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1年後の私よ、どうか私を思い出さないで

1年後の私よ、どうか私を笑い飛ばして。

1年後の私よ、どうか私を軽んじて。

少年漫画を開けばいたるページに散りばめられているような「夢」や「理想」を私も背負っている。だけど、それが正直重くて重くて仕方がない。

もっと書けるようになりたい。もっと吸収したい。もっと顔と名前を売りたい。もっと認めたいし、もっと認められたい。もっと、もっと、もっと。

「夢」には「努力」がもれなくついてきて、「理想」と「継続」はセット販売されている。この荷物、すこぶる重いんだけれど、それでも、下ろすわけにはいかない。フリーライターになって3年目、今から1年後のあなたは、4年目に突入する頃。

この私を笑い飛ばせるくらいに、軽んじることができるくらいに、遠く、遠く、見えないところにまで行っていてもらわないと困る。

この欲望には天井がない。際限がないことを知って絶望するんじゃなくて、未来が上手く描けないことになんだか楽しくなってきちゃってるんだから、……救えない。

ちょうど今の私は、また少しずつ目の前の仕事が面白くなってきて、「どんどん仕事ください!!!」モードに入っている。

個人で受ける仕事も、お手伝いしてる会社の仕事も、どの仕事も面白くて、心からアドレナリンとドーパミンが噴出し続けるような仕事に浸っていたくて、新規で営業もかけるしコミュニティにも入るし講座も申し込む。

1年後の私は、それについてどう思っていますか。

あの頃がむしゃらに、目の前の仕事に誠実に向き合って、やれることから手当たりしだいにやっていた時期があったから、今の自分が在ると思ってくれていますか。

それとも、過去を振り返る余裕と時間なんてないくらい、引き続き目の前の仕事を面白がっていますか。

ずっとやりたいと思っていた雑誌や書籍の仕事、できていますか。

少なくとも、後悔だけはせずに、着実に地道に生きていてくれてるといいなって、今の私は思っています。どこで何をしていてもいいから、生き様に満足できる自分になっていてほしい。

「次は何しよう?」ってわくわくできる自分でいてほしい。

そのためには、過去じゃなく未来を見て。後ろじゃなく、前を見て。

夢中に生きている私のことを、他の誰でもない私自身が、認め愛せていますように。

だから、どうか、1年後の私よ。

お願いだから、私を思い出さないでね。

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北村有
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