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【声劇台本】最後のチェックメイト

───公演時間:25〜35分
──男3:女1:不問2

配役
●ジョーカー:男
・『冷血れいけつのマジシャン』とばれるだい怪盗かいとう。クイーンとタッグを世界せかい各国かっこくまわっている。

●クイーン:女
・『冷血れいけつ懐刀ふところがたな』とばれる女性じょせい。ここ数年すうねんでかなりちからをつけてきたが、たまにやらかす。

●ローグ:男
全身ぜんしんへび刺青いれずみはいっている。イタリア出身しゅっしんころ。ローグをみたら最期さいご…。というフレーズがある。

●雷豪 銅傑(らいごう どうけつ):男
裏社会うらしゃかいべるもの。ジョーカーの殺害さつがい目論もくろんでいるらしい…。せいどう具現化ぐげんかしたような人物じんぶつ

●エース:不問
以前いぜんキングとバディをんでいた新人しんじんいま立派りっぱ警官けいかんとなった。

●クラウン:不問
・エースとバディをんでいる新人しんじん警官けいかん。エースをこころそこから尊敬そんけいしている。
──────────────────────
※ SE とは効果音こうかおんです。まなくてOKです!
【N】は独白です。


SE:(ドアのノック音)

雷豪「はいりたまえ」
エース「…失礼しつれいします。雷豪らいごうさま。」
クラウン「……」
雷豪「やつ尻尾しっぽつかめたか?」
エース「いえ、まだこれといった情報じょうほうは…」
雷豪「チッ(舌打ち)…」
エース「もうわけありません。」
雷豪「ロンドンから遥々はるばるておきながらこのザマか。使つかえぬゴミどもめ」
エース「おっしゃるとおりです。」
クラウン「……」
雷豪「わたしには、時間じかんがないのだ。わかっているな?」
エース「はい。」
雷豪「このいのちきぬうちに、やついきめねばならん。」
(間をあけて)
雷豪「…あと3日だ。それで成果せいかせぬのであれば……ころす。」
エース「御意ぎょい。」
雷豪「はよけ。さけ不味まずくなる。」
エース「…失礼しつれいしました。」

エースとクラウンは【おう】をあとにする。

雷豪「……(さけ一気いっきみする)」
雷豪「冷血れいけつのマジシャン…貴様きさまいま、どこにいるのだ」

エースとクラウンが廊下ろうかあるいている。

クラウン「雷豪らいごう銅傑どうけつ噂通うわさどお妖怪ようかいのようなおとこでしたね。」
エース「そうだね。」
クラウン「それにしても、何故なぜおれたちがあのおとこにペコペコしなくちゃいけないんですかねぇ」
エース「………」
クラウン「エースさん?」
エース「…かねだよ。」
クラウン「えっ?」
エース「5年前、イギリス警察けいさつ雷豪らいごう買収ばいしゅうされたんだ」
クラウン「えっ、ば、買収ばいしゅう?!そんなはなしいたことないです…」
エース「らないのはたりまえだよ。当時とうじ雷豪らいごうがメディアに圧力あつりょくをかけたのさ。だから表向おもてむきには報道ほうどうされなかった。」
クラウン「そんな…」
エース「…いまやイギリス警察けいさつは、雷豪らいごういぬ同然どうぜんさ。」
クラウン「…おれちいさいころから警察けいさつになるのがゆめで、やっとのおもいで警察けいさつになれたのに…」
エース「…キングさん、もどってきてくださいよ。ぼくじゃ、キングさんのわりなんて…」


SE:(電車の音)

クイーンはしずかに寝息ねいきてている。

ジョーカー「クイーン」
クイーン「ん、んん…」
ジョーカー「いいかげんきろ」
クイーン「もう、あさなの…?」
ジョーカー「いや、もうひるだ」
クイーン「そう…。」

