医師がQ&A形式でわかりやすく答えています。
世界の吃音治療など、最新研究の情報も載っています。
A4サイズの本で大きいですが、電子版でも閲覧できます。