音MDM天・参加動画20本+αへのラブレター
こんにちは。
音MDM天が無事に終わりました(マジで無事に終わってよかった)。
運営の一員として、各コンビの最高の動画が無事に流れたこと、生放送が盛り上がったこと。最高でした。良かったです。
さて、放送終了後のスタジオですが……、適当に飯を食った後に「OPもう一回見せて~」とぼくからお願いしました。気づけばタイムシフトの再生が始まって、最後まで見てしまいました。5時間以上あるのにバカなのか?
(全員がバカではなかったことをフォローしておくと、何人かのメンバーはちゃんと寝ていました)
スタジオにいたみんながそうだったと思いますが、そこには語り尽くせない色々な感情が渦巻いていました。
それからしばらく経ちますが、ぼくの頭には色々なことが浮かんだり消えたりしています。今は視聴者と運営を隔てるものはないと思うので、まずは各作品の感想を書きたいな! 書いた! 一週間かかりました。
「運営として何をやっていたのか」は別のnote記事として投稿しますが、
このイベントって主役は出場者と動画だから! こっちが先です。
そこそこ長いっす。適当に飛ばしたり飯食ったりしながら読んでください。
感想を見る上での前提
先を読む上で、これはどういう人間の感想なのか、ということは知っておいたほうがいいです。飛ばしてもいいですけど……。
ぼくの書く感想について
あんまり「考察」はしないつもりです
提示されたメッセージを考えるべきだと思って音MADを見ないので
何か感じて、能動的に何かを考えたくなったときは別です
あと出場者さんに思い入れがある時も別かも
ぼくの立場のこと
音MDM運営進行を担当していました
一部重要連絡やスケジューリング、その他各種タスクの関係により、
各コンビのチャットや途中での進捗は見ていました
(オフレコの内容は記事に含まないので安心してください!)
ぼくの趣味嗜好のこと
音MADはそれなりに見ています(新着はたまに見る程度)
アニメや漫画に非常に疎く、基本的に素材の作品は履修していません
ほぼ聞き専です(ついこの前音MADを投稿しましたが……)
「作者ウケ」はそこそこ汲めると考えているけど、
作るときの実感を伴う「作者ウケ」には少し弱いと思います
ホラーは苦手です(なんでコレ書かなきゃいけなくなるんだよ)
Aブロック
A-1. 熱戦!戦う英雄たち ~地獄からの使者と異世界からの道化師~
/ 二〇二〇からの使者
最高のトップバッターですね!
かっぱさんも「これがトップバッターで本当に嬉しい」と言っていました。
途中ブロリーが助けに来るなど、前回の「音MDM」でトップバッターだった「我楽多案山子」の面影も感じさせつつ、お互いの得意な素材を存分にぶつけ合う「これぞコンビの動画だ!」という作品で楽しかったです。
エッセンスは思い出すところがありながら、テイストはがっつり令和の音MADなんですよね。文字の出し方が多彩で楽しい!
すべてを見た今思うと、音MADを舞台装置としてどう扱うかを模索するコンビが多かった中で、堂々としたスタイルの「ザ・バトルストーリーもの音MAD」なのが良かったですね。
また、ドナルドといえばエロう丸イクイクイクイクイクイクさんが散々な使い方で玩具にしている印象も強いですが、しれっと両側からドナルドを引っ張っているシーンがあり、ささやかな要素回収(もしかしたら意趣返しかも)になっていてうれしくなりました。
A-2. step up to* / 月夜、路上の灯
(動画上がったらリンク貼ります!)
1本目が「我楽多案山子」のエッセンスを継承していたように見えたせいか、こちらの台詞イントネーション作曲からは「スデ2ヲW∧T∧X」の風味を感じてしまいました。ここは作曲してくるよね、確かにそうだ……。
キャラクターの魅力を伝えるために音MADでできる「声」の活かし方を全部やっている! という印象で、台詞合わせも人力も素晴らしい作品になっています。映像に意識が回る作品が多い中で明確に音声優位だった(とぼくには感じられた)のは、後から考えると少数派だったように思います。
原作は読んだり見たりしていないんですが、BaN長さんの指摘や那須ピさんの早口オタク化を見てストーリーラインのなぞり方の巧さもあったのだろうなと思います。いいシーンをちゃんと使うって大事ですよね!
