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落窪イムズの話

「闇落ちしてました。」
「またいつものか。」
「献血は抗うつ薬としては特級なんですがなんせ二週に一回なので…」

落窪イムズとは、「落窪物語」の登場人物が構成する四角関係に類比される構造及びその尊さの事です。

↑「落窪物語」の個人的に好きな解説

四者関係というのは

落窪の姫=右近の少将(道頼)
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  阿漕=帯刀(惟成)

之です。

「横」は恋愛関係です。ちなみにかなり純愛です。砂糖注意報です。
落窪物語は平安王朝文学の一つなので、当然一夫多妻制が常識な世界なわけです。
光源氏みたいなクズがむしろ「色好み」として英雄視されかねないわけです。
で、も、道頼は作中で「落窪の姫以外に妻も恋人も持たず、彼女だけを一生愛し続け沢山の子供に恵まれた」とされているんです!

此方が私が最初に落窪物語に触れたときに読んだものなのですが、私の記憶違いでなければ道頼は登場人物一同を前にして「一生彼女だけを愛します!」って宣言するシーンまであったんですよね。
阿漕=惟成間は物語が動く時点で既に結婚しているのでロマンスの感はないですが、時々もめながらも協力して主たちの為に連携する様子から互いの信頼関係が伝わってきます。

まあ、これだけでも十分ごちそうさまなのですが、落窪イムズの落窪イムズたる所以は「縦」の主従関係にあります。
古典に詳しい方だと「乳飲み兄弟」が現代でいう所のブロマンス的関係に近いものとして見ることが出来ることをご想像頂けると思いますが、道頼と惟成の関係が文句なしのそれです。落窪物語は何処までもシンデレラストーリーで、道頼は文句なしの王子様なのですが、彼が落窪の姫の王子様であり続けられるのは惟成のサポート無くしてはあり得ないんですよね。
で、阿漕もまた素晴らしく姫に忠実な従者で、シンデレラよろしく継母に虐められる姫を常に助けて、夫の惟成を通じて道頼を姫と結ばせるために尽力するわけです。
因みに姫は虐めと不幸で自己肯定感がダダ下がりなので、 何か道頼に積極的にアプローチするときは阿漕がいないとまず無理なんです。

どの線一本とっても萌える関係が四つ綺麗に相互成立しているのが凄い好きという話しでした。
お砂糖系には結構この構図を見ることがあるんですけど、一番明確に表れているのは「となりの柏木さん」かな…と思ってます。

「違約!」
「いやあれ留保着けてたじゃないですk」
「もういい、私が言う。
『四ベクトルも落窪イムズも一昨日紹介させていただいた作品中に見出すことが出来ます!是非ご確認ください!』」


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