【声劇台本】封印された2体の妖怪は暇すぎて死にそうだそうです

男0:女0:不問3

概要(がいよう)
ジャンル:シリアス
公演時間:4〜5分

配役(はいやく)

・御狐(おきつね):
ひますぎるキツネ。幼稚ようち
・狛郎(こまろう)薄情はくじょう狛犬こまいぬ知的ちてき
兎仙(とせん)もと陰陽師おんみょうじ。ボケてる?


御狐:狛郎こまろう

狛郎:なんだ

御狐:ひま

狛郎:るか

御狐:…狛郎こまろう

狛郎:なんだ

御狐:かえしがつめたい。ぼくかなしい

狛郎:だまれ。

御狐:もしかして…まだおこってる?

狛郎:さあな。

御狐:おこってるよね。

(間)

御狐:狛郎こまろう

狛郎:なんだ?

御狐:おこってる?

狛郎:…おこってるさ。

御狐:(沈黙ちんもく)そろそろゆるして、くれる?

狛郎:無理むり

御狐:おねがい!

狛郎:無理むり

御狐:お〜〜ね〜〜が〜〜い〜〜〜

狛郎:無理むり

御狐:薄情者はくじょうもの

狛郎:だまぎつね

御狐:(間をあけて)…は?

狛郎:ってるだろ。おれいぬ、おまえきつね神社じんじゃにいるようなひんのある存在そんざいじゃない。

御狐:いなめない…

狛郎:それに、封印ふういんされたのはだれのせいだとおもってる

御狐:……ぼく

狛郎:だよな?おれ指示しじどおりにうごいていれば、こんなことにはならなかった!すべておまえのせいだ!

御狐:で、でも…『アレ』に引っかかったのは狛郎こまろうだろ?

狛郎:っ!…う、う、うるさい!

御狐:動揺どうようしすぎ。

狛郎:だまれ。もうぎたことだろうが。

御狐:狛郎こまろうぎたことでぼくのことうらんでるじゃん。

狛郎:………

御狐:不毛ふもうあらそいはもうやめよ!僕《ぼく》とたのしいことしようよ〜

狛郎:だまれ。

御狐:ねぇってば〜、狛郎こまろう

狛郎:だまれ…

御狐:狛郎こまろう〜。

狛郎:だまれってってるだろ!

御狐:ひっ!

狛郎:耳障みみざわりなんだよ!

御狐:………

狛郎:やっとしずかになったか。

御狐:ねぇ。

狛郎:(無視むし

御狐:ねぇ、狛郎こまろう

狛郎:テメェ、いいかげんに…

御狐:なんか、そとにいる…

狛郎:あぁ?そとだぁ?

兎仙:さてさて、くとしますかな。

狛郎:あのヒョロっとした体躯たいく銀色ぎんいろ錫杖しゃくじょう…まさか、兎仙とせんか!

御狐:兎仙とせん?!

狛郎:なにしにきやがった、あの野郎やろう

御狐:おまいり、かな

狛郎:わからん。

御狐:あ、た!

兎仙:おーい、御狐おきつねや〜い、狛郎こまろうや〜い、こっちへおいで〜

狛郎:いくぞ、御狐おきつね

御狐:う、うん!

兎仙:おーい、ておいで〜

狛郎:神聖しんせい境内けいだいさわぐな。ボケジジイ。

兎仙:ほぉ、ぬしくちから『神聖しんせい』などという言葉ことばるとはな…。この60年の賜物たまものかな?

狛郎:ぬかせ。60年前、おれたちをこのめたのは、貴様きさまだろうが!

兎仙:ほっほっほ、啖呵たんかれるまで回復かいふくしているとは、結構けっこう結構けっこう

狛郎:そのニタニタわらいだけはわらねぇな。兎仙とせん

兎仙:ほっほっほ。ぬしらはすっかりわったな。とくに御狐おきつね

御狐:えっ?…ぼく!?

兎仙:さよう。むかしは『ぼく』、ではなく『俺様おれさま』だったろう?

御狐:そう、だったっけ?

兎仙:ほっほっほ。よほどこの封印ふういん期間きかんこたえたのだろうな。うんうん、御狐おきつねはもうしてよかろう。

御狐:ほんと!?

兎仙:ああ。

御狐:わーい!ひまひまにそうだったよぉ

兎仙:ほっほっほ。それじゃあ、また封印ふういんをかけるとするか。

狛郎:ちょ、ちょっとて。

兎仙:んん?

狛郎:おれしてくれよ!

兎仙:なにをぬかしておる。おまえはもう永遠えいえんにそのなかだ。

狛郎:なっ!

兎仙:御狐おきつね十分じゅうぶんつみつぐなった。だがおまえはどうだ?

狛郎:なにぃ…?

兎仙:60年でまなんだことは啖呵たんかかただけか?ワシのをごまかそうなど、200年はやいわい

狛郎:このジジイ、ころしてやる!

兎仙:できるものならやってみぃ。そら、やってみせぃ。

狛郎:ふざけるなぁァァァァァァ!

兎仙:いくら知識ちしきたくわえようと、根本こんぽんわらねば、すべ無意味むいみなのだよ。

狛郎:ここからしてくれぇぇぇぇぇ!

兎仙:こうがわめこうが、貴様きさま味方みかたなぞおらぬわ。

狛郎:あ、あ、ああああああ!

兎仙:さらばじゃ、狛郎こまろうよ。


もんかたざされる。
と、狛郎こまろう断末魔だんまつまが、境内けいだいひびいた。


fin……

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