台詞イントネーション作曲でありながらちゃんと歌モノ楽曲の構成で進めているのも面白く、ストーリーの説得力を高めていたと思います。
A-3. 天 ン チ ー コ ン グ / ばとるフロンティア
ギャグの洪水!
今回は20コンビとも「やりたいことをやっている」感じがして良かったのですが、特にこのコンビはそれが視聴者に伝わりやすかったのではないでしょうか。
テンポと情報の詰め込みで常に密度のギリギリを攻めていてクールでした。
ツッコミどころの応酬の中にわかりやすいストーリーがありましたが、ストーリーの流れから考えるとメイドインワリオパートとナンジャモ戦のパートは一見必然性がないようにも見えます。
……でも死ぬほど面白かったんです。冗長ではなかったですし、インパクトの非常に強いパートでした。ということは、この2パートこそ「どうしても入れたかった部分」なんだったんじゃないかと思えて、とても愛おしくなりました。
「ウンチーコング」ではなく「ウ ン チ ー コ ン グ」だという定番のちょっとしたネタが一本の動画になっているのも、よくよく考えるとめちゃくちゃバカらしくて最高です。NO SPACE NO LIFEって何?
A-4. いつかオトがキラメクといいね。 / バリaThion
私的オールスターと曲が素材シリーズ、どっちも好きなんですよね~。好物が来ました!
タイトル改変で意味を乗せているんですが、それの韻踏みがまず上手い!(『いつかオトナになれるといいね。』に全部母音合わせてますよね)
同テーマの動画としてはさくれいさんの名作「曲が素材コア」も脳裏に浮かぶところ。物量オールスターといえば似たようなブロックを繋げていく形式が多く、「曲が素材コア」も同様ですが、バリaThionは「色ごとにイメージする曲を集めて使う」という方針でした。
このコンセプトの下では隣り合う楽曲が必ずしも近しいジャンルではなくなるので、全然関係ないキャラクターが隣り合って出てくる! それがにぎやかで楽しかったです。そして視覚的特徴は一致しているから、一体感は抜群!
みなさん言及していますが、グレーのゾーンから虹色に変化する際、『裏表ラバーズ』の円形の部分にも色がついて本当に楽しかったです。
色鮮やかな動画の源流を汲むTheasさんの過去作『ピクニック裏表ラバーズ』でさえあの円形に色は付かなかったので、それを考えると感動もひとしおかもしれません(?)
A-5. 推定スウィーティ☆ / Team C☆
クッキー☆が本来目指していたであろう世界の再構築でした。
音MADライトファンも多いだろうと推測される中、「例のアレ」的アプローチを混ぜる選択もあり得たとは思うのですが、それに頼らず物語を作りきったのは凄まじいことだと思います。心意気がかっこいいぜ……。
映像も音声も異常とも言える作り込みだったと思いますが、UDK姉貴人力の「それっぽさ」が一番痺れました。うまく説明できないけど、あどけない歌声の再現というか……味がすごいんですよね、味が……。
振り付けもすごすぎる! 本当に二人の世界がそこにあったんです。
爆速でクッキー☆本編を振り返るパートがありましたが、これの存在も真摯にクッキー☆を扱おうとした姿勢が表れているのかな、と思いを馳せることができます。
Bブロック
B-1. JR根岸線「関内駅」から / 掘り鉄
(動画上がったらリンク貼ります!)
開幕の旅情MADで最高の気分になっていたらアメゲイが出てきてぶち壊されました。
音MDM天でオムニバス合作、それもフリースタイル合作にありがちなブリッジ風のパートとしてアメゲイ垂れ流しをやってもいいんだ! と強烈な衝撃を受けた覚えがあります。音MDM天というイベントに先入観があったのかもしれませんね。前回もフリースタイル大暴れみたいなのはあったんだけどなあ……。
今回何度も思ったことですが、20コンビみんな別々の方向性で動画を作ってきているのに、それらはちゃんと全部音MADの文脈・歴史に、もっというと各出場者の歴史に根ざしていたんですよね。これってすごいことじゃないですか?