クイーンはおおきくびをする。

クイーン「おはよう、ジョーカーさま
ジョーカー「ああ、おはよう。」
(少し間をあける)
ジョーカー「昨日《きのう》たれたきずはどうだ?いたむか?」
クイーン「ええ、すこしね」
ジョーカー「たまってある。だがしばらくは安静あんせいだ。戦闘せんとうはできるだけけろ」
クイーン「わかってるわよ。でも大丈夫だいじょうぶよこのくらい」
ジョーカー「ダメだ!無茶むちゃをすると傷口きずぐちひらく。それに…」
クイーン「それに?」
ジョーカー「とにかく、おれうとおりにしろ」
クイーン「ん〜気持きもちはうれしいけど、この稼業かぎょうはつきものよ」
ジョーカー「…」
クイーン「このぐらいのきず明日あしたにはふさがってるわよ」
ジョーカー「…(少し笑って)わったな。クイーン」
クイーン「そりゃわるわよ。あのよるから5年もつのよ?いつまでも子供こどもじゃないの!」
ジョーカー「そうか…もう5年か」
クイーン「そう。だから"懐刀ふところがたな"のじぬはたらきをしないとね〜」
ジョーカー「そのわりには銃弾じゅうだんはかわせない、白兵はくへいせんもまずまず…」
クイーン「う、うるさい!」
ジョーカー「おまけには、ドジときた。"懐刀ふところがたな"には程遠ほどとおいな」
クイーン「ど〜せわたしはドジですよ〜だ!」
ジョーカー「そうねんなよ〜(笑)可愛かわいかお台無だいなしだろうが」
クイーン「む〜、わたしだって…いつかジョーカーさまみたいに…」

ジョーカー「(小声)へっ、まだまだ子供こどもじゃねぇか…」
クイーン「ん?なんかった?」
ジョーカー「なんでもねぇよ。ほら、めしにすんぞ」
クイーン「はーい」

クイーンが食事しょくじをしているあいだ、ジョーカーはコーヒーをみながら、雑誌ざっしを走らせている。

クイーン「んっ、これおいしい」
ジョーカー「……」
クイーン「ジョーカーさま
ジョーカー「なんだ?」
クイーン「今日きょうもごはん美味おいしい」
ジョーカー「そうか、よかったな」
クイーン「ん〜これもおいしい!」
ジョーカー「っておくが、来週らいしゅうめし当番とうばんはクイーンだからな?」
クイーン「んぐっ!わすれてた…」
ジョーカー「まったく…。わったら、明日あす作戦さくせん会議かいぎだ。」
クイーン「は〜い」

N)ジョーカー「最近さいきんおれ逡巡しゅんじゅんしている。たしかにクイーンは、つよくなった。5年前まで恐怖きょうふでピーピーいてたあのクイーンが、いまじゃ喧嘩けんか自慢じまんのチンピラ程度ていどなら、完封かんぷうできるほどにまで成長せいちょうしやがった。ただ、自信じしんがついてきたからなのだろうか。最近さいきん無茶むちゃをすることがおおくなったがする。昨日きのう銃創じゅうそうだってそうだ。クイーンには援護えんごまわってもらうべきなのだろうか。それともいままでどおりにするべきか……。どうすればいいんだ」

クイーン「ごちそうさまでした!じゃあ、さっそくはじめましょ」
ジョーカー「ああ。資料しりょうってくるからってろ」

ジョーカーは雑誌ざっし数枚すうまい資料しりょうひろげる。

ジョーカー「今回こんかいのターゲットは、『聖剣せいけんジュピター』だ。」
クイーン「せーけん じゅぴたぁ?」
ジョーカー「17世紀せいきにフランスで発掘はっくつされた秘宝ひほうだ。かつてフランスの帝都ていとで、英雄えいゆうばれたおとこ邪龍じゃりゅう撃退げきたいするさい使用しようしたつるぎらしい。」
クイーン「へぇ〜伝説でんせつつるぎねぇ…」
ジョーカー「そのつるぎ先週せんしゅうオークションに出品しゅっぴんされ、60兆円ちょうえん落札らくさつされた。」
クイーン「ろ、ろくじゅっ?!一体いったいだれが…」
ジョーカー「落札者らくさつしゃは、裏社会うらしゃかいのフィクサーである『雷豪らいごう銅傑どうけつ』。」
クイーン「えっ?!雷豪らいごうって、ちょうビッグネームじゃない!」
ジョーカー「そして明日あすやつ会社かいしゃのクルーズせん秘宝ひほう展覧会てんらんかいおこなうらしい」
クイーン「そこをたたくのね」
ジョーカー「ただ、ひとつ問題もんだいがある。」
クイーン「裏社会うらしゃかい主催しゅさいってところ?」
ジョーカー「そうだ。当然とうぜん護衛ごえいがいるだろう。」
クイーン「面倒めんどうね。まぁわたしたちなら大丈夫だいじょうぶよ」
ジョーカー「雷豪らいごうクラスともなれば、護衛ごえい全員ぜんいん武闘派ぶとうは可能性かのうせいたかい。」
クイーン「…戦闘せんとう極力きょくりょくけたほうがよさそうね」
ジョーカー「ああ。だからこいつを使つかう」

