ライフステージの変化で、仕事も人生も諦めない。「人事制度LIFE」が実現する未来
キッチハイクが2023年3月からスタートした「人事制度LIFE」。取締役に就任した川上真生子が発起人として、キッチハイクのメンバーの人生のために作られたこの制度には、どのような想いが込められているのでしょうか。
人事制度LIFEが生まれたきっかけや、制度を通して実現したい未来について、川上さんにインタビューをしました。
人生で大切にしたいものをトレードオフにしない
――川上さんが人事制度LIFEを作ろうと思ったきっかけはなんですか?
私自身が今、不妊治療をしていて、仕事と妊活を両立させることに格闘しているんです。これまでは本当に仕事100%でやってきていたのですが、いざ自分が仕事と何かを両立させることになったときに、いろいろと難しく感じるところがあって。私はたまたま妊活だったけれど、子育てだったり介護だったり、それぞれがそれぞれの人生を抱えてるんだなってすごくリアルに思うようになったんです。
キッチハイクには「人生を、謳歌しよう」というカルチャーがあります。その言葉通り、人生で大切にしたいものがトレードオフになるのではなく、どっちも本当に大事にしていける制度を作りたくて人事制度LIFEをメンバーと作り上げていきました。
私は社内では社歴が長く、役員という立場でもあるので、自分の立ち振る舞いがひとつのスタンダードとして受け継がれてしまう部分があると思うんです。そうなったときに、私がリアルな悩みを反映させながら、理想だと思う形を体現すれば、会社をよくすることに直結するんじゃないかなと。次世代や会社のために行動しようって思ったんです。
不妊治療はとてもセンシティブな領域ですし、悲しい気持ちになったり、「周りに気を使わせちゃうんじゃないか」って不安になったり、さまざまな気持ちが起こるもの。その中で周りに宣言をするのは想いとエネルギーもいるのですが、まずは自分が等身大にオープンにすることで、自分の次の世代が1人で同じ悩みを抱えなくていい未来にできればと思っています。
――ご自身の体験から、次世代を見据えて決断されたんですね。その後はどのように人事制度LIFEに落とし込んでいったんですか?
まずはキッチハイクで働くみんなが何を欲しているのかを知るために、任意参加で座談会を何度も開きました。そこで聞いたのは「リモート環境だと、自分も相手も調子や状況が見えづらいことがある」や、「生理がつらいとき仕事との両立が大変」といったことなど、さまざま。
その上でより働きやすい会社にするにはどうすればいいか、ざっくばらんに話すなかで、制度に落とし込む方向が見えてきました。
一番大事だと思ったのは「会社が支援してくれていて話しやすい雰囲気があるかどうか」というカルチャーの部分。実際にメンバーの声として、キッチハイクは何かあった時に相談しやすいこと、フォローし合えることが働きやすさやモチベーションに直結しているって見えてきたんです。
そこで今の良さをより成長させ、「福利厚生にとどまらない社内制度」として、人事制度LIFEを作ろうって決めました。
当事者だけで閉じない、カルチャーとしての人事制度LIFE
――カルチャーと制度が結びついているのは企業としてとても重要だと思います。まずはどんな制度から決まったのですか?
人事制度LIFEとして決まったひとつめが「ライフプラン 1on1制度」。これはまさに座談会の声を元に生まれたもの。
人生設計や家族のこと、体のことも含めて考えているライフプランを、上司や、本人が希望するなら会社みんなに共有・相談できる制度です。ただし、オープンにすることを強要するものでは全くありませんし、誰にどこまで共有するかは個人の意思を尊重します。
まずは、会社としてメンバーのライフプランに寄り添い、トレードオフにしないためにどうするか?を一緒に考える組織であるというスタンスを示すことがすごく大事だと思っていて。
例えば子どもを持ちたい人がいたら、ともすると、「子どもを持つことがキャリアで不利に働くことがあるかもしれないから言いづらい」といった状況があるかもしれませんよね。
でも、そこをいかに「人生を謳歌する」キッチハイクチームらしく何も諦めずによりよい未来へと飛び越えていけるか。安心して相談できる場を設けることで、会社も個人も最大のパフォーマンスになる方法を一緒に考えます。
――共有しておくことで、より安心して最大限パフォーマンスできる組織をつくると。
「仕事としては100%やりきりたいので特別扱いされたいわけじゃない。でも、自分が本来の調子を出せないとき、共有できることでコミュニケーションがすっとラクになりそう」という声がとても印象的でした。
周りのメンバーも、子育てや体調のことで大変なことがあればフォローしたいから知りたいと言うんです。
でも、たとえば男性から女性には聞きづらいトピックもあったり、わかってないからこそ傷つけたりするんじゃないかという怖さがあって、お互いに近づけてない領域だとわかったんですよ。
そこを社内制度としてサポートし、相談しやすいカルチャーをより醸成できれば、間を埋めやすくなるんじゃないかなと。結果的に、より持続的に全員がパフォーマンスできるはずだし、働く環境としてヘルシーですよね。
――異性からは特に踏み込みづらい領域ではありますよね。また、どうしてもライフプランをオープンにしなくてはいけないと思ってしまう人もいるかもしれないですが、そこはどんな考えを持っていますか?