フリースタイルも音MADだもん! と思ってこれまで色んな動画を見てきたわけなので、そういう動画が流れて本当にうれしかったです。
旅情パートの清涼感が本当に高かったことからギャップの火力も非常にパワフルなものとなり、それ以降もいろいろな期待を胸の中に抱えながら楽しむことができたと思います。
B-2. FLAME KEEPER / FLAME KEEPER
動画上がったらリンク貼ります!来月になるらしいです!
国民的人気を誇るジャンプ作品8つのオールスター音MADでしたが、なんとぼくはいずれも未読。そんなことあるか?
でも、でもですよ。原作を読んでいなくとも、その熱さ、動画「FLAME KEEPER」でのストーリーラインは十二分に伝わってきました。
それぞれの原作を知らない人間にとって見て、むしろ「様々なキャラクターが自然と一つのストーリーを展開している」ように思えたことから、複数作品のクロスオーバーとして納得のクオリティだったのは間違いなかったと思います。
「FLAME KEEPER」ということばを最も際立たせていたのは、やはり過去に去ったキャラクターたち(読んでないから脳内で確定してなくてごめん)が主人公たちを後押しするシーンだったと思います。
これ、コンビ名からそうしてるのってすごい一貫性ですよね。タイトルがコンビ名と同一だったときにも「おっ!」と思いましたが……、流石にかっこよすぎると思います。
ネロさんの作風のとおりではありますが、これが音声は台詞合わせ一本勝負、映像は漫画キャラクターを限界まで熱く演出するという超ストイックな内容なのも男気がありますよね。素敵な動画です。
B-3. ASMRティメットセンパイ
/ 放課後おたずねものプロデューサーズ
おい2回も削除されてるって
マジで顎が外れるかと思うぐらい笑いました。
絶対アイマスで来ると思っていたので、やりやがったな!!!! という感想です。
でも、歌詞改変、映像の公式感、人力といったエッセンスは、お二人が長い時間をかけて培ってきた熟練の技なんですよね。
動画を魅力的に見せるための要素をしっかり抑えて、敢えて下ネタという露骨すぎるユーモアを剛速球で放ってこられたら、そんなの爆笑しちゃう。
ギャグで笑いすぎてうやむやになっていたのですが、冷静に見返してみると最初のサビまではASMRのセリフ合わせで徹底していて、「ASMRで音MADをやる」「明確にエロい展開にしようとしてる」ことだけがボケになっているんですよね。毎秒ボケればいいというものではないと思いますし、溜めて発散!というのが爆発力を生んでいるのかな、と思いました(エロい意味じゃないですよ)。
B-4. さよならキルミーノート
/ 手稲.駅のすぐ近くにだがしやさんもありましたアハッ
(動画上がったらリンク貼ります! お待ちしています!!!!!)
前夜祭でも相当な通話時間がアピールされていましたが、出場者用のサーバーでも相当量のやり取りをしていたのを運営として見ていました。
その姿が浮かぶだけに、妥協を許さなかったあまりに未完成になってしまったのだろうか、という印象でした。
考えると最初の「ある日」でこんなにサイケな画面なのは不思議なので、動画全体で雰囲気作りをしているはずだな、と妄想が膨らみますね。
音声聞くだけですごい期待度でいるので、完成版を心待ちにしています!
B-5. 【超ネタバレ注意】全年齢版『HUNTER×HUNTER 最終回』
/ 異常震域
ぼくは微熱さんが主催をされた神神神合作が本当に大好きなんですが、そのファクターにはパート間のつなぎや天丼、手前の要素の回収といった「反復の活用」があります(ギルティ―フラッシュ、Nintendo Switchホーム画面やヒトデマン)。
で、異常震域の動画(こう書くのが一番楽)にはウメハラ脳トレパートや「3分間待ってやる」などでの「反復の活用」が出てきてくれました。マジで嬉しかった!