SE:(コトッとなにかを置く音)

クイーン「これって、煙玉けむりだま?」
ジョーカー「ちがう。…これは『パラライズA4エーフォー』っていうんだ。」
クイーン「ぱらら、なに?」
ジョーカー「パラライズA4エーフォー
クイーン「しびれさせるってこと?」
ジョーカー「そういうこと。ローリスクに遂行すいこうするなら、これが最適解さいてきかいだとおれおもう。クイーンはどうだ?」
クイーン「賛成さんせいよ。それでいきましょ。」
ジョーカー「まりだな。」
クイーン「う〜!ワクワクしちゃう!はや明日あしたにならないかしら。いまから武器ぶきのメンテナンスしておきましょ!」
ジョーカー「(少し笑って)そうだな。」

N)ジョーカー「おれはこのときかすかな胸騒むなさわぎをおぼえていた。そして、その胸騒むなさわぎは…最悪さいあくかたち現実げんじつとなってしまうことを、この時知ときしよしもなかった。」


SE:(ドアのノック音)

雷豪「はいりたまえ。」
エース「失礼しつれいします。雷豪らいごうさま。」
雷豪「さて、なにつかんだか?」
エース「いえ、これといったものは…」
雷豪「ちっ(舌打ち)…」
エース「もうわけございません、」
雷豪「ふん…貴様きさま謝罪しゃざいも、もうきたわ。」
クラウン「………」
雷豪「貴様きさまらにはふか失望しつぼうした。」
エース「ただ…」
雷豪「ただ…なんだ?」
エース「雷豪らいごう様宛さまあてに、これが。」
雷豪「なにぃ?私宛わたしあてだと?」

雷豪らいごうはエースから1枚のかみった。
そしてはじめた。

─────────────────────
(ジョーカー役 独白どくはく

残光ざんこうえつつありし夕刻ゆうこく
聖剣せいけんジュピターを いただきにまい

                                        怪盗かいとうジョーカー
──────────────────────

雷豪「くくく…はーっはっはっはっは…」
(雷豪はしばらく笑う)
雷豪「わたし随分ずいぶんめられたものだな…。わらいがまらんよ…」

雷豪らいごう予告状よこくじょうをくしゃくしゃにまるめる。

雷豪「明日あすやつ命日めいにちおんな諸共もろともってくれるわ」

N)クラウン「クソこえぇ…つか殺気さっきエグすぎる…」

雷豪「さて…もうおまえたちは用済ようずみだ」
エース「えっ…?」
クラウン「は?…」
雷豪「せろ」
エース「ど、どういうことですか?!」
雷豪「わたしきらいな言葉ことばは【不必要ふひつよう】。やつから予告状よこくじょうとどいたいま、もはや貴様きさまらは不必要ふひつようなのだよ。」
クラウン「…んだとテメェ!」
エース「クラウン、やめろ」
クラウン「もう我慢がまんならねぇ!テメェ、もういっぺんってみろ!」
雷豪「不必要ふひつよう。そうったのだよ。」
クラウン「ふざけるな!おれたちがどんだけテメェにくしたとおもってんだ!」
雷豪「くした?わらわせるなよ小僧こぞう。この結果けっかすべて、貴様きさまらはぬかくぎ同然どうぜん。」
クラウン「こんの野郎やろう…っっっ」

