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非日常的な食との出会いが毎日を豊かにする。好奇心を満たして冒険みたいなワクワクした人生を送りたい。

「ふるさと食体験の準備室」インタビュー、第12回目は中野聡美さんです。

昔から食や健康に関して探究心があり、単身でイギリスやオーストラリアへの留学を経験されている中野さん。ホリスティックヘルスコーチや世界料理やスパイスハーブ料理教室の開催などの経験を経て、現在は「ふるさと食体験」のファシリテーターとしても活躍されています。そんな中野さんが今までどのように食や仕事について関わってきたのかをお聞きしました。

メーカーの人事職 → イギリス留学 → メルボルンへ

――中野さんはもともとホリスティックヘルスコーチもされていたり、社会人留学をされているんですよね。これまでの中野さんのお仕事人生についてまずはお聞かせください。

まず、大学卒業後はメーカーで人事のお仕事をしていました。でも中学生ぐらいのときから健康オタクのような感じで、健康に興味があって。というのも、もともと敏感肌で肌が弱かったので「みんなと同じようなものを食べて生活しているのに、なんで自分の肌だけ弱かったり、荒れるんだろう」と考えていて、そこから始まっています。

人事として会社員をしながらも、このままでいいのかなとモヤモヤと悩んでいたときにアメリカ最大の栄養学校でホリスティックヘルスコーチの資格が取れることを知って、その資格を取りました。ただそれはオンラインで取れる資格だったので残念ながら会社を辞めたいのに仕事と両立できてしまったんです(笑)。モヤモヤは続いていたので、あれこれアンテナを張りながら、他のことを探していたら、イギリスの留学プログラムを見つけました。そこで思い切って仕事を辞めて、1年間、インターンシップをしながら自然療法や代替療法について学んだんです。それは当時の私にとって「今まできれいに敷いてきたレールから思いっきり脱線した感覚」に繋がったんですよね。そこから脱線ついでに、と思って、次はオーストラリアのメルボルンに渡りました。

――イギリスからさらにオーストラリア!行動的ですね。

メルボルンには豊かな食文化があって、ものすごくクリエイティブなお料理とかプレゼンテーションがきれいなお料理に出会いました。そこで自分の探究心に火がついてしまって、ローフードを学んでみたり、いろんな移民の料理に興味を持ったりして、楽しい日々を過ごしていましたね。自然食料品店とかもぐるぐる回って、原材料の裏ラベルを見たりもう超オタクな感じです。現地でヘルスコーチングをしたり、料理教室を現地の人にしたり、今の仕事に繋がるようなことも始めていました。

30歳手前ぐらいでようやく日本に帰国して、もう一度レールに乗り始めようかなと思った時に、ハイエンド向けのアメリカ輸入食品を扱う商社に出会いました。輸入食材店で、気になる食材の裏ラベルを見ていたら、すごくセンスの良い商品ばかりを仕入れている会社だなーと思って。そこで自分の履歴書をその会社に送って、採用していただきました。そこでは輸入食品や食品業界について勉強させていただきました。今はフリーランスとしてホリスティックヘルスコーチの仕事をしたり、ハーブやスパイスなどを使ったお料理教室、世界の料理をお伝えする会を開催したりしています。

――食や健康への興味が一貫しているんですね。中野さんはキッチハイクの「ふるさと食体験」でファシリテーターをされていますが、なにがきっかけで参加されたのでしょうか。

もともとはキッチハイクのユーザーだったんです。5年ぐらい前の2016年に、アラブ料理のパスティラというパイのようなすごいマニアックな料理を作りたくて、レシピを調べていたらたまたまキッチハイクのページがヒットしたんです。当時食が好きな人が集うシェアハウスに住んでいて、そこの管理人さんからもキッチハイクの存在は聞いていたので、一気にピピピって繋がりましたね。当時のキッチハイクは個人がCOOKとしてイベントの開催ができたので、「私もこれやってみよう!」と。いきなり企画して立てた初回開催のイベントだから人が集まらずに不発で終わるかなと思っていたんですが、キッチハイクのメンバーが予約してくれたんです。それにつられて他の方も参加してくださって。わたしの食へのパッションや、料理についても興味深く話を聞いてくれて、写真もたくさん撮ってくれて。初対面とは思えないほど、食はもちろん、人生や恋愛観などいろんなディープな話までして、すごく盛り上がって本当に楽しかったんです。そこからどんどんキッチハイクにのめり込んでいきました。

その後、キッチハイクが「ふるさと食体験」を始めてからファシリテーターのお話をいただいて。キッチハイクがなければ今の自分はいないと思っているので、喜んで、と二つ返事でお受けさせていただきました。 何がどうつながるかわからないですね、本当に感謝です。

――食への感度が高い中野さんにぴったりなお仕事ですよね。仕事で大切にしていることはなんですか?