Discordチャット欄で展開されるトキメキ☆ボムラッシュ、「大丈夫だ(めちゃくちゃ間を早送りする)問題ありません」、ドナム、めっちゃ餅飛ばしてくる越後製菓など、数えきれない箇所で馬鹿笑いしていたのを覚えています。とりとめのない感想になっちゃって申し訳ないですが……。
Cブロック
C-1. ω / とそちか
構成がうますぎる……という率直な感想が大きかったです。
クレヨンしんちゃんにはあまり詳しくないので、作品に愛を持って制作されている部分はちゃんと咀嚼しきれていないと思います。でも本当によかった! 涙あり笑いありというテイストは原作同様なのではないでしょうか。
みんな舌を巻いていましたが、まずはポプテピピックをOPに据え、同一パートの声優を変えて2バージョンめ再放送するという構造! シンプルながらも納得感のある手法で、OPの完成度が高すぎて全然フリだと思わなかったので完全にしてやられました。なんならOPだけで終わっていても相当な作品でしたし……。
こういうの、生放送だと全員同じタイミングでネタバラシを踏むからいいですよね。ギミックのある動画を披露するのに向いてるんですよね生放送って。
ラストのKarakuri Spiritsもテンプレートの意識のさせ方が最高で、めちゃくちゃシリアスに進行しておいて「あの国民的5歳児が」に入ったときには、真面目に告知読んでるところなのに完全に最後の壊し方に期待がかかっていました。
いやあ最高だ!!! ぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶり
C-2. シティ派音MAD / ぬまっち
おいセトリナイスすぎる! 夕暮れを経て夜から始まりました。
20組の中では一番ミニマルで、飾りの少ない内容だったと思います。情報や仕掛けを搭載しまくっている動画も多い中、格別の落ち着いた時間を過ごすことができました。
マツコが出てきて「クラッチ(♪くらっち♪)」を連呼するなど遊び心もありましたが、それが空気を乱すこともなく完全に馴染んでいたのが良かったですね。
そして夜が明け朝になり、最終的には乗用車から逸脱したりもしましたが、宇宙空間を通じてまた夜に。
音MADらしい素材の横断、テーマの揃え方をしながらも、絶妙に面白の分量を調整して一貫したオシャレさを実現していました。膳がラストになるのも、ちょっとユーモラスだけど、和イスキーなのだし大人な締め方ですよね。
C-3. 決戦!マリオvsセフィロス -Game Battle with OTOMAD All Stars-
/ 8116°の二人にご用心 ~Beware the cascade of material~
マリオRPGのリメイクもお告げだったのでしょうか、凄まじいド直球。
カスk°さんがマリオを灰色マテリアルさんがFFを使う……ここまで「満を持して」が似合うこともなかなかなく、あまりにもアツすぎる動画でした。
「決戦!サルーイン」のチョイスにも感情がこもります。
今回はゲーム音MAD、というと「ばとるフロンティア」と「8116°の二人にご用心」が独占する形となりました(アイマス来ると思ったら来なかったし)。自分がアニメや漫画に疎いのもあるのですが、ぼくはゲーム音MADが好きだったので、純粋にうれしかったです。
特にゲームのUIが音MADの中で演出として作用するのが大好きだったので、序盤の攻撃合戦の映像で心がトキメキました。ダメージ表現うれしすぎる!
マリオ側の攻撃で出るダメージに比べ、FFのほうがパラメータのスケール的に桁がデカいのも面白かったです。
あとマリオもセフィロスも登場機会があるためか、いただきストリートでも戦っていたのも笑いました。恵まれたIPだ……。
C-4. 女の子がかわいい合作(変わるかもしれません) / Aquarius
メスシリンダーさんはホラー表現を好む方で、それを効果的に見せる方法を日頃から研ぎ澄ませていたのは知っていました。後からそうである旨伺いましたが、水無月☆★さんも同様かなあ、と予想を立てていました。
そんなわけで、わりと「二人のやりたいエンタメをやった」形なんだろうな~と素直に咀嚼しました。
そういう受け止め方をしたので、動画で伝えようとしているメッセージなど「考察」はするつもりがありません。
というより、個人的な推理ですが、なんらかの主張やメッセージ性みたいなもの、孕んでいなかったんじゃないでしょうか?
