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音にひたる
雨音が心地好く、
全身で浴びてみる。
昔から雨の奏でる音が好きで、すべての音を消してただ雨音だけを聴く、というのはもはや趣味のようになってる。
その時々で変わる音を、ただ感じる。
だらんと横になり自分を空っぽにして、まるで自分に直接降りそそいでいるかのように音を浴びる。
ただただ雨音に耳を傾けていると
どこか身体のチカラが抜けてきて
固まっていた何かに
少しずつ穴があいてくる。
詰まった網目が水で流されるように
自分のカラダにぽつりぽつりと穴が開き
すーすーしてくる。
カラダのチカラがゆっくりと抜ける。
しばらくそれを続けていると
あちらこちらに空いた穴がつながり
やがて境目がわからなくなる。
水溜まりにできた泡が
寄り添い重なってひとつになるように
カラダのあちらこちらで
スキマがスキマと重なり
はじけて 消える。
だんだんスキマが拡がり
やがて
雨音だけになる。
もはや
雨音 と 振動 しか ない。
心地好い。
日常をスローテンポにしてみる。
心地好い「音」があれば
全身でその「音」を感じる。
「聞く」のではなく、感じる。
あれこれ考えてる時は「感じる」はできない。 だからゆっくりと、あえて音だけに耳を傾ける だけをする。
たぶん誰にでも元々備わっている感覚で
あまりに日常が忙しすぎて忘れちゃってるんじゃないかと思う。
だから時たま、少し "ゆっくり" にしてみる。
今まで気付かなかった色んな「音」が飛び込んでくるようになる。
トントンとまな板を叩く音。
シューシューとお湯が沸いた合図。
キュッと何かをしめる音。
布団を整えれば布が重なる音がするし
コーヒーを机に置けばコトンと鳴る。
前からいつも聞いてたはずだけど
「聴いて」はいなかったオト。
静かな中で「自分」を消して
「オト」だけの世界に浸ってみると
ちょっと違う感覚が味わえるかもしれない。
そんな遊びも
これまた愉しい。
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