と、【おう】にひとりのおとこはいってきた。

ローグ「はたらかざる者食ものくうべからず。成果せいかもの存在そんざいするべからず。」

N)クラウン「なんだっ!?コイツっ!足音あしおと気配けはいもない!」
N)エース「このおとこは、まさか…」

ローグ「失礼しつれいいたします。雷豪らいごうさま…」
雷豪「よくてくれた、ローグよ」
ローグ「貴方様あなたさまのご依頼いらいならば、たとえこのぜようと任務にんむ遂行すいこういたします。」
雷豪「たのもしいな。そこの無能むのうたちとはちがう」
クラウン「ちっ…」
エース「クラウン。かえるぞ」
クラウン「えっ、エースさん?!」
エース「もう、ぼくたちがやることはない。」
クラウン「しかし!」

ローグ「わず、早々そうそうれ」
エース「………くぞ。クラウン」
クラウン「エースさん!」
エース「……」
ローグ「(鼻で笑う)やはりキング・エバンスは無能むのうだったようだ」
エース「…っ!(立ち止まる)」
ローグ「イギリス最強さいきょう…なんともていレベルだ。後輩こうはいがまるでそだっておらん。」
クラウン「(小声)好き放題言いやがって…」
エース「おい。」
ローグ「んん?」
(間をあける)
エース「いま、なんていった?先輩せんぱいが…無能むのうだってったのか?」
ローグ「そうだ。怪盗かいとうごっこをしているやからあしなかったそうではないか」
エース「…せ。」
ローグ「なぜ必要ひつようがある。教育者きょういくしゃ無能むのうならば、おし無能むのう…」
エース「ローグ。っていいこととわるいことがあるぞコラ」
ローグ「なに間違まちがったことはっていない。わたしはただ、事実じじつべたまで。」
エース「ローグ…それ以上いじょう先輩せんぱいのことバカにしたら…どうなっても知らねぇぞ」
ローグ「おろかな。わたしおうというのか…」
エース「ころしはしねぇ。ただ、無力化むりょくかする!」

エースはナイフをいた!

ローグ「警告けいこくする。四肢ししうしないたくなければ、ただちにこのかられ。」
エース「はいそうですかってるかボケ。先輩せんぱいバカにされてだまってられるか」
クラウン「……エースさん。」
エース「クラウン、がってろ。」

ローグ「雷豪らいごうさま神聖しんせいな【おう】での無礼ぶれいを、おゆるしください。」
雷豪「かまわんよ。不必要ふひつようなゴミは処分しょぶんしなさい。」
ローグ「承知しょうちしました。」

N)クラウン「っ!なんだアイツ…なんでナイフかまえないんだ?! 」

ローグが瞬間しゅんかん移動いどうのように距離きょりをつめる!

ローグ「おのれ凡庸ぼんようさをおもれ…」
エース「なにっ?!」
N)エース「み、えない!」
ローグ「しゅぅぅぅぅぅう…(息を吐く)」
エース「ぐぅっ?!」
N)エース「いきなり深手ふかでだ…」
クラウン「エースさん!」
ローグ「斬撃ざんげきとは、つながるもの…」
エース「っ!…させるかァッ!」

SE:(ナイフがぶつかる音)

ローグ「ほう…なかなかやるな。だが、ナイフにられすぎだ」
エース「っ!?」
ローグ「発勁はっけいだ…ぜるがいい!」
エース「がぁぁぁぁ!」

エースははげしくころがる。

クラウン「エースさん!」
エース「ごはっ…(吐血)」
ローグ「肋骨ろっこつが4本れたな。これ以上いじょういのちかかわる。大人おとなしくロンドンへかえれ」
エース「く、クソ…がはっ…」
ローグ「そこの青二才あおにさい。」
クラウン「な、なんだよ」
ローグ「このぞこないをれ、ここからえよ」
クラウン「…は、はい。」
雷豪「ご苦労くろうだった。ローグ。」
ローグ「このぐらい、赤子あかごをひねるようなものです。」
雷豪「ふっふっふ…明日あしたたのんだぞ…」

ローグ「おまかせください。冷血れいけつのマジシャンは、わたしかならほうむってみせましょう……。」


SE:(電車の音)

ジョーカー「Good evening…東京とうきょう…」
クイーン「いよいよですね。」
ジョーカー「ああ。今夜こんや朧月おぼろづき…。いいねぇ…。」
クイーン「護衛ごえいは、うわ…めちゃくちゃいるじゃない…!」
ジョーカー「問題もんだいない。これがある。」
クイーン「ふぅ…(息を吐く)」
ジョーカー「気合きあれろよ?相棒あいぼう
クイーン「ええ…もちろん。」
ジョーカー「それじゃあ、くか。」