メタ的なテーマは単にホラーの当事者性を高めるために利用されている……と思っています。見た人全員を加害者みたいに見える動画にすることで、誰も幸せにならなくて、絶妙に不快になる。胸糞の悪さを与えるにはこの上ない方法だったのではないでしょうか。すごい!!!
また、「ホラーという方向性の『2回目は面白さが減衰しやすい』弱点を、決勝で"発見"させることで克服した」点も画期的だな~と思っています。ホラーにおける謎解きとかそれっぽい謎って、もとより相性が良いものでもあるのですが。コンビとそちかのところでも触れましたが、生放送はネタバレできずにみんなが同じタイミングで同じインパクトに触れることになるので、ちょうどいい舞台なんですよね。
2回目の再生では多くの視聴者が"あの女の子"の存在に早いタイミングで気づいていました。序盤だって無邪気に見られませんもんね。
そういう様子が、個人的には「決勝に進み、2回流すことを前提としている作り」に見えてしまいました。それってかっこよすぎじゃないか……? と畏敬の念すら抱きました。
(でも後から水無月さんに聞いたら「1回しか流れないと思ってた」って言ってました。そんな……)
細かいところでは、カモフラージュがめっちゃうまい! と思いました。
いくつか例示すると、まずはタイトルの「変わるかもしれません」。普段のメスシリンダーさんの動画投稿のときのとぼけ方として自然でした。
また、otomad-synthesis.midの各曲の文脈に素直に従うことで、ある程度安心してしまってギミックにまで頭が回らない、ということが起きました。
そんな感じで「いつもの合作だよ」感すごいんですよね。最初は。
そうやってタイムラグを作って、あとで気づくんです。あれってなんか変じゃなかった? って。ホラーの見せ方として「普通じゃないものを普通に見せて、あとで気づかせる」って美しすぎるなあ、という驚きがありました。
C-5. キドアイラク / グラスハウス
最高すぎ! そこにあるのは愛です。
前の動画のインパクトが大きくてこの動画に影響が出てしまった視聴者もいたかと思いましたが、ぼくはこのセトリのおかげでより温かい気持ちになったのを覚えています。
感情ごとに映像の色味を切り替えていますが、音声の勢いもそれらの感情にきっちり馴染んでいて、気持ちよく身を任せることができました。
楽曲のAメロBメロサビと言った部分への当てはめ方も上手かったんだな……と思います。信頼(Trust)が本当にお気に入り!
3:13からの開放感が本当にエグくて、何回聞いても胸がいっぱいになりますね……。映像も凄まじいんですが、みんなで合唱していることのうれしさがすごい!
Dブロック
D-1. 令和のNico Nico Madventure / +++v
(動画上がったらリンク貼ります!)
オールスター好きなんですよね~とはこの記事の他の場所でも書いたことなんですが、なんとテーマが「令和のニコニコ動画」!
どおりでめちゃくちゃ中身がわかるわけです。「ぼくは……この場所にいたなあ」みたいなことをしみじみと感じてしまって、結構熱くなりました。
さくれいさんもXimcoさんもオールスター音MADの職人だと思っているのですが、それは網羅性と配置の絶妙さに両方表れていると思います。
例えばこのシーン!
つなぎに関しては画像キャプションの通りですが、その扱い方も絶妙です。
知名度の高い「あっちむいてホイをやるべき」「お前ら笑うな!」「動いてないのに」「プリンを、二つも食べちゃいます!」を全画面に登場させた後、次いでムーブメントになった「赤司ジュンコ(ケーキとパイが無制限に)」「曲作れるから」を配置。その他モチーフも散りばめて、隙のない構図になっています。
コレずっとやってるんですよ!? この素材量で! 死んじゃいますよ!?
