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『スクレイピング』:DXデイリーワード

用語

スクレイピング(Scraping)

分類

ビッグデータ/IT開発/運用(全業界)

要約

ウェブ上の情報を自動で収集し、データ分析やサービスに活用する技術。価格比較や求人情報の取得などで使われる。

解説

スクレイピングとは、ウェブサイトに掲載されている情報を自動的に取得し、自社のサービスや分析に役立てる技術です。具体的には、プログラムを使って商品価格やニュース記事、SNSの投稿などを素早く集め、整理して活用します。こうした情報は、マーケティングや競合分析、商品企画などに役立ち、デジタル時代の情報収集の要とも言えます。

たとえば、ビッグデータ時代の代表的サービスである価格比較サイト(価格.comなど)は、各オンラインショップから自動的に価格情報を集め、ユーザーが最安値を簡単に探せるようにしています。また、旅行サイトが各航空会社やホテル予約サイトから料金を取り込み、一覧表示しているのもスクレイピングの一例です。身近な例としては、HTML形式のウェブページから必要な部分だけ抜き出し、一覧表にまとめたり、エクセルに貼り付けたりするケースが挙げられます。

スクレイピングを行う際は、多くの場合プログラミング言語のPythonなどを活用し、HTMLの構造を解析して必要なテキストや画像、リンク情報を取得します。さらに、スクレイピング前段階として大量のURLを自動収集するクローリングを組み合わせることで、大規模な情報収集が可能になります。ただし、ウェブサイトによってはAPIが用意されている場合もあり、それを利用したほうが効率が良く、サイト運営者とのトラブルを避けられることも多いです。

実務でスクレイピングを導入する際には、利用規約の遵守や、技術的負荷をかけすぎないようにする配慮が必要です。また、企業によってはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールにスクレイピングの機能を組み込んで、定型業務の効率化を図っている例もあります。最新動向としては、AIと連携して自動分析まで行う仕組みが注目されています。

関連トピック

スクレイピングは、単なるデータの“収集”にとどまらず、ビジネスや研究での“分析”まで含めて活用される場面が増えています。たとえば、大量の商品データを収集して消費者の購買傾向を探るマーケティング部門では、競合他社サイトやSNSからのデータを活用して、新商品の企画や価格戦略を練ることが可能です。こうした分析を大規模に行うときには、クローリング機能を併用し、定期的に情報を更新し続けます。

一方、最近では、SNSからの書き込みを自動取得して感情分析を行い、顧客満足度向上に役立てる手法も一般化しつつあります。このような作業でも、ウェブページを直接取得するよりもAPIを提供しているSNSプラットフォームを利用したほうが安全でデータも取得しやすいことが多いです。また、プログラミング経験が少ない人でも扱えるように、RPAツールがGUI(画面操作)ベースでスクレイピングを実行できるようにしているケースも増加中です。こうした流れにより、スクレイピングはIT部門だけでなく、営業や経理、企画など多様な部署で使われるようになってきました。

今後、スクレイピングによるデータ活用は、AIとの連携や低コード/ノーコードツールの普及によってさらに拡大が見込まれています。ただし、それぞれのウェブサイトの利用規約やデータの権利関係を確認しつつ進めることが重要です。

関連用語

  • ビッグデータ: 大量かつ多様なデータセットを扱う手法や技術の総称。分析には高性能なシステムが必要。

  • クローリング: ウェブ上を巡回し、自動的に複数のURLからデータを収集する技術。検索エンジンが利用。

  • API: アプリケーションが機能やデータにアクセスするための仕組み。公式に提供されると安全にデータ取得できる。

  • HTML: ウェブページを構成するマークアップ言語。データの取得に必要な情報構造が含まれる。

  • Python: スクリプト言語の一種。シンプルな文法でスクレイピングライブラリも豊富に存在する。

  • RPA: 定型的なコンピュータ業務を自動化する技術。スクレイピング機能を内包するツールも多い。

外部参照リンク

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