ジョーカーはゆびらす。
そして、2人同時どうじに…

※ 2人同時に!(せーの で言ってもOK)
ジョーカー「Let'sレッツ JOKER TIMEジョーカー タイム…」
クイーン「Let'sレッツ JOKER TIMEジョーカー タイム…」

2人は降下こうかする…。

ジョーカー「くらいな!パラライズA4 投下とうか!」
クイーン「こっちも投下とうか!」

甲板かんぱんから悲鳴ひめい怒声どせいこえる。

ジョーカー「よし、クイーンくぞ!」
クイーン「ええ!」
ローグ「おろかな…」
クイーン「っ?!」
ジョーカー「クイーン!けろ!」
ローグ「まずはおんなからだ…」
N)ジョーカー「まずい!」
ジョーカー「おらぁぁ!」
ローグ「しゅぅぅぅぅ…(息を吐く)」
ジョーカー「ぐぅ!?」
クイーン「ジョーカーさま!」
ジョーカー「大丈夫だいじょうぶか!」
クイーン「ええ…ジョーカーさまのおかげで無傷むきずです。」

ローグ「今夜こんや仏滅ぶつめつ…。貴様きさまほふるにはだ」
ジョーカー「……なっ!おまえは…まさか、ローグか!?」
ローグ「んでなつむしとはこのこと。今宵こよい裏社会うらしゃかい歴史れきしうごくことだろう…。」

ジョーカー「おい、クイーン。」
クイーン「なに?」
ジョーカー「おまえは、ジュピターをりにけ。」
クイーン「え?…」
ジョーカー「コイツは、おれ相手あいてをする…」
クイーン「ジョーカーさま?…」
ジョーカー「おそらくなかには護衛ごえいはいない。雷豪らいごう1人のはずだ。」
クイーン「…できるかしら。わたしに」
ジョーカー「できるさ。自分じぶんしんじろ」
クイーン「……ええ。ベストをくすわ」
ジョーカー「…たのんだぜ、相棒あいぼう

ローグ「なにをコソコソとはなしている。時間じかんかせぎなど無駄むだだ。2人まとめてむくろす。」

ジョーカー「け!クイーン!」
クイーン「やぁぁぁぁ!」
ローグ「無謀むぼう特攻とっこうだ…かたなさびとなれ…」
ジョーカー「おまえ相手あいておれだよ!これでもくらえ!」
ローグ「しゅっ…」
N)ローグ「クナイか…」
ジョーカー「ばぁ!どうも〜!そしてさよなら!」
ローグ「しゅっ…それでは太刀筋たちすじまるわかりだ。」
ジョーカー「ばーか、本命ほんめいはこっちさ!」
ローグ「ぐっ!」
ジョーカー「ふっとべ!」

ローグはぶ。

ローグ「…いいりだ。なみ戦士せんしならば内臓ないぞう破裂はれつだな。」

N)ジョーカー「手応てごたえがなかった。おそらくみずかうしろへ飛びやがったな…」
ジョーカー「面白おもしろくなってきたぜ…」


そのころ…。

クイーン「はぁ…はぁ…うぐっ…」
N)クイーン「へん回避かいひしたから、傷口きずぐちひらいたわね…」
クイーン「はやく、秘宝ひほうつけないと…」

(間をあける)