たくさんの思慮にはぼくにも気づけていないことが多いと思いますが、こういった工夫によってカジュアルなファンは「知ってる素材だ~」と喜び、コアなファンは細かいところにも気づいて「これも扱ってくれている!」と喜ぶ。
要素を詰め込んだオールスターとしてバッチリハマった作りになっているなあと思います。
余談ですが、似たような話を初見のときに那須ピさんと(個人通話で打ち合わせながらチェックしてた)したら、Dブロック投票の際に感想をパクられてしまいました。おい!!! 全然構わないですよ。盛り上がるのが一番ですからね。
D-2. 音MAD / 脅かす阿呆に盗る阿呆
他の動画は「ここがよかった」って話をするんですけど、これだけは二人……、特に芋タルトさんに話しかけられているような気がしたので、それを書きます。最近よく付き合いがあるのもありますが。
ヤバここだけ長過ぎ! 芋タルトさんの限界オタクです。許してください。
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変な前置きから入るんですが、ぼくは今年に入ってから、音MADの全方向性について考えることが増えました。「音MAD」でくくることのできるコンテンツはあまりにも広く、音MDM天も例外ではありません。
冷静に考えて、FLAME KEEPERと異常震域とAquariusの動画が同じ土俵で戦ってるのって意味分からなくないですか? そして、それらがいずれも音MADとして扱われることが楽しくて、ぼくは音MADが好きです。
で、コンビからは「音MADって何?」ってコメントで、よりにもよって「音MAD」ってタイトルの動画が流れるわけですよ。
この時点でメタ的。彼らが何らかの問いかけを意図していなかったとしても、「脅かす阿呆に盗る阿呆は音MADをこう思っている」という動画なんだ、とそういう気持ちになりました。実はこれは他のコンビも同じで、20種類の「俺たちにとっての音MADはコレだ!」を見るイベントなんですけどね。
どこかお二人に対する信頼を感じ、何かを考えんとする構えで見てもいいですよ、と言われた気がしました。
で、ぼくの受け取り方なんですが。
この動画は「音MADという概念で何でもやっていい/何でもやられてきた」「どんなものだって音MADになってしまう」という作品(素材・作風)の全方向性、「様々な人が様々な動機/心理で音MADを作っている」という意図の全方向性がそれぞれ描写されているなあと思いました。
その上で、それらすべてが音MADという受容の感情を受け取りました。
開幕の複垢晒しでは、「ウラ・ウラッポー」「消滅ごみ」「陳謝」といった幅広い作風の名義が白日の下に晒され、のちにそれぞれの名義で扱ってきた作風のパートが控えていました。
それだけならただ「サブ垢オールスター(おい参加者マイリス非公開になってんだけど)」のようなものなんですが、それらのつながりは無秩序な部分もありました。そして、それはわざとだろうとしか思えませんでした。複数の手による「何でもあり」を一つの動画で表現したいのだろう、と思えてならなかったんです。ここから「作品の全方向性」を感じたわけですね。
ここはイダルゴさんがすごい……様々な体裁で暴れることに強い必然性を感じます。
一方、動画後半では「律動」「憧憬」「再構築」などといったフレーズが溢れていきます。似たような感想を他の人から聞きましたが、音MADに向ける感情として、単語によって共感できたりできなかったりするんですよね。
音MADはファンアートの顔をすることもあれば、批判や中傷の顔をすることもある。先人の引用が見出されて面白いときもあれば、過去にない方法を採るから面白いと言われることもある……。様々な例が思い浮かびますよね。
ここに意図の全方向性を感じました。
でも、そんなにみんな違うベクトルで音MADと向き合っていたら、様々な感情や思想が交錯します。「ひとつにはなれない ひとかたまりにはなれない」のですよね。
ただ、その手前には「皆仲良くできるかな meme」「喧嘩は両成敗やで」「我々は運命の黒い糸で結ばれているというわけです」とも出てきます。