オープンにすることを絶対に強制したくないので、その設計は大事だなと思っています。一番避けたいのは「こういうプランだったのに、例えば思わぬタイミングでライフイベントがあった」など、子どもに限らずプランと違う展開になって本人が申し訳なくなること。
人生で何が起きるかはタイミングが読めないので、プランが変わったからと言って、本人が後ろめたく思ったり、周りが「え、聞いてない」みたいになるのは違うなと。だから言いたい、言いたくないは個人の意思を大事にしたいし、「プランはあくまでプランだから、変わったとしても会社は応援するよ」って伝えていきたいです。
「ライフプラン 1on1制度」は男女問わずジェンダーフリーで使ってほしいなと思っています。ずっとパソコンで作業しているから偏頭痛を持っているとか、育児中はこういう働き方が望ましいみたいな悩みや希望があるので、みんなが理解できるチームにしていきたいですね。
――あくまで本人が共有を希望している場合のみ、という柔軟性があるということですね。そのほかに川上さんがこだわった制度はありますか?
子どもを持つことを検討している女性社員へのプレコンセプションケアとして、「AMH検査補助・妊活/プレコンセプションケア支援」を作りました。
AMH検査は、血中のAMHの濃度を測ることで卵胞の数を推測するもの。自分の卵子がどのくらい残っているかを知ることで、自分の妊娠のタイムリミットを知る参考となります。企業が福利厚生として導入するのは、私の知る限りあまり例がないと思っています。
いち経験者として、不妊治療はしなくていいのであれば、本人にとっても会社にとってもしない方がいいと思っているんです。精神的にも身体的にもしんどいし、仕事のパフォーマンスが下がることにもなるので、仕事面での持続可能性という意味でも、しないで済むならそれに越したことはないと思います。高齢出産になると不妊治療が必要になる率が高くなるので、強制するわけではないのですが早いタイミングで産めた方が理想的かなと思っています。
自分自身も20代の頃は「子どものことは30代になってから考えるのが普通」みたいな気持ちでいたんですよ。自分の周りもそうだったし、30代後半でもで子どもを産んでいる方もたくさんいたので。でも、声を上げていなかっただけで、不妊治療をしてどうしても子どもを産めなくて諦めた人も絶対にいっぱいいるし、不妊治療自体がつらい。
そうであれば、もっと早いタイミングで子どもを考えていた方がよかったなって自分自身が思うので、「AMH検査補助・妊活/プレコンセプションケア支援」を作りました。
――人事制度LIFEはメンバーの人生のためのものであり、一人ひとりの人生の物語から生まれた制度でもありますよね。
人事制度LIFEは自分が1人の当事者として「もっとこうだったらいいな」って思うことが種になっています。それが実現できればキッチハイクがひとつのロールモデルになって、社会に対してより発信できるんじゃないかと。
「社会を変える」って言うと主語が大きくなってしまうんですけれど、社会をよりよくしたいという思いでキッチハイクをやっているし、スタートアップってより良い未来をつくる存在だと思うんです。事業としても制度としても、自分たちが理想だと思うものを体現していきたいですね。
人事制度 LIFEが実現すること
人事制度 LIFEは、キッチハイクのメンバーが何ひとつ諦めず人生を謳歌するための制度。キャリアを積む中で妊活・出産・子育て・介護など、ライフステージに変化が訪れます。仕事も人生も何かを諦めてしまうことが起きないよう、人事制度 LIFEはメンバーを支援します。
ライフプラン 1on1制度
将来の子どものことや親の介護のことなど、ライフプランの共有を歓迎する制度です。個人の意思を尊重した上で、希望者は上長との1on1で人生設計を伝えることができ、会社はそれを受けてキャリアとの両立をサポートします。お知らせしておきたい身体の特性(生理痛の重さ、偏頭痛持ちetc.)も共有が可能です。
AMH検査補助・妊活/プレコンセプションケア支援
将来、子どもを持つことを検討している社員に対し「プレコンセプションケア」として、AMH検査(卵巣予備能検査)の受診費用を支援。卵子がどのぐらい残っているかをAMH検査で推測することにより、仕事と子育てのライフプラン作成をサポートします。
フレックス制度
通院、子どもの送り迎えや行事、介護などの状況に合わせ、始業/終業の業務時間を調整できる制度。子育てメンバーからの「仕事もなるべく抜けたくない」という気持ちに応え、業務時間に柔軟性を持たせました。
やわらかな定住制度
フルリモートで全国どこからでも働ける制度。経営陣を含め、現在北海道〜九州まで全国各地でメンバーが活躍しています。自身や家族のライフステージやライフスタイルに合わせて暮らす地域を選んでいく「やわらかな定住」の実践をサポートします。
以上、人事制度 LIFEは座談会などでメンバーの生の声を吸い上げて誕生しました。今後もメンバーが人生を謳歌するための制度として、アップデートを続けていきます。
キッチハイクは、ともに人生を謳歌する仲間を募集しています
キッチハイクは「地域の価値を拡充し、地球の未来へつなぐ」をミッションに、共に人生を謳歌する仲間を募集しています。
社員候補の新メンバーだけでなく、業務委託や副業での参加もOKです。
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