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絶対マネしないでください: TOEFL必勝法

父に留学したい、と夢を語ってから5年が経とうとしていた。
そう、私はまだ留学できていないのだ。

なぜなら・・・・

TOEFLの点数がいまだに85点から伸びないから。

*私の生きたい大学院は、TOEFLという英語テストで100点を取れないと、そもそも受験資格がない。

私は愛嬌と引き換えに勉強する能力を前世に置いてきたのである。今まで幼小中一貫校→推薦(愛嬌)で高校入学→一貫校の大学へ進学、と試験を受けた経験がない。とにかくテストが苦手で教科書を開いた瞬間眠気が襲ってくる。

ちなみに、この5年間の間で、結婚し、一度プロ野球チアを目指す、など色々変化があったが、ニューヨークに住みたい!留学してみたい!と言うなんとも単純な情熱は消えることはなかった。

ただ、いつまで立ってもTOEFLのスコアが伸びない。
もう5年前の約束など忘れ始めている両親、
英語の教科書を睡眠薬としかみていない夫

そこで、私はスコアを上げるための最終手段に出た。

勉強にお金をたくさん使ってしまえば、こんな私でもきっと必死になって勉強するはず。

これが私が思いついたTOEFL必勝法だった。

まず、1回約26,000円もするTOEFLの試験を毎週予約。
これで、家賃光熱費食費を抜くと給料などほとんど残らない。

予備校の特訓コース、受験コンサルティングを予約
これで貯金からも30万円近くが消える

そして、ニューヨークへの航空券とホテルを予約
(ニューヨークの大学院を見てモチベーションを上げよう!せっかくならミュージカル見ていいホテルにも泊まっちゃおう。)
これも40万円以上を費やした。

これで晴れて手元の貯金(元々少ない)も収入もほとんどなくなり、留学するしかない状況に追い込まれたのだ。

しかし、TOEFLのスコアはそんな簡単には伸びない。。。

そんな中、私はニューヨークを訪れ、初めて志望校の敷地に足を踏み入れた。元々パフォーミングアーツビジネスの学科に行こうと思っていたのだが、たまたま時間が空いたため、今まで聞いたこともなかったMusical Theatre Writing Programと言う学科の授業を見学させてもらった。

これが、私と…そして、家族の人生を狂わせてしまったのだ。

授業が始まった瞬間、こんな素晴らしい場所がこの世界にあったんだ、と驚いた。その授業では、作曲家と作詞家がペアになり、1週間で作った曲をその場でピアニストとアクターにパフォーマンスしてもらい、教授からクリティークをもらうという授業だった。
10組ほど発表するのだが、どれも既にブロードウェイで演奏されているのではないか、と思ってしまうくらいの引き込まれる曲たち。
こんな天才たちがニューヨークにいるのか、と驚かされた。

この日から、私は英語の教科書を開いても眠くならなくなったし、ずっと座って勉強することが何も苦ではなくなった。空いている時間さえあれば過去問を解いた。

そして、迎えた試験

目標100点に僅かに届かない97点。

80点代を彷徨っていた私は、点数を見た瞬間鳥肌がたった。
そして、大学院で知り合ったMusical Theatre Writing Program入学窓口の教授にすぐにメールし、大学院の合格基準に3点届いていないが、絶対にそのプログラムに入りたい旨を話した。

教授からは、面接で英語力見るからTOEFLはその点で受験していいと返事をもらい、ようやくこのTOEFL地獄から抜け出したのだ。


そして次の日から私は、受験課題を進めるため、今まで一度もやったことのない、作詞を始める。しかも、英語で。


つづく

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