このあたりのテキストから、「誰がどうしたって音MAD」、「これからも思想が違ったり衝突したりしながら全方向性を持ち続けるのだ/持ち続けてほしい」という主張を感じました。
そして、作者たちはこれからもさまざまなものを様々な感情で音MADにしてしまうんですよね。最初と最後に血が流れているような演出が使われていますが、「音MADの血が流れている限り、もうなんでも音MADにするのから逃れられない」ってことなのかなあ、とも思わされました。
このあたりの、テキストの一貫性と血流の表現がとても好きです。
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あんまり動画とは関係ないんですが、音MAD関係のなにがしかが商業に乗ったり権威になったりすることを嫌がる声ってよく見ますよね。商業や権威が持つ力は「良さ」をある意味で規定してしまう、アングラでの好き放題な活動の肩身が狭くなってしまう……。それはきっと、全方向性を失わせるファクターになりうるから疎まれているのかなと思っています。
音MDM天も、権威になることを懸念されていた。ぼく自身はそう思っていませんが、危惧する声を見たのは一度や二度ではなかったと思います。
でも、蓋を開けてみれば、それぞれのコンビから20種類のコンセプトの動画が出てきました。
大勢のライト層音MADファンの目にも届く規模のイベントにもかかわらず、この作品ではメタ的な振る舞いを多用して、「音MADって何でもありなんだぞ」ということ自体を動画にしていた、と感じられました。
このコンビ、でかいイベントで好き放題伝わりにくいことをやってますよね? そういうところを見ていると、何らかの規範ってまだまだ発生しなさそうだなと思って、とってもよかったです。
いい意味で、界隈って全然一枚岩じゃないんですよね。いいことです。
そういうわけで、とにかく刺さりました。
好きとか嫌いじゃなくて、思想への共感とか感謝の気持ちがあります。
D-3. 今日もふたりは / Senpai Club
打って変わってストレートな動画となりました。
「ありそうでなかった」の極致みたいな、素材と楽曲の組み合わせです。
Twitterなどでは「思いついたことはあったがハードルが高くてできなかった」という声も目にしましたが、多くの人の夢が叶う作品を圧倒的なクオリティで仕上げているというのは感嘆のひとことです。
阿保草さんも大好きクラブさんも様々な映像を駆使することができる方というイメージなのですが、漫画のイラストだけを用いて4分弱描写し続けたというのがとってもクールで、全体的な雰囲気の統一に一役買っています。アニメEDを漫画コマで再現するパートなどはもはや執念にも近いものを感じました。
クーネル・エンゲイザーの冷たい世界と、白黒で荒廃した世界がよく似合いますね。音声も優しい聞き心地なのがベストフィットで、Team C☆とはまた違った味わいの「真摯な音MAD」だなと感じました。
D-4. Braglight / スネ夫芸能事務所
出場の有無を問わず、好きな音MAD作者の方はたくさんいるのですが、わたぴーさんは中でも特に尊敬していました。
自分の音MDM天運営としての最初のタスクがWebでの各出場者の紹介文作成だったんですが、一番最初に「この人なら書けそうだ!」と思ったのがわたぴーさんでした。だって、ファンだったから……。
で、「一枚の画像から無限の可能性を引き出す」って書いたんですよね。
たった一曲・一枚の画像から、毎回新しい驚きを与えてくれることを伝えたかった。
そして、そんな姿が9月にもまた見られるといいなと思っていました。
見られたぜ! やった~~~~~~! 動画マジで面白かったです。
文字情報に頼らず、これ見よがしでもないのに、状況一つ一つが具体的に目に飛び込んでくる。素材の動かし方や緩急の付け方によって、状況を限られたパーツで「伝える」のが巧すぎですよね。「解像度が変わったことで気づいた感じにする」とか、そんな演出見たことないのにわかるし……。
そこにエネルギッシュななぽりさんの名演と動画が光ります。
異常震域などの動画でも作者が動画内に現れることはありましたが、こんなに自然にこの動画の時空のスネ夫と一緒に作品を演じられることってあります? なぽりさん以外ではあり得なかったと思いました!