自分が楽しむことはすごく大事にしていますね。「この会を1番楽しんでいるのは自分だなー!」と思えるぐらいのテンションは常に保ちたいなと。あと、自分が紹介する地域の1番のファンになることも大事だと思っています。自分でその地域のことを調べたり、現地の方と顔合わせしたり、実際に足を運んでいくと、どんどんその地域のことや現地の人のことが大好きになっていくんですよね。

とにかく自分が楽しむことで、パッションがのってイベントの参加者の方にもそれが伝わると思うので、みなさんを巻き込みながらあたたかい会にしていくところを意識しています。

――イベントを楽しんでらっしゃるのが伝わってきます!

本当に楽しくて、これ仕事でい良いんですかね?っていうぐらい…すみません、こんなに楽しんじゃって…(笑)

――今まで関わってきた地域で印象的な場所はありますか?

静岡県南伊豆町で出会った絶品の干物

ちょうどこの間行かせてもらったのが南伊豆で、そこの干物に感動したんです。テーマが干物と聞いて、みんなが知っているものでもあるのでどんな風に魅力を伝えていくんだろうと思ったんですけど、実際に干物工場を見学させていただいて、外で七輪で干物を焼いていただいたら絶品で!

アジはすごく脂が乗っているし、これまで食べてきた干物と全然違うぞと。イワシ、カマス、キンメダイ、アジの四種類の干物を届けていただいたんですけど、どれもすごくて、イワシも見たことないほど脂がのっていておいしいし、カマスも身がフワフワで感動して、干物の底力を見せられました。「これは家族や友達、周りにも送って食べてもらおう!」と思える食材と出会えるなんて、なんて魅力的な仕事なんだろうって改めて感謝しました。

「知らない日常」に出会える未知の食体験

――中野さんは様々な食に関する仕事をやってこられたと思うのですが、キッチハイク、ふるさと食体験のお仕事で特に共感しているところはどんなところですか?

いっぱいあるんですけど、いろんな「初めての体験」ができることが大きな魅力だと思います。魚が丸ごと一匹届いてそれを自分でを捌くのもそうだし、最高の牛肉で牛たたきを作るのもそうだし、通常の日常生活を送っていくだけだと経験できない未知との遭遇がたくさんあるんですよ。日常の生活圏外にある「知らない日常」に出会える食の体験だと私は思っています。

その日常の生活圏外にある、非日常を味わっていけば、日常の食も広がっていくような気がするんですよね。新しい食の体験との出会いがあって、どんどん食いしんぼうになって、日常の食生活も豊かになっていくと、人生そのものが広がって豊かになっていくと思うんです。食の経験を通して知識も深まるし、好奇心も深まってくるし、どんどん人間としての深みが出てくる。でもそれもやっぱり食べてみたり経験したりして初めて感じることで、自分の口の中に入れてはじめて、うわっとなって引き返せないぐらいはまってしまう感じだと思います。

――自分自身で体験してはじめてわかるというのは本当にそうですね。そして、食生活の豊かさが人間性の深みに繋がるというのは夢がありますね。

食って毎日のことじゃないですか。毎日いろんなワクワク感が詰まったものを食べている人って人生に対する満足度が高いと思うんです。選ぶ食材で健康度も変わってきますし、食にこだわりや自分なりの見解を持つことは人生そのものを豊かにしていくと感じています。だからこそ毎食毎食、必ずしも高級ないいものという訳ではないのですが、自分が満足いくものを食べていきたいです。そうすると、どんどん食に対して貪欲になっていくので、パワーアップした自分が選ぶ食はもっともっとレベルアップしていくんですよね。

中野さんお気に入りのハチミツ

――確かに、非日常の食をどんどん取り入れていったら、毎日の食が日々パワーアップしていきそうです。中野さんが食で成し遂げたいことはありますか?