クイーン「ん?…ここかな」

クイーンはとびらをあける。

雷豪「…やはりここへたか。クイーン・ペトラ。」
クイーン「っ?!あ、貴方あなたはまさか…」
雷豪「いかにも。わたしは…雷豪らいごう銅傑どうけつ。」
クイーン「やはり、ってことはわたしっていたってことね」
雷豪「はなしはやくてたすかる。」
クイーン「なにのぞみなの?わたしいのち?」
雷豪「……わたしのぞみは、やつ冷血れいけつのマジシャン、ジョーカーのだけだ。」
クイーン「ふぅん、だとしたらそののぞみはかなわないわ。あのひとぬはずないもの。」
雷豪「ふっふっふ…どうかな。」
クイーン「さぁ、にたくなかったら、ジュピターの在処ありかいなさい!」
雷豪「まぁそうあせるでない。じゅうろしてすこし、はなしをしよう。」
クイーン「貴方あなたはなすことなんてないわ」
雷豪「りたくはないかい?」
クイーン「…?」
雷豪「ジョーカーの、しんかおを…」
クイーン「っ?!…ジョーカー、さまの?」
雷豪「きみ生粋きっすいのジョーカーファンだったということは調しらべがついている。」
クイーン「いいえ、わたしだまされない!そうやってわたし誘惑ゆうわくして、不意打ふいうちするなんでしょ!」

雷豪「…下半身かはんしん不随ふずいわたしに、きみころせるとおもうかい?」
クイーン「…あるけないの?」
雷豪「わたしは、もうながくないのだよ。」
クイーン「……」
雷豪「ステージ4の膵臓癌すいぞうがんでね…。余命よめい1年と宣告せんこくされたよ。」
クイーン「1年…」
雷豪「だが、わたしには悲願ひがんがあった。」
クイーン「…悲願ひがん?」

雷豪「冷血れいけつの…いや…雷豪らいごう恭平きょうへいころすというな…」
クイーン「ら、雷豪らいごう?!」
雷豪「おどろいたかい?まぁ無理むりもあるまい。」
クイーン「と、いうことは…貴方あなたは…ジョーカーさまの…おとうさん?!」
雷豪「…もう20年以上いじょうまえはなしだ。」


雷豪「恭平きょうへいは、家系かけい唯一ゆいいつおとこ
だった。
将来しょうらいわたしあとぎ、雷豪らいごう一族いちぞくおそろしさを裏社会うらしゃかいとどろかせるものだとおもっていた。
恭平きょうへいが、18になるまでは…。」

恭平(ジョーカー)「もうウンザリなんだよ!」
雷豪「恭平きょうへい!」
恭平(ジョーカー)『もうほっといてくれよ!』

雷豪「やつは、一族いちぞく裏切うらぎり、怪盗かいとうなどという低俗ていぞくものになりおった…。」

クイーン「………」
雷豪「…わたしは、ゆるせなかった。息子むすこあたえるがわではなく、うばがわになってしまった、ということが。」
クイーン「……」
雷豪「だから、ころそうとした。それが今夜こんや達成たっせいされる。」
クイーン「…バカみたい。」
雷豪「なにぃ?」
クイーン「おやだからって、子供こども将来しょうらいめていいわけないじゃない。」
雷豪「バカめ。血筋ちすじには、したがうべきなのだよ。」
クイーン「…」
雷豪「ましてや、怪盗かいとうなぞ笑止しょうし千万せんばんやつ一族いちぞくかおどろった。んで当然とうぜん…」
クイーン「…いいかげんにしなよ。」
雷豪「あぁ?」
クイーン「ジョーカーさまは、貴方あなたを、裏切うらぎって正解せいかいだったわ。」
雷豪「…」
クイーン「血筋ちすじがなんだのと言って、ジョーカーさましばりつけて、裏切うらぎられたらころす?なにそれ、バカみたい。」
雷豪「なにがいいたい」
クイーン「ジョーカーさまは、かっこいいの。貴方あなたちがって、かね権力けんりょくひと支配しはいしたりしない!ほんとうにぬべきなのは、貴方あなたよ!」
雷豪「そうか。なら、がねけ。ジュピターならとなり部屋へやにある」
クイーン「…ええ、そうさせてもらうわ。」
雷豪「ふっふっふ…さきに、地獄じごくっているぞ。」

SE:(銃声)

その頃…。
ジョーカーとローグは、上裸じょうら
死闘しとうひろげていた。

ジョーカー「………がはっ」
ローグ「…ごふっ。」
ジョーカー「へへへ、ほらどうしたぁ?ローグゥ、もうわりかぁ?」
ローグ「まさか、これほどとは…冷血れいけつのマジシャン…。」
ジョーカー「おれァ、まだ2パーセントしか、力出ちからだしてねぇぜ?…」

