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ちいさな異次元さん

混んでるバスの降車ドア付近に立っていたら 私立らしき制服でランドセル背負った1~2年生位の女の子が 目の前で少し前かがみになり傘の先で下をつつきながら何か一生懸命見てる

うん?と思いながらも様子伺いしてたら バスの揺れで女の子は少しつんのめりながらも転ばず持ちこたえて身体を起こした

「ダイジョウブ?」と目が合った彼女に口パクで言うと 暫くこっちを様子見してからコクンと頷いた

その後も少し考える風だったけれど 知らない怪しい人というレッテルからは外して貰えたみたいでトントンと下を指して「ここね、あけるとスロープなるんだって。どうやってなるのかなーって。」と可愛い声で言いながら降車口前の床に設けられている床下を引っ張るための金具のようなものを教えてくれたので私は「そうなんだー。でも今バス走ってるからね、開けると困っちゃうよ?」とまだ開ける気ありそうなその子に答える

金具に引っ掛けるのは諦めながら「ここがね、ハートになっててかわいいなーって。」と その引っ張る金具部分が逆さに収まっているのが丁度ハートの形になっているのをつつきながらまた覗き込んでいる

次の停留所で可愛いらしい彼女はピョンと跳ねて降りて行った

発車したバスでその金具を見ながら「よくこんなトコ気が付くよなぁ~」と感心する
スロープが出てくるって聞いたからどんなのか見たかった
金具がハートで可愛かった ただそれだけ

その興味だけで揺れてるバスの中で傘の先で一生懸命つついてみる 走ってる最中だから危ないとか 運転手さん以外はそこは触っちゃダメとか 考えない

すごいよなあー 子供って
はた目から見たらバスの中でトントン床つついて音出してる子供 って事で人によっては「そんな事しちゃいけません」ってなるのかもだけど でも子供には子供なりのやる理由があるんだよなー

それって 大人目線では気が付かない事だったりするから 確かに公共の場でのマナーっていうのもあるのだけど それでも彼ら彼女らなりのそうした理由っていうのも 大人としては耳を傾けたうえで その真っ直ぐな感覚は 頭ごなしに潰してしまわないようにしたいなあ



普段は触れる事ない
こういう異次元さんに触れると
楽しい

今どきの小さな子供なんて
私から見たらみーんな
異次元であり宇宙人みたいなもんだから
ただ眺めてみているだけでも
彼ら彼女らの会話を聞いてるだけでも
不思議さ に触れられる

そしてその感覚に触れるたび
彼ら彼女らがこのまま大きくなって
その本領を発揮できるようになったら
どんなに素敵な世界が広がるんだろうと
嬉しくなる

我々おとなは
固まってしまった観念を
とにかくぶっ壊して
彼ら彼女らの携える
新しい感覚を
歪めることなく受け入れられるよう
古き良きものもあるけれど
ちょうといい塩梅が見つかるよう

重さをどんどん
外していきたい

社会を とか大きなものでなくて

まずは
自分の重さを外して
軽やかに やわらかに



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kitoma
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