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弁財天に運を任せ、憧れのバックパックを買った話
ふと散歩したくなるときがある。ちょっと足を伸ばせば大きな公園があるし、最近は暑さが和らいですっかり涼しくなってきたし、9月だし、夏から秋に移ろいでいるし、ふらっと散歩に出かける口実は揃っている。
東京に来て1年以上経つのに、あまり東京を知らない。歩いて数分の場所であっても、まだまだ知らないところはたくさんある。
今日の朝も、いつものように家を出ていつものように公園を散歩していたはずなのに、「こんなところに神社なんてあったんだ???」と思わず立ち止まってしまうほど唐突に、目の前に神社が立ち現れて驚いてしまった。弁財天様を祀った小さな神社。手水場があってお参りもできるしおみくじも引けるし、銭洗いもできる。さすが、弁財天様。
絵馬が所狭しと飾られた一角もあった。「お母さんの手術が無事に終わりますように」「また家族旅行にいけますように」「コロナ収束祈願!」「◯◯銀行への内定が出ますように」「お父さんが帰ってきますように」……思い思いの願いの塊がぶつかってくる。いったいお父さんはどこへ行ってしまったのか、気になる。帰ってくるといいね。
絵馬は書かなかったけれど、50円玉をお賽銭にお参りしたあと、銭洗いした100円でおみくじを引いた。
私は、決めていることがあった。
決めているというより、神様が背中を押してくれたら、しようと思っていることがあった。
「MOTHERHOUSE」というブランドをご存知だろうか。
かの有名な「モノグラフ」で紹介されているのを見てから、ずっとずっと、このMOTHERHOUSEで売られている、とあるバックパックが気になっている。
この、アンティークスクエアバックパック……。ぜひお時間のある方は、上記公式サイト内に動画もあるので見てみてほしい。魂、打ち抜かれる。私はあまり物に一目惚れしたことがなくて、いつも間に合わせの鞄や靴を使っていて、そこまで物欲もない。だから、このバックパックを見た瞬間に感じたときめきをまだ、言葉にできないのだ……。
鞄を選ぶときのポイントは、とにかく身軽でいられるかどうか。なるべく手に荷物や鞄は持ちたくなく、常に両手を空けていたい。くわえて外で仕事することも多いので、らくらくPCが入るサイズがいい。そうなると選択肢はバックパックに限られてくるのだけど、いかんせん「良い感じに可愛くて」「良い感じにシックで」「無骨じゃないのにそこそこ物が入る」バックパックってそうそうないのだ。
その点、このアンティークスクエアバックパックは完璧、満点だ……。見た目も可愛いし、一応メンズだけど女性が背負っていても可愛いし、服にも合わせやすい色だし、PCも入るし、中にはノートやスマホやペンなども入れられそうなポケットもついている。物の出し入れもしやすそう。
値段は45,100円(税込)。決して高くはない。これまで無印のPCリュックを使い倒していた私からすると、いますぐ清水の舞台から飛び降りねばならない価格帯だが、質の良い鞄としては5万を切るなんて衝撃的だし、デザイナーさんや職人さんがひとつひとつ丁寧に、丹精込めて作っていると知ってしまった以上、「倍払わせてくれ!!!!!」とレジに札をねじ込みたい衝動に駆られる。
この革の質感を出せる職人さんは、今のところ一人しかいないらしいんですよ。そして最終的な縫製ができるのも、三人しかいないんだって……。
日に日に欲しさが高まっていた私。弁財天を祀った神社でお参りし、銭洗いした100円でおみくじを引いた。このおみくじに、少しでも買い物が吉と出るような、「買い物運良し」みたいな文言が書かれていたら、私はあのバックパックを買おうと決めた。運任せにしているようで居心地悪いかもしれないが、あらゆる口実を揃えないと思いきれない性分なのだ。示し合わせたように、手元にはギリギリ出せるだけのお金がある。そしてなんと、私の住む地域にはMOTHERHOUSEの店舗がある。条件は揃っている……。
おみくじを、ひらいた。
結果は……「吉」。
「このみくじにあたる人は、必ず大きな望あり。~~。まち人来るべし。~~。旅立ちよろし、家うつりよろし。~~買物はよし、十分買うべし」
!?!?!?!?!???!?!?!?!
「買物はよし」!?!?!
「十分買うべし」!?!!?!!!?
なんと、買物OKだよ★といった軽いテイストではなく、「十分買うべし」ときた。これはもう、買うしかない。弁財天様が背中を押してくださっている。お金はある。お店もある。弁財天様のお墨付きもある。これで買わずにいつ買うのか。
デン。
買いました。
はあああああ~~~~~~~可愛い~~~~~~~~~たまらん~~~~~~~~~~~可愛すぎる~~~~~~~~~~。
ちょっと近所のコンビニやスーパーへ行くのにもいちいち背負ってしまいそうなフォルム。使えば使うほど味が出てきそうな革。見るたびに心ときめく色、裏地……。もう、すべてがPERFECT。
思わずYouTuberでもないのに鞄と鞄の中身紹介をしてしまいたいくらいの超ド級の可愛さだ。たまらん。約5万円でこの幸せが買えたと思えば何のことはない……安すぎるくらいだ……。私はようやく31歳にして、5万の鞄を持てる人間になったのだ……。
これから私に会う皆さん、100%の確率でこの鞄を背負っていると思いますが、ぜひ突っ込んでください。「その鞄いいね! どこの?」って。推しポイントを30分くらいにまとめてお話します。
はあ~~~~~~可愛い~~~~~~~~~~~~。
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