メキシコ最高峰オリサバ山に登頂してきた、備忘録(前編)
2024年8月、メキシコ最高峰であるオリサバ山(Pico de Orizaba)に登ってきた。
オリサバ山は標高5636mの成層火山、北米大陸で3番目に高い山である。
ナワトル語でCitlaltépetl(星の山)とも呼ばれており、古くから神聖な場所とされている。
オリサバ山は日本から比較的手軽に行ける5000m級の山である。
誰かの参考になればと思い、備忘録を作成した。
なお、本記事ではオリサバ山に向けた準備をしてきた話がメインとなる。
オリサバ山登山の話は後編の記事に譲ることとする。
旅の準備
オリサバ山はメキシコシティから200kmほど東に位置する。
登山にはメキシコシティから1泊2日のガイド付きツアーに参加するのが一般的である。
ガイドを付けず自力で行けないかと模索したが、旅行者による個人手配は現実的ではないことがわかった。
そもそも登山口にたどり着けないからである。
登山口のピエドラ・グランデ小屋に行くには、すさまじい悪路が続く林道を車高のある4WDで駆け抜けなければならない。
メキシコでは国際免許証が通用しないし、レンタカーを借りられたとしても、保険代がバカ高いようである。
そもそも、この悪路を乗り越えられるような車は一般的なレンタカー屋にはない。
そんなわけで私はやむなく現地のツアーに参加した。
1人でのツアー参加は割高であり、当時の為替で12万円だった。(2人参加であれば、1人あたり9万円)
ちなみに、オリサバ登山ツアーは通年で開催されている。
オリサバ山の位置するメキシコ中央高原部では、5月~10月が雨季とされているものの、雨季であっても大雨になるのは夕方頃が多く、登山を想定する未明~昼前は比較的天候は安定しているという。
登山口と山頂の高度差は1400m。
オリサバ山では5000m付近から氷河に取り付くと、山頂までガイドとロープを結び、最大斜度およそ45度の斜面をアイゼンとピッケルを使いながら登降することになる。
高所であることを抜きにすれば、技術的には11月の富士山、あるいは3月の羊蹄山という具合である。
となると一番の課題は高所順応となる。
山頂付近は海面の半分しか空気がない。
少なくとも富士山には高山病なく登頂できるくらいでなければならない。
高所順応には個人差があるが、オリサバ山に登る前にできるだけ長時間、高所に滞在したい。
幸いにも、旅の玄関口であるメキシコシティは高所登山者にとってすごく環境がいい。
市内の標高がそもそも2300mもあり、滞在するにはちょうどいい低酸素環境である。
そして、周辺には4000m級の山がいくつかあるため、10日間のメキシコ滞在中に登っておくことにした。
ちなみにこれから紹介する2つの山は、手軽に富士山超えできるちょうどいい山だ。
オリサバ山が目当てでなくとも、これらを目的にメキシコに来ることも十分オススメできる。
アフスコ山(Mt. Ajusco)
2024年8月8日、メキシコシティの空港に到着。
まずすべきことはSIMカードの購入である。
海外の空港では到着ロビー付近にSIMカードの看板なんかがあるはずだと思っていたが、それらしいものはなく、空港内をさまよった挙句、セブンイレブンでSIMカードを購入。
翌日は完全オフ、市内を適当に散策。
そして8月10日、標高3923mのアフスコ山(Mt. Ajusco)へ。
メキシコシティ市内から登山口の「Hotel Alpino Ajusco」へはUberで行ける。片道450ペソ。
ちなみに海外登山での地図アプリはOS Mapsを使用している。
アフスコ山の登山道もしっかり地図に反映されていたし、地図情報さえ事前に取得していれば、通信圏外でもGPSが自分の位置を拾って地図上に表示してくれる。
なお、アフスコ山周辺は電波がない。
公共交通機関もなく、メキシコシティへの帰路の移動手段にはかなり困った。
仕方がないから電波のつながるところまで歩いた。
電波のつながる町まで8km歩き、ようやくUberをつかまえられた。
帰りは下山後の場所と時間を指定して、Uberを予約しておけばよかった。
その後、メキシコシティ周辺を適当に観光しつつ身体を休めて次の山へ。
トルーカ山(Nevado de Toluca)
8月14日、メキシコで4番目に高い山であるトルーカ山(Nevado de Toluca)へ。
メキシコシティから日帰りのツアーに参加した、、、ものの参加者は私ひとりであり、プライベートツアーになってしまった。
滞在時間が限られていたため、4680mのトルーカ山山頂までは行けなかったが、それでも4400mの展望スポットまでは行けた。(山頂まで行くツアーもある)
3時間ほどのハイキング。そもそもの目的は高度順応だったため、まあ良し。
ちなみに、このトルーカ山も自力で登山口にたどり着くのは難しい。
Uberを駆使すれば行けなくもないが、ツアーに参加するのが最も確実かつ手っ取り早いだろう。
メキシコに来て感じたのは、国内には山がたくさんあるものの、どこも旅行者にとってのアクセスが難しいということだった。
登山口は通信圏外だし、公共交通機関もない。
このあたりのやりづらさをいかに克服していくかが、メキシコにおける山旅の核心のような気がしている。
メキシコシティに戻って、近くの遺跡を観光したのち、いざメキシコ最高峰オリサバ山へ。
後編に続く。