世間知らずと賢者4人
ニューヨークで見た、大学院のMusical Theatre Writing Programの授業がずっと忘れられない。
天才しかいないけど、あの中に入ってみたい。
そのために方法は2つしかなかった。作曲家(Composer)として受験するか、作詞・脚本家(Words person)として受験するか。
音楽は作れないけど、文字なら(物理的に)書ける!
そんな絶望的に単純な理由から、作詞脚本コースを選び、受験資料を確認。
そこには、ポートフォリオの提出がマスト、と言う。
ポートフォリオ・・・?
会社のIRを担当したことのある私が唯一知っているポートフォリオとは、持
っている株の種類のことだった。
もちろんそんなことじゃなく、要は自分が書いたことある曲を提出しなければいけなかった。
もちろん、曲なんて書いたことない。
かつ、これまで散々苦労してきた英語で書かなければいけない。
どうする・・・?
私は頭を巡らせ、2人の人物が頭に浮かんだ。
1人は、仕事の先輩、片山さん。彼女はNYUの卒業生でなんと作曲ができる。
もう1人は、以前上司が紹介してくれた、日本語が喋れるアメリカ人。John。
いける。
座組みが思いついた私は、大好きな俳優、Ben Plattがその年のトニー賞受賞スピーチで話した、"Things that make you strange, Things that make you powerful" と言う言葉をそのまま歌詞のフックにして、とにかく信じるままに歌詞を書いてみた。
そして、Johnが英語の歌詞を添削してくれ、片山さんは私のイメージにあった音楽をつけてくれた。
こうして、2人天才により、私の記念すべき1曲目ができたのである。
しかし、ここでまたハードルがあることに気づく。
これを誰かに歌ってもらいデモを作らなくてはいけない。(しかも、愚かな私は経験もないのにデュエット曲を作ってしまったのだ。)
ここでも、私は天才を2人召喚した。
以前日本で一緒に働いていて、その後LAに帰り歌手活動をしている、Gabe。
母の友人で、ボーカルコーチをしているかなこさん。
この2人の美しい声のおかげで、素晴らしいデモが完成し、私はアランメンケンになった気分になれた。
こうして、4人の天才と1人の世間知らずの力が結集し、無事に一次書類試験を通過、ニューヨークでのオーディションへと向かうのである。
つづく。
*登場人物は、仮名を使わせていただいておりますが、私が受験した時、そしてその後も、ここで登場した4名、そして他にも本当に多くの方にサポートしていただき今があります。この場で恐縮ですが、改めて感謝申し上げます。