N)ジョーカー「とかなんとかってっけど…かなりシビアだな…。チャンスはあと1回か…」

ローグ「らい豪様ごうさまの…ために…わたしは!けられないのだ!」

ジョーカー「いいねェ!正々せいせい堂々どうどうやるかァ!」

※ ジョーカー と ローグ 同時に
ジョーカー「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
ローグ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

ローグ「もらった!」
ジョーカー「がはっ……っ!テメェももらっとけぇ!」
ローグ「ごぉっ!ぉぉ…あぁ……」
ジョーカー「燕返つばめがえしだ!」
ローグ「しぃぃぃ!…たるかぁ!」

ローグ「おらよっ!チャクラムをどうぞ!」
ジョーカー「そんなん、たるほうむずかしい…」
ローグ「なっ!」
ジョーカー「わりだ!」
ローグ「ぐぅぅ!…かはっ…ぁぁぁ」
(間をあける)

ジョーカー「はぁ…はぁ…はぁ…」
ローグ「ジョーカー、ごふっ…そろそろ…決着けっちゃくつけるか…」
ジョーカー「ああ、そのつもりだよ!」
ローグ「ふぅぅぅ…(息を吐く)」
ジョーカー「さぁてと…」

ジョーカー「そろそろ…チェックメイトだ!」

ローグ「かぁぁぁぁ!」
N)ジョーカー「…える。太刀筋たちすじが…」
ローグ「ねぇぇぇぇ!」
N)ジョーカー「ここだ…」

SE:(刀がぶつかり合う音)

ジョーカー「イタリア最強さいきょうころ…ローグ・ロヴァニス…。」
ローグ「ぐぅぅ…」
N)ローグ「まれっ、」

ジョーカー「じゃあな…。本当ほんとうつよかったよ…」
ローグ「う"っ…ぁ…がはっ………」

ローグは、たおす。

ジョーカー「やった、やったぞ…」
クイーン「ジョーカーさまァ!」
ジョーカー「あぁ、クイーンか…」
クイーン「えっ?!だらけじゃない!…」
ジョーカー「あはは…おもったより苦戦くせんしちまってさ」
クイーン「は、はや闇医者やみいしゃきましょ!」
ジョーカー「ああ。そうだ、ジュピターは?」
クイーン「……(少し笑って)ええ。ほら!」
(間をあける)
ジョーカー「そうか…ぬすめたか。よかっ、た…(気絶)」
クイーン「ちょ!ジョーカーさま?!って、ってってって!い、いそがなきゃ!」

N)ジョーカー「それからおれは、三日みっか三晩みばんねむったらしい。ねむっているあいだ、クイーンはずっとおれそばにいてくれたらしい…。ました瞬間しゅんかんきついてきやがった。」

クイーン「ホントによかったよぉ!」
ジョーカー「おまえ何回なんかいうんだよそれ」
クイーン「だって、だってぇ…」
ジョーカー「(少し笑って)やっぱ、まだまだガキだな」
クイーン「ガキじゃないわよ…(泣きながら)」
(間をあける)
ジョーカー「なぁ、クイーン」
クイーン「…にゃに?      (何?)」
ジョーカー「おれ怪盗かいとうやめるよ」
クイーン「……え?なんできゅうに…」
ジョーカー「おまえ雷豪らいごうころしただろ?」
クイーン「え、まぁ、うん」
ジョーカー「それがキッカケで裏社会うらしゃかいおおきくうごいたらしくて。支配下しはいかにあった、世界中せかいじゅう警察けいさつ解放かいほうされて、急激きゅうげきちからをつけてきたらしいんだ。」
クイーン「そうなんだ。」
ジョーカー「もうあぶないことはごめんだし、おれもうたたかえないからさ」
クイーン「片目かためえないんだっけ?」
ジョーカー「あははは…」
クイーン「わらごとじゃない!」
(間をあける)
ジョーカー「……なぁ、クイーン。」
クイーン「なに?…」


ジョーカー「おれと、結婚けっこんしてくれないか」

クイーン「え、え?!え、えええええええ?!」
ジョーカー「これからは、平和へいわにおまえらしたい。」
(間をあける)

ジョーカー「クイーン。おれと、結婚けっこんしてください。」
(長めに間をあける)

クイーン「はい!おねがいします!」

fin……

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