どんな時代でも、食べずに生きていける人っていないじゃないですか。そこに可能性をずっと感じていて、だからこそ食に関わる仕事をしたかったんですよね。その中でも健康と食という観点を自身は大事にしているのですが、そこにプラスして非日常的な食を取り入れることが豊かな食に繋がっていくと思っているので、それを周りの人たちにも知ってほしいなと思っています。ヘルスコーチングのクライアントさんにお伝えしたり、キッチハイクを通じてこんなサービスあるよとお伝えしたり、みんなの食生活が豊かになるきっかけになるようなお仕事を続けていきたいですね。

また、キッチハイクのメンバーの皆さんのお話なんですが、とにかく愛があるんです。食への愛も関わる人やユーザーの方に対しての愛も。いつも会が終わると言わずにはいられなくて毎回お伝えしているんですが、チームワークが半端なくて、それはみんなで最高のものを作ろうとしている軸がぶれないからだと思うんですよね。こんな高いモチベーションがあって良いエネルギーが流れる会社は他にないなと思っていて、今後もずっとご一緒していけたらと思っています。

――非日常な食を取り入れると楽しみながら食を豊かにできそうですね。また、健康的な食事っていろんなものがあると思うんですが、中野さんはどんなものが「健康的」と考えていますか?

私が「ホリスティックヘルス」という概念でいつも皆さんにお伝えしているのが、食べるものはもちろん大事だけど、心の栄養素もすごく大事だよということなんです。私も散々健康おたくをやってきたので、食べるものにこだわりはすごく強いのですが、そういう人って偏った視点になってしまうことが多々あるんです。

体に良いものだけを食べていたら健康になれるのかと言ったら必ずしもそうじゃなくて、例えば、自然食品店でラベルをしかめ面で見ながら「これを食べちゃダメ」とか「これしか食べられない」と言っている人と、映画館でポップコーンを食べながら、楽しいね、ってにこにこしているカップルだったらどっちが健康的で幸せかというと、後者の方が心は満たされている。自分の人生を構成する全てをトータルで整えて初めて「健康」と言えるのかなと思っています。

冒険みたいなワクワクした人生を送りたい

――今、中野さんは都内で暮らされているそうですが、都内の暮らしは中野さんにとってどうですか?

都内の暮らしは割と長くて、私の中ではすごく都会が好きなんですよね。日常に刺激が溢れているし、センスのいい食べ物やレストランも多いので、どこにいてもインスピレーションの宝庫だなと思っています。その環境が今の自分にはフィットしていて、仕事にもそれが反映できていますね。ただやっぱり自然も大好きだし、自然に触れることで心の栄養素も得られるので、都内をベースに暮らしつつ週末はちょっと郊外に足を伸ばして自然豊かなところでリラックスするバランスのいい暮らしが理想的だなと私は思っています。

――都会と田舎で得られる心の栄養素って違いますもんね。最後に、今後の展望はなにかありますか?

今は大好きな人たちと大好きな仕事に囲まれて、すごく幸せな働き方をさせていただいているなと思うんですよね。すごくハッピーだし今でも100%満足なんですけど、やっぱり仕事をすることで、いろんな経験を積んでいきたいという思いは常にありますね。その経験を通じて自分自身の幅や深みをどんどん出していきたいし、人としての器を広げていきたいなと。

その自分で人のお役に立てたらそれ以上望むことはないなと感じますし、今後は積極的にワーケーションも取り入れながらいろんな場所に足を運んでみたいです。美食の街と言われているバスク地方にずっと行きたいと思っていて。自分の拠点となるベースを大切にしながら、あちこち移動することに対しての抵抗をどんどんなくしていきたいんです。経験を積んで、現地の食材と出会って、自分の好奇心を満たして、冒険みたいなワクワクした人生を送りたいですね。

中野 聡美(なかのさとみ)
2021年3月から参画。
立命館大学卒業。
現在、「ふるさと食体験」のファシリテーターを務める。

Holistic Kitchen(ホリスティックキッチン)主宰。メーカー人事としての会社員時代を経て、イギリス、オーストラリアに留学、商社勤務を経て独立。
現在はホリスティックヘルスコーチとしてヘルスコーチングをはじめとし、世界のお料理やスパイスハーブの会、食品輸入など、昔からの夢であった「食を通じて日本と海外の架け橋となる仕事」全般、そして「豊かで彩りある日常を」をコンセプトに、食のデザインや暮らし方のヒントを伝える。

<趣味>
食べ歩き、海外旅行、海外レシピをながめる、健康情報の収集と人体実験

<好きな食べもの>
世界の料理、スパイスハーブのお料理、関西風の皮がパリッとしたうなぎ、天然酵母パン

<暮らしの変遷>
高知→大阪→高知→滋賀→横浜→ロンドン→メルボルン→東京

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