今までになかったテイストとして「ドラえもん本編要素の活用」があり、そのあたりも共同制作ならではなのかなと思いました。
わたぴーさんは既存のモチーフを別のものに改造するのが得意な印象(クラーケンにしたり、タケコプターを武器にしたり……)だったので、「タイムマシン、ヒラリマント、空気砲、声カタマリンの活用」「映画ドラえもんなどにありがちなドラえもんが意味のないアイテムを連続で出すくだり」といった要素は(ドラえもんでは普通にやっていることなのに)新展開に感じました!
D-5. 【音MAD】DのM / 超正当派
いくらなんでもおもろすぎる!
まずは何と言ってもライブ感、高揚感ではないでしょうか。
手前で何度か挙げましたが、生放送というのは「強制的に長い動画を見させられる」とか「全員初見の状態を作れる」とか、複数の理由からギミックを披露するのに向いている場だと思っています。実際に、飛び道具を放って環境を活かしたコンビもありました。
でもそれだけじゃない! 生放送には、大勢の人間が同じエンタメを前にするという一体感もあるんですよね。
そんな一体感を、参加した全動画の中で一番感じたのが超正当派でした。
みんなで盛り上がるって楽しい~~~~~~~~~~~~!!!!!
動画内容ですが、メガミックス的というか、「ブライガーの音MADを作ってたら」的というか……選曲も含めて懐かしさを覚えたのが第一印象でした。
絶え間なくツッコミどころが供給されますが、ノリよく気持ちいい音声が勢いを殺さずに展開されていきます。
もともとぼくはニコニコメドレーの畑の人間なので全体で見たメリハリなどをよく気にするのですが、この動画はその観点でもグッと来ました。
やはり痺れたのは5:35からのルル・ベル以降の流れ。「ルル・ベル」は音MAD的要素が薄いパートで、ライブ映像を用いたような内容になっていました。あの部分にぼくは「この後ラストスパートだぞ」ってメッセージを感じてしまいました。場の温度が高まった気がします。
そしてアレンジ版フォニイ以降、なにもかも最高でした! めちゃクールな文字出し、異常な人力。SOUL'd OUTコールで最後のお膳立てを済ませ、音MDMを象徴する赤と青を基調に、最後にロキのパートによる〆。
良すぎる!
でも、3分クッキング→格付けチェックのパートはかなりキャッチーな内容だったりして、かなり掴みどころのない動画でもあったのがとても面白かったです。要するに「やりたいこと全部動画にしました!」という内容だったと思うんですが、それを絶妙な全体構成でブチアゲにしているから恐ろしいです。
動画冒頭や9/16のCkiroさんの音MDM天宣伝ツイートにて「おもしろ動画」というふわっとしたフレーズがありましたが、そうかこれこそが……! という気持ちになりました。
全体で
ぼくは事前に進捗を見ていてバイアスがあると考えているので、生放送中のアンケートはもちろん、放送終了後の現在も「ここがよかった!」という投票先の話はしないでおこうと考えています。
でも投票やればよかったな!!!!! くそ! 結構後悔してます。
そういうわけで投票結果については「観測する立場」だったんですが、どこか懐かしく根源的な感情に訴えかける「おもしろ動画」が優勝したという事実に胸が熱くなります。
神酒さん、Ckiroさん、優勝おめでとうございます!!!
全体を通しての感想ですが、楽しかったとか面白かったというより「嬉しかった」が一番大きな感情でした。
運営として無事にイベントが盛り上がってよかったから、というのもあるのですが、「何でもありが音MAD!」という考えでいるので、20方向様々なコンセプトの動画が制作されて、決勝4動画もそれぞれ全然違う武器を引っ提げていたのが本当に最高でした。
普段は映像や文章を読んでも全然涙を流さないのですが、放送中に何度も目が潤む場面があったのを覚えています。それぐらい衝撃を受けていました。
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うおおおおおおおおおお書き切れた!
運営メンバーとしての企画後記は後日投稿します!
それでは!