水族館の名建築!

 こんにちは!アクアリウムラボ14期の加藤です。
 僕はアクアリウムラボで活動しつつも旧車と建築が大好きで、ぜひブログでも語りたい!のですが、文章量が百科事典並みになりそうなうえ、さすがに関係なさすぎるので、今回は個人的に好きな「水族館の建築物」を紹介しようと思います!しばし、お付き合いしていただけると嬉しいです。

 さて、「建築」と言っても、その様式にはルネサンス建築やゴシック建築、和風建築…など色々とあります。その中でも、僕が好きなのはモダニズム建築ポストモダン建築です!これらの建築様式は名称は似ていますが、その思想は対照的なものとなっています。

 モダニズム建築の特徴としては、
 ・ピロティー(2階の重みを柱だけで支えた1階部分にある吹き放しの空間)
 ・屋上庭園
 ・自由な平面
(部屋の形や配置を構造壁に左右されることなく自由に設置)
 ・自由な立面(絵画を描くようにデザインされた自由な外観)
 ・連続水平窓
が挙げられます(画像1のような、所謂フランスの建築家ル・コルビジェが唱えた「モダニズム建築の五原則」)。

 一方で、ポストモダン建築の特徴としては、画像2のような鉄・ガラス・コンクリート等を素材としてデザイン性や装飾性を重視した曲線的なデザインが挙げられます。

画像1:モダニズム建築の代表作 デッサウ・バウハウス(1926)/ヴァルター・グロピウス
画像2:ポストモダン建築の代表作 中銀カプセルタワービル(1972)/黒川紀章

 このようなデザインを持った水族館が実は日本にも存在しています。ということで、今回は建築マニア目線で見た、好きな水族館をランキング形式で3つ紹介します!
 なお、ランキングは僕の独断と偏見で選んでいること、建築のデザインが必ずしも設計者の意図したものでない可能性があることはご了承ください。

 早速、第3位は…「東海大学海洋科学博物館」です!
 静岡県静岡市清水区にある東海大学海洋科学博物館は、山田守建築事務所設計の地下1階・地上3階の建物で、1970年に造られました。建築が好きな人ならパッと見で、いかにも山田守の建築だなぁとわかると思います。

画像3:東海大学海洋科学博物館の外観

 外観は画像3のような感じです。まず連続水平窓を持っているのがわかると思います。これは上述したモダニズム建築で見られる特徴の一つですね。こういった建築物は水族館に拘らず、日本ではあまり見られないので貴重なものです。
 さらに、見てほしいポイントとしてはここ!入り口の屋根です(画像4)。

画像4:東海大学海洋科学博物館のエントランス

 キノコのような漏斗のようなユニットが隙間をあけながら連続しています。こういった無機質そうなデザインの中に、一風変わった構造があると、僕はものすごくグッときます。

 続いて、第2位は…「足摺海底館」です!
 高知県土佐清水市にある足摺海底館は、川崎重工業設計の地上4階の建物で、1972年に造られました。

画像5:足摺海底館の外観

 外観は画像5のように、SFチックなものとなっています!丸窓やカーブを用いたデザインはいかにも1970年代のレトロフューチャーを感じられる、ポストモダン建築と言える建物です。さらに、内部(画像6)は螺旋階段を中心に丸窓から海中を覗けるものになっており、これもSFものに出てくる潜水艦のような雰囲気で、個人的にグッときます。

画像6:足摺海底館の内部

 そして、第1位は…「江ノ島水族館」です!
 「おい、江ノ島水族館なんてねーよ。あるのは新江ノ島水族館だろ」と思われた方もいるかもしれませんが、「新」江ノ島水族館があるのならば、江ノ島水族館もかつては存在したのです。
 江ノ島水族館は2003年まで神奈川県藤沢市に存在した、現在の新江ノ島水族館の事実上の前身となる水族館で、建物は竹中工務店設計、1954年竣工のものでした。
 その外観がこちら!(画像7)

画像7:江ノ島水族館の外観

 モルタルリシンで造られた外装の一部分にガラスを設置し、エントランスをピロティーで解放したデザインは、まさに僕の大好きなモダニズム建築のお手本!取り壊されてしまったのが、本当に残念でなりません。最終的にはエントランス部分が少し改築されてしまったようなので、画像7のようなデザインだった時代はそう長くなかったのかもしれません。一度でいいから、この目で見たかった……。

 以上、建築マニア目線の水族館ランキングでした。最後に紹介した江ノ島水族館のように、取り壊されてしまうことも多いのが建築物です。ぜひ、皆さんも水族館のみならず、なんでもないような身近な建築物もじっくり見てみてください。もしかしたら、貴重な名建築かもしれませんよ!
 最後までお付き合いしていただき、ありがとうございました!

 北里アクアリウムラボは、予約不要・入館料無料です。
 なお、団体のお客様は事前申込制となっており、
 ・希望日時
 ・代表者氏名
 ・人数
 ・電話番号

をご確認の上、海洋生命科学部事務室学生課(042-778-7919)へお電話にてお申込みください。開館時間は平日(10:00〜16:00)となっております。

〈参考・引用〉
・宮沢洋編著「イラストで読む建築 日本の水族館五十三次」青幻舎出版(2022)
・「ピロティ」SUUMO(スーモ)住宅用語大辞典 https://suumo.jp/yougo/h/pirothi/#:~:text=ピロティとは、2階,として活用されている%E3%80%82 (参照 2024-03-07)
・日本建築学会「近代建築の五原則」WEB版建築討論 http://touron.aij.or.jp/2016/03/1056 (参照 2024-03-07)
〈画像引用元〉
[画像1]https://madoken.jp/article/5194/
[画像2]https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021082500001.html
[画像3]https://bunganet.tokyo/tokaidai/
[画像4]https://yayablog.tokyo/
[画像5]https://kaiteikan.jp
[画像6]https://www.shimizu-kankou.com/spot/ashizurikaiteikan/
[画像7]https://onibi.cocolog-nifty.com/alain_leroy_/2012/05/post-a404.html


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